NPO法人しあわせなみだの「性暴力ゼロに関わる人々からのメッセージ」について

私はNPO法人しあわせなみだ理事長の中野宏美さんに、しあわせなみだHP上の「性暴力ゼロに関わる人々からのメッセージ」の二つのメッセージについて、「掲載するには不適切ではないか」と掲載の経緯や意図の確認と記事の削除をお願いするメールを送りました。しかし、中野さんからの説明は一切なく、削除しない旨だけが返ってきました。私は2009年から2016年までNPO法人しあわせなみだに関わらせていただき、副理事長や理事を務めたこともありました。この二件に関しては少なからず責任は感じており、このままにしておくのは問題だと思い、ご説明をさせていただきたいと思います。


●性暴力ゼロに関わる人々からのメッセージ - 性暴力ゼロに関わる人々からのメッセージ Vol.8香田千沙「なぜ性犯罪被害に遭ったか?」

http://shiawasenamida.org/message/3693?fbclid=IwAR3fNDbXctr6IeXhV-Ozyjk7G4QloNXAB4JPXt3lGsfCM_BQAXkCXaJ6LC8

●性暴力ゼロに関わる人々からのメッセージ - 性暴力ゼロに関わる人々からのメッセージ Vol.2 山田齊(弁護士) http://shiawasenamida.org/index.php?mid=message&document_srl=932&fbclid=IwAR3fNDbXctr6IeXhV-Ozyjk7G4QloNXAB4JPXt3lGsfCM_BQAXkCXaJ6LC8

■私が7/30に送信したメール(メール1)

中野さま
お世話になっております、A-live connect卜沢彩子です。
本日、スピリチュアルな言説によるセカンドレイプについて調べていて、検索をしていたところ、しあわせなみだのHPのメッセージにたどり着きました。
性暴力ゼロに関わる人々からのメッセージ - 性暴力ゼロに関わる人々からのメッセージ Vol.8
香田千沙「なぜ性犯罪被害に遭ったか?」 
http://shiawasenamida.org/message/3693?fbclid=IwAR3fNDbXctr6IeXhV-Ozyjk7G4QloNXAB4JPXt3lGsfCM_BQAXkCXaJ6LC8

私はこちらの文章の3~6は、まさにスピリチュアルな言説を用いたセカンドレイプ的な文章であると感じました。
当事者の発信として、当事者自身が前向きになるための文章なら、構わないと思いますが、このように、引き寄せている、性犯罪被害に遭うメリット、魂の成長のためなどということを、一般化して「原因」として取り扱っている文章が性暴力ゼロを目指すHPに掲載されていることは、被害者がさらに傷つくことになると思います。
所属してた頃に私はこの文章を把握していなかったので、確認不足だったのですが、この記事は、性暴力ゼロを目指すHPに掲載する上では不適切ではないでしょうか。
こちらについては中野さんはどういう意図で掲載されているのか伺いたくてご連絡いたしました。
当事者の協力者のメッセージなので難しいかも知れませんが、できることなら、削除・もしくは訂正等していただきたいと思いご連絡いたしました。
友人にこの文章をどう思うか相談したところ、行き違いがあり、その友人がTwitterで投稿していたことに先程気付きました。
今連絡を送っていますが、今後拡散される可能性もあるので、どうか誠実なご対応をお願いいたします。
お久しぶりのご連絡がこのような形になってしまい、非常に心苦しいですが、どうぞよろしくお願いします。

卜沢彩子

メール1とスピリチュアルな言説を用いたセカンドレイプについて


私は以前からスピリチュアルな言説を用いたセカンドレイプについて、問題だと感じていました。性暴力に遭った被害者は、被害や社会の理不尽さに長く苦しみます。被害に遭った現実の意味を必死に探すことがあります。
その中で、性暴力当事者は「被害を自分で引き寄せた」「前世からの因縁」「あなたにとって必要なこと」などと、因果関係をすり替えて被害者のに原因があるかのような言説を浴びせられることがよくあります。

