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木のあれこれ。no.3 街路樹(後編)

東京の街路樹の歴史
東京の街路樹の歴史は古く、文明開化間もない明治7年に銀座通りでクロマツやサクラを植栽したことが近代的街路樹の始まりと言われている。その後、都市整備が急速に進み、街路樹は東京オリンピックを契機として飛躍的に増えた。現在は、高層ビルの林立やアスファルト舗装の進展などにより東京の環境は大きく遷り変わり、街路樹の役割は緑化にとどまらず、ヒートアイランドの緩和や憩いの空間の創造、都市景観の向上など、拡がっている。

日本の高木(5M以上の木)街路樹本数ランキング

第1位 イチョウ

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街路樹として道だけではなく神社、寺、公園の木などいろいろな場所で植えられている人気の木である。雄と雌で分かれている木で雌は銀杏(ぎんなん)ができて悪臭を放つので街路樹として植えたいのは雄となりますが、幼木の状態で区別するのは難しく銀杏ができる雌も街路樹として植え付けられている。
秋に黄色い落ち葉が地面を埋め尽くし管理が大変だが、病害虫に強く管理や防除が必要になる害虫、病気は発生しにくい。

名前の由来
名前は中国名のひとつ(中国名はいくつかあります)「鴨脚(ヤーチャオ)」に由来するとされている。鴨脚は葉っぱを水かきのある脚に見立てたものと言われている。 属名のGinkgoも中国名「銀杏」に由来するとされる。「銀杏」「鴨脚樹」「公孫樹」といった漢字を当て、これらはすべて「いちょう」と読む。公孫樹は種子をまいても実が成るのは孫の代までかかるという意味なのだそう。

生きた化石と呼ばれるの木
植物分類学的には、イチョウ(銀杏)は、一種だけでイチョウ網、イチョウ目、イチョウ科を構成している、ある意味特別な樹木である。ただ、同じ特徴を持つ葉の化石が見つかっており、古代には仲間がいたとされている。現存するのは一種ゆえ「生きている化石」とも言われ、裸子植物の中では最古のモノのひとつとされている。新生代の氷河期などで様々な種類のイチョウ(銀杏)は衰退し、約170万年前には現在のイチョウ(銀杏)一種のみを残して他の種は絶滅したともいわれている。
現代のイチョウ(銀杏)は、氷河期に比較的暖かかった中国中部地域で生き残った1種と考えられているようだ。日本のイチョウも氷河期に一度絶滅し、6世紀半ばに仏教の伝来と共に中国から渡来してきた栽培種のみとされているが、まだまだ謎が多い樹木のようである。

東京都の木はイチョウ
東京の木は、都民投票で「イチョウ(銀杏)」に決定し、 昭和41年11月14日発表された。

食べ過ぎ注意の銀杏
ぎんなんは古くから薬や食材として用いられてきたが、実は食べすぎると中毒を起こす。有毒成分は4-メトキシピリドキシン(4-MPN)という物質。4-MPNはビタミンB6と構造がよく似ているため、ビタミンB6が結合して働く場所へ誤って結合してしまう。そのため、ビタミンB6が本来の仕事をすることができず、中毒症状が起こる。4-MPNは乾燥ぎんなん1gに約100mcg含まれています。主な中毒症状は嘔吐と痙攣で、ぎんなんを食べてから1~12時間後に発症し、90時間以内(半数は24時間以内)に回復する。しかし、大量に食べ過ぎてしまった場合の死亡例も報告されているほどなので注意が必要だ。

ぎんなん中毒はどのくらいの数を食べると起こるかというと、小児で7~150個、成人は40~300個と言われている。体内でビタミンB6の邪魔をする物質が有毒成分なので、ビタミンB6が体内にどれくらいあるのかや基礎疾患で変わってくるのでこれだけの開きがある。

とりわけ、子どもは身体が小さいため中毒症状を起こしやすい。ビタミンB6欠乏が著しい場合には、40個も食べていないのに中毒になるということも十分、考えられる。

ハーブとしてのイチョウの葉
日本ではあまり馴染みがないが、イチョウ(銀杏)の葉はWHO(世界保健機関)やFDA(米国食品医薬品局)などでハーブとして認められている。ドイツやフランス、スイス、オーストラリア、イタリアなど70ケ国以上で使用される処方薬としても知られている。

フランスでは、1970年代に日本から輸入したイチョウ(銀杏)の葉やイチョウ製剤のことを当時の総理大臣の田中角栄総理の名前にちなんで「タナカン」と名づけている。

ヨーロッパでは、イチョウ葉エキスを脳機能疾患などの処方薬として使用していたが、近年では脳梗塞などの脳血管障害やアルツハイマー型認知症などの処方薬としても使用しているようだ。しかし、日本の制度下では医薬品として承認を得るのは不可能に近く、食品として流通しているのが現状だ。

(妊娠、授乳中の方、血液軟化剤とか、アスピリンなどを含めて現在医薬品を飲んでいる方、出血している方、手術を受ける方などはなるべく食品としても取り入れるのは控え、医師に相談することをおすすめします。)

日本では天然防虫剤として昔から使用されてきた
イチョウの葉には洋服などにつく虫が嫌いなシキミ酸が含まれていて防虫効果がある。また、昔から着物の箪笥にはイチョウの防虫剤を入れていたり、虫食いのない古文書にはイチョウの葉がはさまれていたらしい。

作り方
①イチョウの葉を拾ってくる
②汚れを水で洗う
③乾燥させる
④お茶パックなどに入れて完成

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参考:https://lovegreen.net/gardentree/p58569/


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