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カイジよりも面白い!?福本先生の最高傑作、銀と金の魅力

ぶっちゃけカイジより面白いです。
名作なのに知ってる人が少ないと定評の
「銀と金」の魅力をご紹介します。

銀と金は、1992年から1996年まで連載された全11巻の作品です。同時期に「天」と「アカギ」も連載されていました。
90年代前半は福本先生の黄金期です。

あらすじ

「銀王」と呼ばれる裏社会のフィクサー 平井銀二と、それに見いだされて才能を開花させ、やがて銀を超える「金」になるという望みを抱くようになる青年、森田鉄雄。この二人の主人公を中心とした物語です。

株の仕手戦や政治家との裏取引などの駆け引き、殺人鬼や復讐に身を委ねた男との命を懸けた死闘、麻雀・ポーカーなどのギャンブル勝負と、
多ジャンルに渡って物語が展開されます。
「カイジ」や「アカギ」と比べるとゲームの進行や内容は非常にテンポが良くバランスもとれており、作品全体を通して一つの短い物語の中でしっかりと完結するのも特徴です。

主人公の森田の成長ぶりが凄い

森田鉄雄とは

「銀と金」の主人公の1人
日雇いバイトで食いつなぎ、ギャンブル中毒な素寒貧でした。
競馬場で平井銀二に声をかけられたことをきっかけに、悪党たちが金を握る裏社会で活躍します。

基本的に根は善人であり、銀さんに「大金をやるから人を殺せ。罪にはならない」と言われてもそれを拒みました。故に「悪党」としては中途半端でもあります。(なおこれは銀さんのテストであり、ここで大金を選んでいたら森田は銀さんの仲間にはなれなかった)
銀さんとその仲間たちにはない、天性の強運や損得勘定なしで動ける優しさ、さらには相手の虚を突く鋭さを持っています。さらには自らの命を捨てる度量まであるなど銀さんからはとても信頼されている。

劇的ビフォーアフター

「銀と金」の魅力は森田の成長していく姿にあります。
日雇いバイトでなんとなく毎日過ごし、競馬で散財するようなダメ男が、さまざまな出来事に揉まれていくうちに男としてどんどん磨きがかかっていきます

BEFORE

AFTER

顔つきと雰囲気が激変!圧倒的イメチェンッ・・・!

敵の裏をついたり、戦略立てて相手を潰しにかかっていくことがだんだんできるようになっていく、その姿を見ることができるんです。
カイジは窮地に立った時に本領を発揮し、アカギは最初から天賦の才を持っていますが「銀と金」では主人公が成長していく過程を漫画で追って楽しめるのです・・・!!!

モテモテ愛され森田がかわいい

ちなみに森田は福本主人公の中でもモテキャラです。

森田は銀二のそばで活動している中で、メキメキとその実力を発揮していきます。その活躍は裏世界の人達の目にもとまっていました。
 森田が怪我で入院中して銀二から離れた時は、成金、ヤクザ、銀さんの仲間など、およそシャバで生きてないようないかがわしい人達が病室を訪れては、「俺と一緒に組まないか?」とラブコールを受けます。

一般人が入院する病室の中で明らかに浮く森田

そのため、病室にいた善良そうな出版社の社長からも心配され、「今ならまだ間に合う」と仕事を紹介されます。

しかし森田、この反応

入院レベルの怪我を負っても、銀さんについていく強気の姿勢ッ・・・!
森田は、「銀を超える金(キン)と呼ばれる人間になりたい」という志を抱きながら、闘いへと身を投じます。

無一文の状態から一気に数億という大金を手にしながらそれで堕落するとこともなく、女性にまでモテたりとかなり優秀です。
見た目は輪郭が天貴史で、その他はカイジの20歳です。
中身はカイジの上位互換です。

銀さんかっこよすぎ問題

平井銀二とは

「銀と金」のもう一人の主人公
日本の裏社会で暗躍する、「銀王」の異名を持つ裏社会のフィクサー。
あらゆる面で卓越した能力と、独自の人生哲学を持っています。
悪魔じみた思考で弱者や悪党から金を搾り取りますが、「巨悪を征するのはそれより大きな巨悪」という思想を持ち、有力な政治家を使って国の経済界を支配することが彼の最大の野望です。愛称は銀さんです。

まず、銀さんは福本作品内でも顔がとてもいいです。
というより、銀さんをはじめとして福本作品の背広着てるアダルト組は総じて顔がいいです。
アダルト組とは平井銀二、赤木しげる、沢田さん、平井銀次の4人です。※平井銀次は福本先生の初期の短編「銀ヤンマ」の主人公です。口調や顔つきは似ていますが、まったく別のキャラクターです。

とんでもねえ肩幅と、際立つ小顔が凛々しい・・・。
福本作品は絵柄が独特だと言われますが、見慣れると作品内での顔の良し悪しが分かります。銀さんのかっこよさは「渋みと大人の色気で落とすいい男、どんな表情にも深みがあるのに塩顔」です。
ちなみにCV:大塚芳忠さんです。たまりませんね。

森田の師匠的なポジションではあるんですが、森田以外にも

警視庁OB 安田巖
元毎朝新聞記者 巽有三
東京地検特捜部、元検事 船田正志

と、肩書きのパワーに溢れた仲間がいます。

福本作品のセクシー担当

第1話から始まる怒涛のシャワーシーン

ミャァーーーーーーー・・
競馬場から森田をそのまま家に連れ込んで、突然のサービスショット

殺人鬼に襲われた森田を助けたシーン

森田が殺人鬼に襲われていると察知した時は一コマで駆けつけ、秒で敵を倒して、お姫様抱っこで森田を介抱
※森田の方が背が高く、体格もいいです
(ここに車を飛ばしてくる途中、7つの信号を全て青ですり抜ける

