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各ブランド杉の特徴。(日々更新)

秋田杉(アキタスギ)

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・秋田杉とは、秋田県米代川、雄物川流域を中心とした森林地帯に生息する天然スギを指す。
・木曽ヒノキ、青森ヒバとともに三大美林のひとつ
・樹齢は200~300年程度。
・神社、仏閣の造作材、「曲げわっぱ」や「秋田杉桶樽」などに利用されている
・寒冷地という厳しい環境で少しずつ育ってきた杉は、年輪の目が細かく、赤みが強く、とても美しい木目を持つ。
・清純爽快な香りで構造的に強く腐りにくい特性。
・耐陰性が非常に強く、親木から出た下枝が発育して繁殖する「伏条性」であること、老木になってからも成長が持続するなど。
・木材としても観賞用としても優れた銘木であり「天杉」「官木」などとも呼ばれ、主に「赤」「白」「源平」という等級があり、中でも「赤」は最高級材として扱われる。
・近年の乱伐により蓄積が減少し、天然の秋田杉は十数年と枯渇すると言われ、現在では、実生による植林が東北各地で広く行われている。このため、近年では天然杉を「天然秋田杉」、人工林杉を「秋田杉」と呼んで区別され、天然秋田杉は伐採量が極端に少なく、希少種として珍重されている。
(参考:国産材総合館


気仙杉(ケセンスギ)

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・岩手県気仙郡、下閉伊郡南部地方で産出される。
・年輪幅が広く、軽くて軟らかいため加工しやすい。
・木肌のつやが良く、あたたかな手触りで、木目がよく通り、独特の芳香を放つ。
・主に電柱材として用いられてきたが、現在では蓄積量が増え、柱材、端柄材(寸法の小さな部材)としての使用が増えている。
・気仙郡の住田町は、総面積の90%を森林が占める林業の町である。
気仙地方は、江戸時代からの伝統を持ち「気仙大工」として全国に名を馳せる匠集団の古里。良材を選び、伝統工法を受け継ぐ林業、建築の技に定評がある土地柄。
・生産から加工までの一貫体制を実現することで、流通コストを大幅削減、地域雇用にも大きく貢献し、着実に実績を伸ばしブランド化が進んでいる。
・強度の高い集成材を活用したり、精度高い製造技術で、寸法をはじめ細かで多様なニーズへの対応が可能。廃材や木屑、間伐材などの有効利用やバイオマスエネルギーの活用も視野に入れての活動が行われている。
・東日本大震災後には、仮設住宅やその復興工事で、気仙杉を使用しての建築が注目された。
(参考:国産材総合館


八溝杉(ヤミゾスギ)

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・関東きっての良材
・栃木県・茨城県・福島県の県境に、標高1022mの八溝山(やみぞさん)があり、この周辺の山々は八溝山系と呼ばれる。この八溝山系で伐採された材木は「八溝材」といい、国産材の八溝杉はその一つ。この地域では江戸時代から森林の保護育成が行われ、明治末期には急速に造林が進んだ。
・素性がよく狂いにくい
・木目が美しい
・赤身の色が美しい
・曲げに強い
・アカネトラカミキリムシの被害がない
・建築用材が主な用途ですが、小径木は土木用資材などに使用。
・一般に、丸太の心材部分が黒くなった「黒芯材」や、年輪の中心がずれている「偏芯材」が少ないほか、根曲がりも少なく、年輪幅は一定。
・八溝杉は、伐倒後、枝葉を残したまま3~5ヶ月、山で寝かせる。こうすることにより、葉の蒸散作用によって、材料を傷めずに丸太内部までの含水率を下げることができ、さらに、人工乾燥の際の二酸化炭素排出を防ぐことができるので、エコな乾燥方法。赤身の渋が抜けて、色合いが均一になり、美しい内装材を作ることができる。こうして出来た木材は「葉枯らし材」と呼ばれている。
(参考:国産材総合館


越後杉(エチゴスギ)

