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天然の真珠について

そもそも真珠とは?

一般的に日本での真珠は「あこや貝」によって養殖で作られている。
ではあこや貝は体の中でどうやって真珠を作っているのか?

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海で生活していると虫や砂などが殻の中に入ってしまうことがある。
これが外套膜の中に入り込んでしまうと、この遺物を包み込むように膜を作る。
これを「真珠膜」という。真珠膜の内側では貝殻と同じ成分が作られ、大きくなり、これが真珠となる。


美しい真珠を作るために-真珠の養殖-

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生育環境
真珠の養殖はすごく繊細だ。
潮の流れが穏やかで、プランクトンも豊富。
一年の平均海水温度が15℃以上、冬場で13℃以下になる場合に備えて対処できる漁場であること。
上記条件に加え、真珠にとって最適な海の環境を維持するために、外的要因による海の環境変化が起きないよう、湾内の漁業権を行使し尚且つ、生活用水は綺麗に濾過してから海へ、栄養分の源になる漁場周りの山も保有するなど徹底管理されている。

貝は赤ちゃんから育てる
アコヤ貝は稚貝から二年ほど育てる。生育の中で貝殻にくっついてしまうフジツボなどはほっとくと母体に負担がかかったりして、最終的にいい真珠を作ることができないため、手をかけて丁寧に取り除いていく。

貝の手術
真珠を貝の中に人工的に作るために、この頃に貝に真珠の核を埋め込む手術を施す。これは貝にとってとても負担のかかることであり、手術の質が悪かったり、貝の体力がなかったりすると死んでしまうこともあるよう。この核を入れる作業は熟練の職人技が要求される。術後の貝は波の穏やかな場所で養生する。

真珠を大きくする
レントゲンで検査し、縦籠に並べ足糸がついたのを確認後、沖に出す。
この時に貝の肉質を確認し、廃棄するものもある。

収穫
海水温が下がる(13℃以下)12~1月時期。沖出ししていた貝を引き揚げ真珠を取り出す。この時期は真珠の表面光沢が最も良い時期で、浜揚げ前に化粧巻き漁場へ移動させ、きめの細かい真珠層を形成させ色やテリを良くする。幾つか貝を開き、状態を確認、良ければ浜揚げする。

選別
貝から真珠を取り出し洗ってから、色味や大きさの異なる真珠の選別をする。
(ちなみに貝の肉も食用としてちゃんと使われる)

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浜揚げしたままの殆どの真珠には、真珠ができるまでに核と真珠層の間などに混入した不純物があり、シミができたりしている。浜揚げ珠の選別のあと、それらシミを取り除く処理を行うため0.8mmほどの穴を開ける加工を行う。また、それら穴を開けることで真珠をジュエリーとして用いることができる。

穴を開ける位置を間違えてしまうと商品価値に影響をきたすため、真珠一粒一粒の形や傷を指先で回しながら確認し、その真珠が最も活きる位置を見つけマーク。マークした位置に素早く正確に穴を開ける。

漂白
漂白液につけて染み抜きをする。これは黒ずんだ真珠を白くするのではなく、あくまで沈着してしまったシミを抜くもので、それぞれの個性の色を破壊してしまうものではない。

完成


真珠の種類

真珠にも色々種類がある。

アコヤ真珠・和珠

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上記で紹介してきた真珠である。
世界で最も一般的な真珠で、日本では『和珠』とも呼ばれ昔から親しまれている。
早くから養殖業が盛んだったこともあり世界で取引される大部分が日本産です。
産地の愛媛や三重、また九州などの海は、日本の海の中では暖かい方ですが、世界的な視点で見ると『海水産真珠の採れる最も北の海』となる。
アコヤ真珠の真珠層はキメが細かく、他の真珠には見られない透明感のある美しいテリを示す。
生息分布
日本産のアコヤ真珠は、房総半島と石川県を北限とし、韓国、中国などの温帯~亜熱帯地方、カンボジア、インドネシア、タイなどの東南アジア、スリランカ、ミクロネシア、中近東、メキシコなどの熱帯地方にも広く分布し地域差が大きい。
生産国(産地)
主に日本 長崎県、熊本県、愛媛県、三重県(伊勢)の4県が中心


南洋白蝶真珠・南洋珠

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白蝶貝の真珠は、『南洋珠』ともいわれる。
これは戦前に日本は南洋諸島と呼ばれる島々を占領していて、これらの島で白蝶貝を使った真珠養殖が行われていてために南洋珠の名前がついたと言われている。
同じ南の海育ちである黒蝶真珠の事は南洋珠と呼ばず、白蝶真珠だけを南洋珠と呼ぶのには、そのような歴史的な事情によるものらしい。

白蝶貝は『Mother of Pearl』とも呼ばれ、各国王室の宝冠の中央に燦然と輝く大きな真珠を含め、巨大真珠は全てこの白蝶貝から採れる南洋真珠であると考えられる。

色は、オーストラリア産に多いと言われるシルバー系と、インドネシア産に多いと言われるゴールド系の2系統がある。
貝殻の内側が黄褐色になるものを『金緑種(ゴールドリップ)』そうでないものを『銀緑種(シルバーリップ)』と呼ぶ。また、昔から『茶金』と言われて重宝されてきた、少し赤みがかったゴールド系の色合いの珠は、その希少さから白蝶真珠の中でも特別な存在となっている。

形のバリエーションが豊富。
なかでも、左右対称の美しいドロップ形(涙形)は、希少性も高くトップランクに評価される。
これがペア珠となれば、更に評価は高まる。
『真珠は丸いもの』という考え方もずいぶんと変わり、真珠の持つ形のおもしろさにも目が向けられるようになってきている。
生息分布
オーストラリア、インドネシア、ミャンマー、フィリピン、タイなど
生産国(産地)
オーストラリア、インドネシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、日本など


