「今、生きている人間である」ということ。~「性を語る」プロジェクトを続けて今思うこと~

今日はSEX and the LIVE!!のアクティビストのミーティングをしました。
SEX and the LIVE!!の今後の方針について話し合いました。(きのコさんはボランティアで海外に行っていたので欠席でした。)

SEX and the LIVE!!は性教育を行う染矢明日香さん(あすかさん)、性暴力や多様性に関する活動を行う私、卜沢彩子(うらさわ)、セクシャルマイノリティとして、ポリアモリーとして発信を続けるきのコさん、自身のダメ恋愛や結婚をコンテンツ化して実験を続けるライターのたかだまなみさん(まなだむ)との4人ではじめたプロジェクトです。

「性を語れる文化を作る」ことで「性と生に向き合える社会をつくる」ことを目指し活動してきました。アクティビスト4人やゲストによるトーク、文章の発信や、参加者も含めて語れる場作りを行ってきました。
被害や教育などの公的な話か娯楽コンテンツやエロの話、それももちろん大事だけれど、生き方も含めた自分の身近な性の話をもっとできるようにしよう。そういう問題意識ではじめました。

最初の1年は動画など語りの発信としてコンテンツの発信とイベント、2年目はイベントが中心になって語れる場作りをしてきました。

2016年の9月、SEX and the LIVE!!をはじめてから2年少し。性に関わる世の中の空気は変わっていきました。性暴力に関してもmetooムーブメントや刑法改正で発信する空気ができてきたし、性教育に関しても連日ヤフーニュースであすかさんを見かけるくらいメディアで取り上げられる機会が増え、注目される様になってきて広がってきました。

ロビイングなど政治に対するアプローチも増えて社会的にも目に見える動きになってきましたし、個人や団体の様々な発信や活動が増えました。その中で

「SEX and the LIVE!!の価値や独自性ってなんなんだろう?」

「SEX and the LIVE!!にできることは?」

「SEX and the LIVE!!は何を目指すのか?」

ずっとそう考えてきました。思うように動けないことも多く、大きな動きを傍目にもどかしく思ったりしています。特に私は責任者だから、アクティビストをはじめ、関わっている人の時間を使う責任も感じています。それもあり年末に参加できるアクティビストで一度集まって話をしました。それを経て今性を語ることやSEX and the LIVE!!について考えていることを少し書いておこうと思います。

様々な考えを持ち、間違い、迷い、揺れて変化する。「今生きている人間であること」

SEX and the LIVE!!の「LIVE」の意味の1つは、SEX and the LIVE!!の中で大事にしていること。
アクティビストも含めて、様々な考えを持ち、間違い、迷い、揺れて変化する、「今生きている人間である」ということです。

それは私自身が性暴力に関わる活動をはじめたときからのポリシーでもありますし、アクティビスト4人が共有している意識だと思います。

近頃は様々な「性」について語る人や活動が増えてきました。それでは「目的は達成されたのか」というと、違いました。だからこそ、疲れてしまったり、逆に傷ついてしまうことも増えてきたと感じているのです。必要になってくるのは、心理的安全性のある場所でしょう。

心理的安全性を確保するには、自分の価値観を知り、自分が生きやすい場所を見つけたり作ることと、そのためには違う価値観を受け入れられる場所が必要だと思っています。

「正解はありません。」ということは簡単です。でも例えば性の語りの場では「セックスが好き」「オープンで経験豊富なこと」が良しとされやすかったり、性に関わる仕事をしていたり、知識がないとそれだけで話を聞いてすらもらえなかったりもします。

だからこそ、私達はそれぞれ違うバックグランドを持った4人でまずお話しています。
もちろん偏りや共通点もあります。ただ、私達も場作りの中で間違えたり人を傷つけることも起こりうる。という意識を持てています。
まず、語ることや向き合うことができなければ、自分や関わる人の性に対して、心地の良い選択をすることも尊重することもできません。

「正解がないということを一人では言い切れない」Byたかだまなみ

アクティビストの中でも意見や価値観が一致しているわけではないんですよね。得意分野も違うし合う人も違います。

もちろん偏りや共通点もあります。ただ、私達も場作りの中をはじめ、間違えたり人を傷つけることも起こりうる。という意識を持てています。

私達はそれぞれ傷つきを抱えそこから抜け出してそれぞれ前に出て活動してきました。様々な経験もしているし、落ち着いてきて、知識も増えたと思います。でも私達自身、今もなお悩んだり間違います。一緒に考えて語り私達自身も変化していっています。

SEX and the LIVE!!の参加者やメンバーに、SEX and the LIVE!!に関わる理由を聞いてみたときに「安心できる」「ここに来て考えたことで自分も変わった」「楽しい、癒やされる」と言ってくれました。

恋愛や結婚やセックスをしなくたって、性の話が嫌いだって構いません。もちろんそれらを素晴らしいことだと思ってもいいのです。全て含めてどうでもいいし、どうでも良くなってほしいのです。自分の心地のいいように生きていけることのほうが大切だと、私は思っています。

まず、語ることや向き合うことができなければ、自分や関わる人の性に対して、心地の良い選択をすることも尊重することもできません。

そしてSEX and the LIVE!!は私達4人のものではなくなっていいと思っています。語れる人や場や場を作れる人が増え、それがSEX and the LIVE!!になったり、新しいものが生まれていく。そうして語ることが特別じゃなくなっていく。そんなことを考えています。

新しくスタッフになってくれた人も増えて、来年はSEX and the LIVE!!はまた発信を増やしていきます。それぞれが身近なこととして、考え語るきっかけを作っていきたいと思います。よろしくお願いします。

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