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・新潟の森林備蓄量は全国でもトップクラスと言われ、樹齢60年を超す成熟した杉材が豊富
・新潟県で育つ杉材は「越後杉」と呼ばれ、地産地消で循環を促しながら、同時に良質で安心して使用できる木材を他地域へも出荷するため、一定基準を満たす品質性能を持つものを「越後杉ブランド」とする認証制度が設けられ、利用促進のための活動が行われている。
・新潟は日本屈指の雪国であるが、同じ雪でも、新潟の雪は湿った重い雪であり、その雪に耐える難儀さが、粘り強さとしなやかさを兼ね備えた杉を育てる。
・吉野などの有名杉に比べ、その成長速度は3分の2とゆっくりであり、伐採できるまでに60年以上かかる。こうして年輪がつみ、美しい木目と強い耐久性が育てられる。
・山の斜面に生えた木は空に向かって伸びるため、根に近い部分は自然に湾曲し「根曲がり」を作り出す。

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・越後杉ではこの根曲がりに重い雪が積もり、1本の木の中でも特に丈夫な部位となるが、加工が難しく、建築においては敬遠されがち。しかし地元新潟ではこれを建物の梁に使用するなど、知恵と工夫を持って使用されてきた。
・豊富な資源である越後杉が適正に消費されることで、今後も豊かな森林を育てていくためにも、越後杉ブランドの利用促進が望まれている。(参考:国産材総合館


天竜杉(テンリュウスギ)

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静岡県そして南アルプスの西南部に位置する静岡県浜松市天竜区は、その面積の90%が山林で占められ、この地域で生育する国産材は「天竜杉」と呼ばれている。

天竜川流域の恵まれた自然環境にある、日本三大人工美林のひとつでもある天竜の林には、良質の杉や桧が生育する。

江戸時代から人口造林が行われていましたが、明治時代に金原明善という人物が、天竜川の氾濫を契機に河川改修に自費をもって取り組み、治山・治水の考えから本格的に植林事業が始めたのが、天竜の杉林の起こりとなっている。

天竜杉は、国産針葉樹の中でも第一級の最優良材とされ、曲がりが少なく、節部への皮の入りも少ないのが特徴。

心材は耐久性が高く、長期の水湿にもよく耐えるほどの耐水性を誇る。渋い赤みを呈し、艶やかな木肌。脂が強いこともあり、柱や内装材としてカンナを掛けたあとの輝きが強く、表面塗装の必要がないほどの美しい光沢がある。

木理は通直で緻密、狂いが少なく、加工性に優れ、特有の芳香、心地よい肌触りが気持ちの良い材。柾目で揃えられた木目には、高級感が溢れる。

天竜杉は、杉の中でも高い強度を持ち、土台、柱材、縁甲板、腰板などに用いられ、内外装ともに使用可能である。(参考:国産材総合館


東濃杉(トウノウスギ)

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岐阜県の裏木曽、東濃地域で産出される国産材といえば、伊勢神宮の御神木としても有名な東濃桧が有名ですが、東濃杉も、人々に愛用される木材である。

桧に比べて杉の良い点は、水、湿気に強いこと。芯に近い赤身の部分を除き、桧が腐ってしまうような環境であっても、杉であれば耐えることができる。その強度も十分ですが、桧と同様の強度を求めるのであれば、一回り大きい木材を使用することで解決が可能。

東濃地域での製材では、伝統的に二度挽きが行われています。これは一度製材したあとに再度しっかりと乾燥させることで不良材を排除し、再度製材する方法で、手間をかけることでより寸法精度が高く、曲がりや反りの少ない木材とすることができる。

こうした天然乾燥材は、販売されるまでに1年間の年月が必要になりますが、在庫管理や流通の体制を整えることで品質管理を可能にし、化石燃料をできる限り使用しないことでエコにも繋げている。

美しい木目はもちろんのこと、粘りが強く加工がしやすい東濃杉は、各種建材として使用される。杉の香りにはリラクゼーション効果、抗菌作用が認められていますが、天然乾燥では香りの元となる油分がそのまま保持されるので、これらの効果はより強く継続される。(参考:国産材総合館

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