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こういう時こそ、笑おう

皆さんは日頃からしっかり笑っていますか?
コロナウイルス感染症が広がり、外出自粛が続いて誰かと話す機会も減ったという方も少なくないでしょう。また、連日、感染者数や死者の数が報道され、悲しいニュースが多い中で、心を痛めている方もたくさんいらっしゃるかと思います。

実際、私は医療現場で働いているので、感染症の恐ろしさは身に染みています。患者さんを守ることが第一ですが、そもそも自分自身を守らなくては、患者さんを守ることはできません。ですので、より一層手洗いや消毒などの感染予防には力を入れています。

しかし、そんな張り詰めた雰囲気の中で毎日過ごすのは、心が擦り減ってしまいます。私はこういう時こそ、”笑い”が大切だと思っています。

笑いってどんな効果があるか知っていますか?


実は、「笑いは健康に効果がある」と色々な研究で確かめられているのです。

笑いと健康の関係を研究するきっかけになったのは、1976年に米国のジャーナリストのノーマン・カズンズが書いた闘病記です。彼は、49歳の時に硬直性脊椎炎という難病と診断されました。さまざまな治療の経過を経て、彼は笑いやユーモアが副腎に作用し、免疫力に関係するのではないかと考え、友人の医師とともに笑い療法の研究を始めました。すると、彼の身体は数か月後には社会復帰を果たせるまでに改善されたのです。


笑いが健康に良い効果をもたらす背景には主に2つあります。
1つは呼吸に作用することです。笑う時には、下腹部に力を入れて息を短く吐くことを繰り返しています。これは腹式呼吸をしていることと同じになります。1回に出入りする空気の量は、胸式呼吸でおよそ500㎖、腹式呼吸では最大2000㎖にもなり、1分間の呼吸量は腹式呼吸の方が多くなります。つまり、大声で笑うことを繰り返すと体内にたまっている大量の二酸化炭素が身体の外に出て、たくさんの酸素が身体に入りやすくなります。すると、肺胞の表面からプロスタグランジンという物質が分泌され、血管を拡張させて血圧を下げるように働きかけます。また、興奮した時に分泌されるホルモンであるノルアドレナリンの分泌も抑えてくれます。笑いが呼吸に作用することで様々な身体の不調を整えてくれるのです。


 2つ目は、免疫機能に作用してくれることです。とある研究で、寄席を見に来たお客さんにガンと戦う免疫細胞であるNK(ナチュラルキラー)細胞の活性を調べたところ、大笑いをした後の方がはるかにNK細胞が活性化していることが分かりました。また他の研究では、お笑いを見た後にNK細胞の活性化を見てみると、全体の平均値は開演前と比べて35~45%アップしており、中には50%もアップしている人もいました。そして、免疫機能を活性化させる一方で、糖尿病や抑うつ、炎症反応に関わる遺伝子群の発現は低下する傾向があるということが分かりました。そもそも糖尿病の患者さんは不安や恐怖、悲しみ、痛みなどのストレスがあると血糖値が上がりやすいです。笑いは喜びや楽しみといった快の感情が表に出たもの。そういった前向きな心の状態が身体にいい影響をもたらすのです。


 この他にも、ほぼ毎日笑う人とほとんど笑わない人では、後者の方が1年後の認知機能の低下が大きいという研究もあります。


日常に笑いを意識することで、健康で丈夫な身体になっていくことでしょう。
ですが、なかなか笑えない日もありますよね。そんな時は作り笑いをしてみてください。笑うと、表情筋が動いて口角が上がりますよね。楽しいことがなくても、この表情を作っているだけで、脳は笑っていると錯覚して、気分がほぐれてくるのです。

病は気からという言葉は本当かもしれませんね。

それでは。お体ご自愛くださいね。

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