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姫君めづる虫ども #わがやの健康法

うちの健康法は、みんなめったに熱を出さないせいか、全然面白くない。
それこそインフルエンザにでもならないと熱が出ないので、すぐに病院へ行く。
それほどでもなさそうなら、早寝、以上。

熱が出たときは、バニラアイスを食べるのだけど、それは、

発熱時のほてった口に、ひんやり冷たいアイスが心地よくて、元気な時よりもおいしく感じるから。

こんな風に面白みのない治療法のわがやだが、
他のおうちでは、そんなに経験ないだろう健康上の注意事項の持ち主が、
娘の葵さん。

わがやの姫君・葵さんは、虫たちによほど気に入られる要素があるのだろうか。虫と言っても蝶々やとんぼ、ではなく、蚊や蟻、寄って来られてもあまりうれしくない虫たち。

彼女は夏がきらいだ。家族といても、友人たちといても、自分だけが虫刺されだらけになる。
かゆいし、時として痛いし、たまに大きく腫れ上がって、皮膚科を受診しなければならない。

できることは、虫除けシール、蚊取り線香、刺された後のかゆみを抑える塗り薬、がまんできない時は流水や氷で冷やすぐらい。

一番印象に残っている虫エピソードを。

葵さんが10歳ぐらいだった夏、家族でおばあちゃん家に遊びに行った。
おばあちゃん家は、福岡市近郊で九州新幹線駅もあり、それなりの住宅地にある庭付き一軒家だ。
その日も暑い日で葵さんは裸足にサンダルだったところ、
サンダルに潜んでいた蟻に噛まれて全治1週間。
場所が場所だけに歩くたび激痛が走り、泣いている葵さんを皮膚科まで歩いて連れて行くという、なかなかひどい親は私。

夜も痛みで起きてしまい、私も付き合って起きていた、痛そうでつらそうで、、、
でも私には、蟻に足を噛まれた経験はなく、彼女のつらさを充分理解してやれない。

夜通しつらそうな彼女に、なんとか明るい気持ちになってもらおうと、私はテキトーなメロディで、♪いたい、いたい、しみるしみる〜、と歌って励まそうとした。完全に裏目に出て葵さんは大泣きだ。

人は、自分がこれまでに経験がないことをどんなに想像しても、結局は、わからないものだ。いや、経験があっても、一人一人の感じ方は違うのだから、人の経験なんて、どうにもわかりっこない。

人の経験を聴く時に、わからないけれど、わかりっこないけど、わかろうと努力している、とどこかで知っているといいような気がする。



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