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あちら側の彼女


高校の時、私が通う学校は女子8割。


女子クラスというのがありました。


教室に同じ年齢の女の子が45名いて、みんなそれぞれでした。


お化粧をして、スカートを膝よりだいぶ上にして、髪をふわふわといい匂いをさせて、ポケベルを見つめては、放課後になるとキラキラする
クラスメイトがいました。


私は当時運動部のマネージャーで、短髪で日に焼けて、選手よりも授業中寝ていました。


彼女と私は同じ名前でした。


全然違うし、交わらないのですが私は彼女のことが興味深く、そして絶対に彼女にはなれないから、どこか憧れのようなものも抱いていました。


歳上の彼氏がいるらしい。とか


あのブランドのバッグは男性からのプレゼントらしい。とか


耳にする噂には恋愛の香りがしました。


ルーズソックスの似合う華奢な足や


きれいに整えられた爪を見るたびに


そりゃそうだよね。と納得していました。


違うことや交わらないことが嫌悪には繋がりませんでした。


行事の準備の時に、私は張り切るタイプでした。


せっかくやるなら、1番になろう!とか評価されようよ!とか思っちゃう。サガ。


彼女は面倒だから、用事があるからと帰ってしまうかと思っていましたが、意外にも一緒に準備しているところが記憶にあります。


これやってくれる?と頼むとニコニコして、うん、やるよ。と引き受けてくれて、そうしてみんなで和気藹々としたイメージが思い浮かぶのです。


普段声もかけないし、共通の話題などない。


それでも、なんとなく嬉しくてそんな余韻だけを覚えています。


人は共通項を数えあげて、距離を縮めることが多いですが、


同じ価値観や、似たような道のりをなぞらなくても


惹かれたり、求めたりすることがあります。


距離は永遠に届かなくて、もしかしたら一生分かり合えないことは、変わらないかもしれない。


それでも、わからないから知りたいと思えたり


知らないから教えて欲しい。と興味を抱き


見つめていたいなあと思えるのはとても気持ちの良い関係のように思います。


そこには、やっぱり敬意があって


全然違うことへの肯定がないと成立は難しい。


あなたに寄せることはない。


私に遠慮する必要はない。


あなたはあなた。


私は私。


そのままでも、心地よくあれることを感じています。


彼女のnoteに出会い、私は高校の時の華やかなクラスメイトを思い出しました。


山田詠美さんの本を貪るように読んでいた頃に、まるで小説からひょっこり出てきたように
見えました。


いろんな印象をもつ人が好きです。


人から決めつけられたその先から、その思い込みをぶち壊すような。


いろんな顔や気持ちに正直な人が好きです。


そして、それを押し付けるのではなく自分のものとしてしっかり所有できる人。


夏木凛さんには形容詞がいりません。


夏木凛は夏木凛。


そこをすごく魅力的だなと感じています。


あちら側の彼女。


翻弄を楽しめる人におすすめです。

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お気持ちありがたく頂戴するタイプです。簡単に嬉しくなって調子に乗って頑張るタイプです。お金は大切にするタイプです。