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フィリピンでは2回投票に行かないと選挙権を剥奪されるらしい

フィリピン留学日記、今回はちょっと番外編。選挙のハナシです。

昨日(2019/07/21)行われた参議院選挙、投票率が48.8%と非常に低かったそうですね。それを聞いて思いだしたのが、ちょうど私がセブにいたときに行われた、フィリピンの中間選挙のこと。というのは、フィリピンの投票率は大抵75%前後と高く、選挙制度も日本とずいぶん違うのです。

投票前日と当日は、お酒の販売が禁止

わたしがセブ島に着いたのは5月12日。この日は、フィリピンの中間選挙投票日の前日でした。空港からIT Parkまでの道、バスの窓から外を見ているとそこかしこにものすごい枚数の選挙ポスターが貼りまくられていました。日本では決められた期間に決められた場所でだけポスターを貼ることができますが、フィリピンではそんな決まりはないようです(余談ですが、あとで、日本好きのフィリピン人先生に「日本では選挙ポスターを貼れるところが決まっていて、だから街がポスターで汚れないんでしょう?すてき!」と言われました。そういう観点はなかった……)

バスの中で、QQ Englishの日本人スタッフさんから「明日は選挙なので、いくつか普段と違うことがあります」と言われた内容は、私にとってはかなり意外な話でした。

一つ目は「今日は選挙前日だから、お酒を売ったり、外の店で飲んだりしてはいけない。みなさん、お酒は買えないし、レストランなどに行っても飲めませんが、我慢してください」という説明。政治の話でエキサイトしてるところに、お酒が入って勢い余って暴動などが起こらないように……ということのようです。日本ではそもそも選挙で盛り上がるという概念がないので「そういうものなの?!」と驚いたのですが、確かに5/12、13(選挙前日・当日)とコンビニのお酒コーナーが閉鎖されていましたし、13日に親睦会で居酒屋(QQ Englishの一階は『Q兵衛』という日本風の居酒屋になっているのです)に行ったとき、飲み物はソフトドリンクしか出ませんでした。

投票日は祝日で、会社が休みになる

驚いた話2つ目が、「明日(選挙当日)の授業は、全部スペシャルレッスンになります。グループに別れてレッスンを受けていただきます」という話。スペシャルレッスンやグループレッスンに驚いたわけではなく、驚いたのはその理由です。フィリピンでは、選挙当日は祝日(ノー・ワーキングデー)なので、先生達がほとんどお休みになるんですね。マンツーマンレッスンができないので、その日は出勤している数少ない先生で回すためそういう事情になった……ということ。「選挙の投票日が祝日になるなんてすごいなあ」と。

あとで知ったのですが、選挙の日には国政選挙だけではなく、バランガイという地区の長(市長というのともちょっと違うらしい)の投票もあるそう。いろんなレベルの代表を選ぶ、統一選挙なんですね。国政選挙のほうも、数十人いる候補者の中から十数人を選ぶんだとかで、日本の選挙よりなんというかいろいろ大がかりなのかなぁ……と想像したのでした。

わたしはセブで8人の先生に英語を教わっていたのですが、そのうちたまたま3人と選挙や政治の話になったことがあります(30代半ば女性、20代後半男性、20代前半女性)。3人とも特に政治などに興味がありそうな様子のない人たちなのに、特に女性の先生二人が政治の話になると熱かったのが印象的でした。20代前半女性の先生とは上述のバランガイ選挙の話をしたのですが、「前回のバランガイ選挙のときは、まだ私は選挙権がなかったんだけどね」と言いながら、かな~り熱く語ってくれたのでちょっと驚いたくらい。あ、フィリピンも選挙に行けるのは18歳からです。

2回投票に行かないと選挙権が剥奪される

男性の先生が教えてくれたのは、「2回(続けて?)選挙に行かなかった人は、選挙権が剥奪される」というシステム。あとで申請すれば戻ってくるそうなので、永遠に剥奪されるわけではないそうですが。でもフィリピンの場合、海外で働いていて簡単に戻ってこられないフィリピン人がたくさんいるし、そう簡単に選挙権が移せないため、選挙のために田舎に帰る人も珍しくないそうです。いくら祝日とはいえ「毎回選挙に行け」というのは大変だ……。

「投票率を上げるためですか?ずいぶん厳しいんですね」と聞いて見たところ、「まあ、だから投票率が高いんだろうけど……あと、亡くなった人に投票券が行き続ける、といった問題もあって」と教えてくれました。フィリピン国民はIDを持ってるはずなのに、その辺ちゃんとチェックできていないのか、とちょっとびっくり。

他の国の選挙システムを調べてみると面白いかも

というわけで、日本とはだいぶ違うフィリピンの選挙制度。今回の投票率が史上No.2の低さだったと聞いて、ふと思いだして書いてみた次第です。

日本の投票率って、どうやったら上がるんでしょうね? あと、若い人は選挙に興味がないというのも問題になっていますが、フィリピンでは全然そんなことなさそうで、面白いなあと思いました。

例えば日本でも、義務投票制を導入するなど、選挙制度をガラッと変えるのもアリなのかもしれません。日本にいると「そんなこと無理だ」「これまでこれでやってきたんだから、そういうものだ」と思いがちですが、選挙のシステムって結構国によって違うみたいなので、「まさかそんな」と思うような仕組みも、実は日本でやってみたら意外とフィットするのかもしれませんよ……?

フィリピンの選挙事情についてまとめていた方がいらっしゃるので、リンクを貼っておきます。


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