タヒチ黒蝶真珠・黒真珠

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昔から女性の憧れの的だった『黒真珠=ブラックパール』。
こう呼ばれる資格があるのは、黒蝶貝から採れる黒蝶真珠である。
かつては、その希少さから『幻の真珠』といわれていた黒蝶真珠だが、1970年代にタヒチ政府の要請により日本が技術援助してタヒチで量産化に成功し、養殖技術の飛躍的な向上により、今ではとても身近な真珠になった。

黒蝶貝は亜熱帯から温帯にかけて広く生息し、ペルシャ湾、紅海、パナマ湾、カルフォルニア湾、タヒチやフィジーなどを含む広い海域、パラオ諸島、台湾、日本では沖縄から鹿児島、高知、和歌山にかけての黒潮の流れる太平洋側に生息している。
『黒』のイメージの強い黒蝶真珠だが、実際には淡いグレーから漆黒までをベースに、グリーン、レッド、ブルー、ブラウン系などその奥深い色艶と、ドロップ、バロックなどの形状がある。

黒蝶真珠の中でも、孔雀の羽の色になぞらえて『ピーコック』とか『ピーコックグリーン』と呼ばれる黒緑色のものは、神秘的な輝きと稀少性で最高級のもの。
生息分布
奄美大島、沖縄、鹿児島、高知、和歌山、台湾、ミクロネシア、西インド洋、ポリネシアなど
生産国(産地)
タヒチ、ニューカレドニア、クック諸島、日本(奄美大島、石垣島)など


淡水真珠・淡水パール・湖水真珠

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かつては日本の琵琶湖や霞ヶ浦で養殖されていたが、最近では市場に出回る大半のものは中国産である。
中国産の淡水真珠はシワ珠が多くて品質的には低いものというのが相場であったが、1990年代以降、中国での養殖技術が飛躍的に向上し、今ではアコヤ真珠や白蝶真珠に匹敵するような美しい輝きを放つ真珠もみられるようになっている。
それは三角帆貝(ヒレイケチョウ貝)を母貝に使い始めたからで、それまで使っていたのはシワのできやすいカラス貝という貝であった。
中国の湖や沼で養殖することから『湖水真珠』とか、母貝のイケチョウ貝の名前にちなんで『池蝶真珠』などと呼ばれることもある。淡水真珠の大きな特徴は、真珠層の巻きが良く無核真珠で中心まで全て真珠層。
そのためオーバル、ドロップ、ボタン、ラウンドなどいろいろな形状の真珠が採れる。大きさは2~10mmまでさまざまでカラーもホワイト、パープル、オレンジなど。
大きさは2~10mmまでさまざまでカラーもホワイト、パープル、オレンジなど。生息分布
中国ほか広く世界の湖沼や河川、日本(琵琶湖や霞ヶ浦)
生産国(産地)
中国、日本


マベ真珠(半形真珠)

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一般に『マベ真珠』というと、半形真珠の代名詞のようになっているが、本来はマベ貝から取れるものだけを指す。
貝の大きさは25cm位。
半形真珠は、白蝶真珠や黒蝶真珠でも創られている。

日本では、分布の北限と言われる奄美大島で養殖されている。

マベ貝は、真円の真珠を作ることが難しく、その為半円の核を貝殻の内側に貼り付けて半形の真珠を作る。
出来た真珠は切り取って、中の核を抜き出してから樹脂を充填し、白蝶貝の貝殻などでふたをしている。挿入する核を変えると、半形だけではなく涙形、三角形、四角形、ハート形等が作れる。
半形が主流の理由は、貝の内臓の構造がアコヤ貝などと異なるために丸い角を鍾乳して作るのが難しいと言われているが、近年では養殖技術の向上で、真円のマベ真珠も少量であるが産出されている。
生息分布
世界各地の熱帯・亜熱帯海域
生産国(産地)
奄美大島、香港、台湾、インドネシア


アワビ真珠

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真珠母貝の中で唯一の巻き貝。
貝の大きさは10~12cm位。
日本近海に住むアワビの仲間にはクロアワビ(黒鮑)、マダカアワビ、メガイアワビの大型三種とやや小型のエゾアワビ(蝦夷鮑)などがある。
いずれも内側は薄い緑や桃色などの淡い光が工作して独特の控えめな輝きを放っている。
これら日本の優しげなアワビに対して、カルフォルニア湾のクジャクアワビやニュージーランドのへリトリアワビなどは、深い緑色が渦巻くような、強烈な光沢を持っている。
アワビ真珠は、主にエゾアワビから採られ、採取される種類は少なく、自然の状態で採取されるアワビ真珠はたいてい変形している。
それはアワビは太い足で海底を縦横に動くために、真珠形成のきっかけが出来てもこの動きのせいで、貝殻の隅に追いやられて、真珠は身を潜めて育ってしまうため。
生息分布
世界各地
生産国(産地)
メキシコ、ニュージーランド、アメリカのカルフォルニア湾、韓国、日本(宮城県女川町と長崎県小値賀町)など

参考:http://www.mikimoto-pearl-museum.co.jp/dr_pearl/study03.html
https://www.brilliance.co.jp/jewelry/pearl/about.html
https://pearlmusic.jp/magazine/type.php
https://www.wsp.ne.jp/tisiki-pearl.html


あとがき

出店したおかげで全然関心を抱いていなかった真珠について知ることができた。
売れる、売れない関わらず、新しいところに出ていくと本当に思いも寄らない出会いがあるから面白い。
海のことももっと知っていきたい。

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