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10年もNPOにいるのに「営利企業じゃだめなの?」と聞かれて答えられなかったからひとり反省会する。

縁あって、あるスカウトの方とお話をする機会をいただきました。
年間で100人近くの人と出会い話を聞いているそうですが、非営利セクターからのリクルートは初めてだったのではないかと思います。

お話をさせていただくなかで「事業法人(営利企業)じゃダメなの?」という問いに対して、適当に答えてしまったことが心に引っかかり、ひとり反省会をしてみようという次第です。

「利益追求が合わない」という30点の回答

その場では、利益の追及がちょっと考えにくいという論旨でお話をしました。たしかに入職当初はそんな気持ちもあって、成果を資本の増減で測ることへの拒否感がありました。

しかし、事業型の若者支援NPOに入ってみると、事業性が法人のレピュテーションのひとつですから、結局は数字もお金が頻出ワードです。
もちろん、それが主たる成果指標ではないものの、企業さんとの協働プロジェクトを考えたら「ひとりが自立することによる社会的投資効果」なんて話をしはじめるわけです。SROIやSIBのようにビジネスサイドの思考が多分に含まれています。

つまりはカネが絡んでくるから営利はイヤだというのは必ずしも正しくない。

「素敵な人ばかりだから」が70点?

その問答から時間をおいて考えてみたいま、僕はこの業界にいる人たちの世界観が好きなんじゃないかとシンプルな回答にたどり着きました。

NPOに向いている人」という括りで以前記事を書いたのですが、NPOにいる人たちの視点はちょっと特殊なところがあります。

NPOが取り扱う事業の対象は、マイノリティだったり、事業化しにくいマーケットだったりと「弱者」であることが多いです。
そういうところに目が向いてしまう人、そういう人のために働こうとしてしまう人が集まる業界というのは、他業界ではそうそうないように思います。

福祉領域は近いかもしれませんが、対象は人に限りません。
というか動物ですらない場合もありますし。心広すぎます(褒め言葉)

つまるところ「バイブスが合う」って話なのかもしれません。
やっぱり気があう人と仕事しないとしんどいじゃないですか。

職場環境を飛び越えて業界環境はやっぱり大きいです。
スカウトの方に「めちゃくちゃ優しい人ですね」って言われたんです。
大学時代に「サイボーグ」と呼ばれ、心をどっかに置いてきた山崎がです

それはNPO界隈の優しさに触れていると自然とそうなっちゃうと思います。
逆に世間はやっぱりこんな優しさが無いのかなと悲しくもなりますし、ちょっと営利世界への不安も感じます。

100点に向けたオマケ要素

加点方式で30点分追加したいと思います。

ひとつは、まだチャレンジされていないことを切り拓いていけること。若者支援の分野でも「ひきこもり」「ニート」のテーマは20年に満たない新しい分野で、多くのことが「新しいチャレンジ」になります

そういうチャレンジを(失敗も含め)試み続けることができるのは良ポイントです。逆に確立されたフローをこなすみたいなことは超絶苦手になったと思います。もともと得意じゃなかったので諦めもつきます。
強いていえば、この辺はベンチャー企業さんもやっていることですからオマケ要素です。

あと、だいたいなんでも仕事になります。
NPOを理解してもらうため、若者たちにこっちを振り向いてもらうために、あらゆる手を考えるわけですが、その結果、生まれてきたのがチャリティミニ四駆大会やボードゲーム大会だったりします。

こういうことを仕事と称してやっている人たちはそれほど多くはないです。ミニ四駆は企業プロモーションの材料になってきましたが、ボードゲーム遊ぶのが仕事になる人はプロでも無い限り、そうそういないでしょう。ふふふ。

「やりたいことして生きていく」とまでは言えませんが、NPOの持つ性質は極めて柔軟です。それは「自分」を活かすということに理解があるということでもあります。

やっぱり非営利の世界が好き

なんとなく自分の中で納得できる回答にたどり着くことができました。
あーよかった。

しかしこの質問、逆に聞きたいですよね。
「事業法人じゃないとダメなんですか?」って。
たぶん、ほとんどの人は非営利の選択肢が無いから考えたこともないと思うけれど、この質問はこれから増えていく気がします。

働き方改革で個人事業主(フリーランス)の人も増えるだろうし、個人と仕事の関係性がものすごい勢いで変わってきているように感じるんですよね。

会社に所属する / しない
決まった場所で働く / どこでも働けるようにする
成果をどう求めていく
報酬をどんな形でもらう...

ずいぶん話がそれてきたので、働き方についてはまた別の機会に書こうと思います。

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