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若者が寄り付かないモノのデザイン考

若者を支援するNPOにいると「若者と出会う」ことについて、常に考えを巡らせています。

それは、一般にニート、ひきこもりと呼ばれる若年無業の若者たちと直接的なコミュニケーションをとるのは極めて難しいため。
社会との接点を失った彼らとコミュニケーションをとれる機会をつくりにくく、予防的観点から学齢期(10代)のうちから私たちの活動を知ってもらう機会を作ることも重要なアクションととらえています。

今回、参院選で、若者の投票行動に目を向けた人がいつにもまして多かったように感じています。ご高齢の方を起用して煽り動画作ってみたり、芸能人が呼びかけたり。マンガ家さんも動いてましたね。

総務省は年代別の投票率を公開しています。
なぜか10代の投票率だけを速報値として出しています。(2019/7/28現在)

その値はというと、前参院選から大幅に下がり31.3%で全体の48.8%と比較しても明らかに低いです。ツイ廃気味の僕は、この結果のせいか「若者が政治の方を向いていない」と嘆くツイートを3秒おきにみた1週間だったように思うのですが、みなさんどうでしょう?

若者たちはなぜ選挙(政治)に寄り付かなくなったのだろう?
興味をもってもらうためにできたことは?
毎日のように「若者に出会う」を考えている僕は、日々の業務に今回の事例をしくじり先生的に活かすことができないか考えています。

具体的なところでは、広報期間が足りなかったのでは?と考えました。

※参考:参院選スケジュール
6月26日:日程閣議決定
7月4日:告示
7月21日:投票日

昨今、映画の告知で「来年の話かよっ!」ってことも多くないです?
結果を出すためにそれだけ時間をかけることも是とされる世界で、告示から投票日が3週間に満たない時間しかないことは果たして適切だったのか?と思うのです。

映画が1年かけて広告を出すのは空気を作るから。徐々に盛り上げていき、コンテンツに興味を持ってもらえる母数形成をするんですね。関心が薄い人ほど時間をかけてその映画を認識してもらわないと、わざわざ映画館まで足を運んでもらえないですよね。

大人たちは日々ニュースをみて、政治に触れ、その広告的な効果を無意識に享受しているのかもしれません。

しかし、そういう機会がない若者にとって、告示から投票までの時間はあまりに短く、ともすると、彼らに選挙の存在を知らせることすらできていない可能性を感じています。
「若者も投票へ!」と声高に叫ばれ始めるのは告示がされて、街中に立候補者の一覧が掲示されるころでしょう。

大人の何倍も情報にあふれた世界に生きる彼らに、その存在を知ってもらうために必要な時間が用意することができていたのだろうか?と思うのです。

むしろ一般には行政コストの削減が叫ばれるご時世ですから、選挙をコンパクトにするのは同意します。そうであるならば、告示から投票日に入る前の間にどれだけ「若者を投票につなぐ」ためのアプローチが取れていたのでしょうか?

そういう意味では、若者に投票を呼びかける点において共感できるストーリーを展開することができたのかということ。

共感できるストーリーは、マーケティングの世界で重要視され、個々人の行動意欲を湧き立てるために大切にされている行為ではあります。

そういう意味では「いいね」でつながるコミュニケーションが基本の彼らにとって、「いいねを稼ぐ」ことができないコンテンツに興味を持つのだろうか?と思ったりするんです。

これは個人的な意見ですが、平成30年間いろいろありましたけど、政治の世界は「いいね」どころか「よくないね」って話ばかりが続いていて、若者向きじゃないよなぁと思ったりするんです。

もっと幸せにあふれる情報に触れていたい。ネガティブなことで盛り上がることなんか求めてない。それが彼らの本音だとは思うんです。
ネガティブな情報に時間を割くくらいなら、身近な友人たちとの交流や「いいね」が集まるコンテンツに時間を割きたいと思うのが自然でしょう。

「最初の5秒」でコンテンツを消費するか決めていると言われるほど、情報の取捨選択が鋭敏です。逆に言えば、彼らはそれだけコンテンツにあふれた生活をしているともいえます。議員席から答弁台に移動するだけで5秒過ぎてしまいそうな国会放送はずいぶん筋悪に思います。

とはいえ、必ずしも政治全体がNGかと言われるとそんなことはないと思っていて、幸福追求型のSNSが全盛であるこのご時世。でも「令和おじさん」とか幸福感(ネタ要素)のあるニュースは彼らにも届いていたのだから。

政治分野が幸福感にあふれるコンテンツになるにはどうしたらよいのか。
デザインをし直す時期なのではなかろうかと思います。

それは情報発信とかプロモーションだけが責任を持つことではなくて、政治そのものを若者に魅力あるデザインにしていくということ。
従来からあるモノに「関心を持ってもらえない」と嘆くことに価値がないですよね、、

それは政治に限った話でなくて、自分の仕事でもそうで。
従来型の物事への疑義を持つこと。
この変化そのものが驚異的に速くなってきたいま、その変化に柔軟に対応できるデザインになることが、若者に寄り付いてもらえる最初の一手でしょう。

若者が寄り付かなくなったコンテンツをどう変えていくのか、これは結構大事なイシューなように感じています。
プロレス、競馬、相撲とかはそのあたり変化が進んできていますよね。そういう事例を学ぶ機会を持ちたい...

(そもそもnoteで文章を書いている時点で合わない気もするのですが...苦)

なにかご関心をお持ちいただけましたらご支援お願いします。文章書いてよかった、誰かの支えになれたと励みになります。