スタニスワフ・レム『地球の平和』タイトルの由来について

画像1 スタニスワフ・レム『地球の平和 Pokój na Ziemi』のタイトルは新約聖書ルカによる福音書第2章第14節に由来すると沼野先生が解説に書かれているとおりだが、ポーランド語訳聖書での語順はna ziemi pokój、念のため。ziemiaは大地・土地・国土の意味だが、大文字始まりのZiemiaは(惑星としての)地球の意味になる。
画像2 レムはキリスト教的願いをこめてこのタイトルをつけたというよりは、「地球に平和をもたらすため、人類が月のAIに戦争を押しつけた」ことを皮肉っているように思われる。『地球の平和』の対語は何かと考えてみたら、『月は地獄だ!』(ジョン・W・キャンベル)になるのかな。
画像3 「いと高きところでは、神に栄光があるように、地の上では、み心にかなう人々に平和があるように」というフレーズには馴染みがある。幼稚園(プロテスタント教会)でキリスト生誕劇をやらされたとき、天使役の私の台詞がまさにこれだったのだ。それにしても人間の役が少ない……動物だらけだ……

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