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インタビューこぼれ話~昭和大事件連続上演「光への道は遠く」

はじめに

昨日、取材・執筆を担当した演劇ニュースサイト「エントレ」にて、

【高橋いさを・田島亮・山像かおり・田中穂先オフィシャルインタビュー~昭和大事件連続上演「光への道は遠く」】

が公開されました。

実はこのインタビュー、1時間弱とたっぷりお話しをうかがったので、インタビュー記事では泣く泣く割愛したエピソードも多々ありました。せっかく面白いお話しをうかがったのにもったいない……と思い、インタビュー対象者および主催者に了承を得まして、「取材こぼれ話」としてこちらで公開することになりました。記事には使用しなかったお写真も併せて公開します。

写真左から田中穂先、高橋いさを、田島亮、山像かおり

《最初の企画は田島亮主演『カリギュラ』だった!》

今回の企画がどのように立ち上がっていったかを聞いたところ、田島さんからこんな裏話が聞けました。
 
田島:銀ゲンタくんと北田万里子さんから「一発勝負の舞台をぶちかましたい」ということで、『カリギュラ』をやりたいとオファーされたんです。田島亮主演で『カリギュラ』ですみだで2週間、2回ぐらいしかお客さん埋まらないと思うよ、とお断りをしました(笑)。
 
断った理由はもう一つあって、
 
田島:やっぱり『カリギュラ』は小栗旬主演版(2007年・蜷川幸雄演出)と菅田将暉主演版(2019年・栗山民也演出)という、めちゃくちゃ成功した作品を見ているので、自分でやるのは絶対無理だと思いました。
 
なるほどな、と思いつつ、田島さん主演の『カリギュラ』見てみたいです!

みなさん笑顔でいろいろお話しくださったのが印象的でした!

《田島亮は人たらし!》

高橋さんから「亮くんと私は今が蜜月の時期かもしれない」というお話しが出た流れで、田島さんがどんな人かという話に。
 
田中:人を幸せにするタイプのペテン師です(笑)。
 
山像:そう思う! なんか、蜜月感を出すのがうまいんですよね。人たらしだと思う。それは嘘っぽいんじゃなくて、本当にそう思ってると思うんだけど、でも本当にうまい(笑)。
 
田中:「好き」を伝えるのがうまい。
 
田島:ああ、でもそこは隠さないからね。
 
山像:やっぱり「好き」って言われると嫌な気持ちには絶対ならないもんね。
 
高橋:亮くんがいないところで彼の話をしてるときに、やっぱり「人たらし」って言葉がよく出ますからね。
 
田島:へえーっ、そうなんですか?
 
山像:みんなたらされて来てる(笑)。僕はこれだけ知り合いがいて、これだけ面白いやつら知ってるんだぜ自慢、みたいな(笑)。田島亮の人たらし自慢公演でもあるかも(笑)。
 
田中:小劇場を地元として、地元の友達自慢みたいな(笑)。
 
山像:選ばれて光栄だよね(笑)。
 
 皆さんから口をそろえて「人たらし」と言われる田島さん、でもご本人はキョトンとしていらしたのが印象的でした。無自覚人たらしなんですね!

田島亮さん

《他チームの公演を見ると……》

今回は4作品連続上演で、山像さんと田中さんは1作品のみの出演なので、他チームの作品が気になる様子。
 
田島:作品をそれぞれ見せ合うのも楽しみですよね。マチネで他の芝居見てから、自分のソワレがんばろう、みたいな。
 
山像:ドキドキするけどね。
 
田島:かおりさんと穂先は休演日に下北沢にも見に行けるよね。すみだ組は3作品あるから休みが意外とあるもんね。
 
田中:休演日が結構ありますね。
 
山像:それにびびってるくらいです(笑)。
 
田中:あんなに休んでいいのかな、ってくらい。
 
山像:怖いよね! 本当に怖い。
 
田中:違うチームの芝居を見て「あれ、向こうのチームはなんかアッパーだな」って思って、その後自分の芝居が変わっちゃったりしてね(笑)。
 
山像:それ、一番悪いやつだ(笑)。
 
すみだの3作品は公演期間が長いので、前半で見るのと後半で見るのと芝居の印象が違うかもしれませんね!

田中穂先さん

《作家のキモチ》

作家・秋之桜子としてもご活躍の山像さん。高橋さんとは作家談義でも盛り上がりました。
 
高橋:山像さんもお書きになるから脚本家の立場の話をすると、自分で書いたものを自分で演出すると、どうしてもやっぱり越えられないものが何かあるような気がしているんです。
 
山像:自分で演出すると、舞台装置にかかるお金のこととかいろいろ考えるじゃないですか。それをやりたくなくて、私は演出しないんですよ。そうすればいくらでも自由に書けるから。どんな小さい小屋でも「雪が降る」とか書けるんです(笑)。スタッフがそのト書きを読んで、本閉じたって言ってました(笑)。「どうやって雪降らすんだよ!」って。でもそうするとスタッフが考えてくれてちゃんと雪を降らせてくれるんです。

 
高橋:作家は自覚的でないところがあって、だから「いさをさん、これはどういうつもりで書いたんですか」と聞かれて、「うんっ?」と口ごもってしまうことがあるんですよね(笑)。
 
山像:わかります、役者ってそうですよね。こっちは無意識で書いてるのに、「ここはこういう意味ですか?」って聞いてきて、「うーん、そこは何も考えてないんだけどなぁ」っていう(笑)。
 
高橋:そうしたら「いさをさんは細胞で書いてるんですね」と言われて、それは褒め言葉なのか、なんなのか(笑)。

 
作家の役割、演出家の役割、役者の役割、スタッフの役割……それぞれに役割があるのだなぁ、と改めて感じるお話しでした。

山像かおりさん

《既存の作品にたとえると?》

作品の見どころについてうかがったところ、『好男子の行方』についてはこんな話が。
 
田島 「好男子の行方」は舞台版バイプレイヤーズ、ですかね。
「自分が目立つ」というより、相手や作品のことを大事に出来る方々が7人いて、その7人とも今回は主役、みたいな。3億円事件をワンシチュエーションコメディーでやるバイプレイヤーズです、という感じです。
 
高橋 『ユージュアル・サスペクツ』にも通ずるところがあるかな。
 
一同 確かに!
 
山像 7人を見てたら「推し」ができそうだよね(笑)。どの人を中心に見るかでまた違ったりもするし。だから何回も見に来るといいと思いますよ。
 
インタビュー本編でもお伝えしましたが、『あなたはわたしに死を与えた─トリカブト殺人事件─』について、高橋さんからは「刑事コロンボ」のような倒叙形式のミステリーです、というお話しもありました。4作品とも実際の事件を題材にしていますが、事件の詳細を知らない方はあえて事前に調べずに見に行くと、ミステリー物として楽しめると思います。

高橋いさをさん

おわりに

今回、取材こぼれ話の公開を実験的にやってみましたが、お楽しみいただけたでしょうか?今後も機会があれば、こういった形で取材こぼれ話を公開できればと思っています。ご快諾くださった関係者の皆様、ありがとうございました!公演のご成功を心よりお祈りしております。何より、一観客として公演を楽しみにしています!

光への道は遠く フライヤー表面

※公演詳細は公式サイト(https://officeriko.wixsite.com/hikarihenomichi)にてご確認ください。

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