墓掃除

晴天のした、墓掃除をしてきた。およそ10年ぶりに墓に行き、せっせと雑草を取り除いて、母を収める場所を綺麗にしてきた。一緒に掃除してくれた従兄弟とその奥さんといろいろな話をしながらやったところものの30分で終わった。

従兄弟の奥さんから聞いた話だと、母が死んだ日は、月こそ違えど母の姉の夫が旅立った日らしい。それに火葬にする日も、同じく月違いだが母の姉の命日だという。不思議なこともあるもんだと心の中で思いつつ、従兄弟夫婦と別れて、私と夫氏は帰宅した。

今から20年前、私は不思議な体験をした。手術中に夢を見ただけなのだが、手術台の上で眠る私を亡くなった親類たちに死んだネコが取り囲んでいたという奇妙な夢だった。
私はその様子を上から見ていた。取り囲んでいた親類たちのなかにいた祖父とネコだけが私を見上げていた。祖父は険しい顔だった。ネコも怒ったときのような顔をしていた。その後すぐに意識を取り戻したところ、母が泣きながら側にいて、一時的ではあるが心肺停止したと聞かされた。つまり、三途の川に向かう途中で祖父とネコに引き戻されたというわけだ。このときから20年が過ぎたが、夢で見た光景は今でもはっきり覚えている。母に夢の話をしたところ、またまた号泣した。じっちゃありがとう、ありがとうと言いながら。そしてその祖父が息を引き取った病院で、私は働いている。

母の余命を聞かされたときからずっと祈り続けた。眠るように旅立てますように、そしてできるだけ早く。我ながら不謹慎な願いだと思う。だが、それが本音だから仕方がない。
長患いほど当人にとってしんどいものはない。肉体的なものはもちろん、精神的なものも時間の経過とともに疲弊していく。ならば、せめて、と思うことが悪いこととは私は思わない。

きっと今頃、母は黄泉路を歩いている。願わくば母より一日早く旅立ったハムスターが旅のともになってくれたらいいな、と思っている。

母の祖父母、若くしてこの世を去った従姉妹に、母の弟、母の姉夫婦。先に彼岸に渡った母の悪友・親友たちに最後の願いよ、届け。そちらに母が着いたときは、よく頑張って生きたと褒めてやってほしい。


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