被害当事者がその言説を選び、救いにすることは私は否定できません。しかし、それを自分以外の人へのメッセージにしてしまうことは、セカンドレイプにあたると考えています。しかし性暴力の問題としてそのことを取り上げている人が少ないように感じていて、調べていました。

検索していたところ、私が以前活動していたNPO法人しあわせなみだのHPの「性暴力被害者のメッセージ」にたどり着きました。しあわせなみだのHPのは「性暴力被害に遭ったらどうしたらいいか」がまとめてあり、被害に遭った方が最初にたどり着く可能性も高いHPです。私は文面を見てなぜこのメッセージが掲載されているのだろうと驚きました。私は当時このメッセージが掲載されているのを確認できていませんでした。当時私に裁量はほとんどなかったものの、掲載時期に所属していた以上、これは私の責任でもあると思いました。複数の友人に相談して確認してもみんな「これはおかしい」と言っていたので、自分の感覚だけの問題ではないと思い、慌てて中野さんにメッセージを送りました。

■中野さんの返信 8/2(返信1)

メールありがとうございます。
NPO法人しあわせなみだ中野宏美です。
Facebookなどでご活躍を拝見しております。
先の当団体の退会につきましては私の
力不足の部分も大きく
不快な思いをさせたのではないかと思います。
改めてお詫び申し上げます。
ご連絡をいただき大変光栄に存じます。
ご意見をいただいた掲載内容につきましては
執筆された本人に確認してみますので、少しお待ちください。
どうぞよろしくお願いいたします。

返信1について

私はこの時点で、「執筆した本人の意図」を確認することに疑問を感じました。このメッセージを性暴力被害者の支援の入り口になりうるHPで公開した「中野さんの意図」について伺ったのに、そこに回答がないことに違和感を覚えました。そしてこの件を相談した友人の1人から、別のメッセージに記載されている弁護士の山田斉氏が、自身に依頼した性暴力当事者に対する中傷を行い、懲戒処分にされていることを伝えられました。その件も含めて中野さんに返信を送りました。

■私が8/2に送信したメール(メール2)

中野さま
お返事ありがとうございます。
あの文面に対して中野さんはどう思われているのか、
どういう経緯と意図で掲載に至ったのか教えていただいてもよろしいでしょうか。
友人には投稿を削除してもらいましたが、そこから少しずつ拡散されていて、ヤマトミライさんなど性暴力被害当事者の方から疑問の声が上がっているようです。
また、あの後性暴力ゼロに関わる方のメッセージを調べていたときに、
私の弁護をしていた山田斉氏についてがこちらに載っていることに気付きました。
弁護した性暴力の当事者に対し、虚偽の訴えだとHPに載せ、(同じような主張で依頼者を)告訴して敗訴し、懲戒処分になっていることがわかりました。

山田  齊弁護士(東京)懲戒処分の要旨 – 弁護士自治を考える会
https://jlfmt.com/2018/07/07/31858/

私の裁判も、二審後に敗訴の結果だっためか、あちらから結果の連絡がなくて問い合わせたことがあり、不信感はあったのですが驚きました。
リンク先でも言及されているように、しあわせなみだのHPを見て、性暴力の被害当事者が山田斉氏を頼りにする可能性も高いです。
また被害が起きる可能性もあるので、掲載し続けるのは不適切だと思います。
私が紹介してしまったこともあるので、決まり次第で構いませんので、
どのような対応をされるか教えていただきたいです。立て続けになり誠に心苦しいのですが、ご対応をお願いいたします。

※補足 追記(2021/07/30)
上のリンクが切れていたため、他の参考リンクを貼ります。
●事務所HPに「ニセ強姦被害者」 女性中傷の山田 齊弁護士(東京)を業務停止3月の処分 – 弁護士自治を考える会
https://jlfmt.com/2018/03/06/31688/
●弁護士懲戒処分情報3月16日付官報通算21件目 山田齊弁護士 – 弁護士自治を考える会
https://jlfmt.com/2018/03/16/31697/