このあと車に乗りこんだ銀さんは、助手席で死にそうになってる森田を心配してよそ見運転します。

森田が全身に傷を負い入院した時はバラの花束を持って見舞いに来ます。

与える試練がハードすぎるのに、抱える感情が重い

銀さんは森田を育てるのにかなりハードな試練を与えていきます。
【銀さんが森田に与えた課題(一部)】
・5000万円で人を殺さないか?と銀さん自ら森田に交渉する。
・「今夜は俺とお前の最後の夜、餞別だ――」と、5億の偽札渡してから全て本物の札に変えろ・・・!と森田に手紙を残して姿を消す。
・負けられない麻雀に恐怖する森田に対してナイフを渡す。
 「死ぬことを決意しろ――」と心臓を刺すためのアドバイス。

物語前半は、銀さんの様々な試練を森田が1人で乗り越えて成長していくハートフルストーリーです。
 森田はそれらに対して期待以上の結果を出していきます。そうして男として、悪党としての磨きもかかっていきます。

森田を後継者として成長させていく過程で、森田に絶大な信頼を抱くようになります。しかし、森田が銀二との別れを決意したことで「自分の中の何かを失った」と思い引退を考えます。
ところが、その後の河野との競馬勝負での辛勝が「何者かが自分を引きとめた」と感じ、破滅の時まで戦い続けることを宣言します。
森田がいない銀さんは、俺がなくなるのは次かその次かもしれない・・・とどこかダウナーになります。

ガラス越しに東京の夜景を眺め、
ウイスキーのロックを飲みながら佇む最後のコマは
散る前の花のような儚げな美しさがあります。

銀と金の後半は森田への愛が重いです。

心理戦を得意とするポーカーフェイス、麻雀も強い

西京麻雀編は、2人の共闘です。

瞬間的機転で敵だけでなくここにいる全員(読者も含む)をペテンにかける、まるで悪魔・・・!
人の心・・・、そのスキをつく天才 平井銀二が見れます・・・!
また、各コマの作画を見ると終始ポーカーフェイス極めすぎててしびれます。

森田に「腕は立つ 頭は切れる 度胸も申し分ない 金儲けは天才的。当然だ・・・この人が金を持っていて当然・・・!俺なんかとものが違う・・・!」と言わせるような男
時には甘い言葉でそそのかし、幾千人という人間から金を絞って奪って殺してきた男
生粋の悪党・・・!だけれど、義理固くまっすぐな信条と哲学を持って生きている男

森田のいいね!

それが平井銀二という男です。

ストーリーが面白い!心理描写も素晴らしい!

物語も大変面白いのですが、この2人の主人公が魅力的なのです。他の福本作品では、癖の強さで無双していく主人公だったり登場人物が多いのですが、銀と金は安心して見れます。

また、こちらの作品は福本作品にしては珍しく株の仕手戦、絵画の裏取引、ポーカー、麻雀、殺人、競馬と多ジャンルに渡ってテンポ良く話が広がります。
欲望、憎悪、復讐劇、陰湿、卑怯・・・どろどろとした人間ドラマ、
手に汗握るギャンブル勝負!

どの方面も中途半端に終わらせず、きっちりと森田たちは糧にしていきます・・・!

多方向から、その成長や躍動を見れること、
麻雀やギャンブルだけじゃない、
福本先生のセンスの結晶・・・!

銀と金、これぞ福本作品の最高傑作です

持ってかれたっ・・・!私の心臓っ・・・!
ハートキャッチ銀王・・・!

銀と金はオススメです。読み返すたび色んな発見があります。
何歳でもどんな人にも読んでもらいたい、そんな不朽の名作です。

各福本作品に登場する名言、そのシーンや背景も濃密に解説している本があります
この作者さんは、銀と金から福本作品にどハマりして、ここまでの本を書き上げたそうです。

圧倒的情熱ッ・・・!圧倒的熱量ッ・・・!
銀と金凄すぎっ・・・!

銀と金に続編はあるのか?

銀と金は若干消化不良な感じで終わっています。

福本先生の下でアシスタントを務めていた佐藤秀峰によれば、人気作であったため担当編集者は継続を求めて食い下がったものの、カイジの連載が決まったため、やむなく福本側からの打診で連載を終了させたとのこと。

私は初めてこの作品を読み終えてから「えっ・・・この先続きはないんですか??」と頭を抱えました。
 だって、まだ拾ってない伏線が、手付かずで転がってるじゃないっ・・・!
連載終了が1996年・・・?いや、今からでも遅くはない・・・、倍プッシュだッ・・・!!と思いつつ、最近は中トネガワ、ハンチョウ、仲根など新作スピンオフが出てばかりで、「銀と金」に関してはこの20年音沙汰がありません。

地獄を見つめて生きるより、希望を追って死にたいと望んだ私は2018年9月26日、赤木の命日パーティーで福本先生に質問してきました。

「銀と金の続きはありますか・・・?」

そしたら、銀と金の続きは特には描かないとの事でした

私に残された道は
圧倒的結末を受容し、涙を飲むか

あるいは・・・

待ち続ける・・・
灰になるまで・・・!

続編期待してます
―完―


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