メール2と山田斉氏について

山田斉氏をしあわせなみだに紹介したのは私です。私は以前民事で裁判を起こしています。被害当事者の方から「性暴力に強い弁護士がいる」と紹介されて、山田斉氏に依頼しました。依頼した当初に中野さんに紹介し、HPのメッセージを書いていた事も知っていました。
山田斉氏は、「PTSDが証拠になるから絶対に勝てる」と言い、私の被害後の学費なども含め、かなりの額の請求をすることになりました。結果は、私が「被害後に元気そうなブログを書いていた」などの理由で合意とみなされてしまいました。しかし、山田氏のことは性暴力について理解を示してくれましたし、FAXや電話での書面作成にも協力してくれたので信頼していました。信用して言われるがままに控訴し、二審まで裁判を行いました。しかし二審の判決が出た日には山田氏から連絡がなく、次の日の夕方に私から問い合わせるまで判決の連絡はありませんでした。そして負けたあとの態度は雑で冷ややかなものでした。思えば、裁判のときに相手の弁護士からセカンドレイプを受けて、ストレスで私が倒れた日も、山田氏は相手側の発言を止めることはありませんでした。ほかでも端々で対応への不信感は感じていました。
私もさすがに「絶対に勝てる」とは思っていませんでしたが、そのことより負けたあとの対応に疑問は持っていました。しかしその件についてはしあわせなみだに報告をしていませんでした。

■中野さんの返信 8/7(返信2)

卜沢彩子様

お世話になっております
NPO法人しあわせなみだ中野宏美です。

香田千沙さんならびに山田齊さんのメッセージ掲載について
団体で検討した結果、削除はしないことになりました。
ご期待に沿えず申し訳ございません。

今後ともよろしくお願いいたします。
 

返信2について 性暴力ゼロを目指す団体として誠実な対応を求めます。

私はこの対応にショックを隠しきれませんでした。掲載意図のみならず、判断の理由も伝えられないこの対応は誠実だとはとても思えませんでした。
そもそも、私自身の脱退の経緯は酷いものでした。被害直後は自分の体調不良や力不足で迷惑をかけたことあったものの、脱退前は自分の意見や立場を中野さんにあまりにも軽視される対応が続いていました。メールで中野さんに必死の思いで「自分にも悪いところがあるけれど、それでも少しは考えて欲しい。このままでは一緒に活動できない」という旨を伝えたところと、中野さんからは一切の歩み寄りはなく、他力本願、スキルがないので当事者として以外のことは任せられない等の評価をされ、メールで切り捨てられるように脱退することになりました。

本筋から逸れますし、今でも見ると涙が止まらなくなるくらいあまりにも酷いものだったので、文面や感じていた問題については今は載せません。7年間活動した中で、副理事長とは名ばかりで、私はほとんど貢献できなかったのかも知れません。
それでも私はしあわせなみだは、10年前の性暴力の情報が少ない状況の中でアクセスができる情報を集め、堅実に大切な活動をしてきた団体だと思います。関わらせていただいたことは感謝していました。性暴力に対する活動を続けてきた中野さんを尊敬してきましたし、個人的につらい気持ちを語ることはあっても、公にはこのことを語りませんでした。中野さんを見るのも苦しかったので、言及や応援ができなかったことが心苦しかったくらいです。

しかし、今回の判断や対応は、性暴力被害者がアクセスするHPを運営する上で誠実だとは思えません。この件に関しては私にも責任があります。掲載されたメッセージを見たことや山田氏に相談をしたことで傷ついた方がいたら誠に申し訳ありません。
このまま私が個人的にやり取りをしても、回答をいただけないだろうと感じました。その上で今回の件は公に強く批判させていただきます。今後も性暴力ゼロを目指す団体の代表として、関わる人が傷つかないよう誠実な対応を望みます。

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