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フランスで未経験+キャリアチェンジしてフロントエンドエンジニアになるまで 【就活編】

日本での仕事を辞めプログラミングの勉強を始めてから1年2ヶ月、2022年6月にフランス企業にFrontend Developerとして採用されました。
この記事では就活の体験について書きたいと思います(学習編はこちら)。

タイムライン

勉強の仕方はいろいろなブログやサイトなどで紹介されているけど、就活(特にフランスでの)に関しては情報が少なく未知でかなり苦戦しました。

私の場合、4月に日本の会社を退職していたので1年後の4月には就職したいと思っていました(就職時期の目標は資金の都合や学校の予定など色々な決め方があると思いますが、学習を始める前に自分の中でデッドラインを決めることをおすすめします)。

コロナで就活が長引くこともあるので就活期間は長めにとっておいたほうがいいと知り合いのリクルーターにアドバイスをもらったので、就活は当初6ヶ月かかることを想定していました。実際就活期間は6ヶ月(中断してた期間を含めると9か月)かかったのでその通りになりました。

タイムラインはざっとこんな感じです。

10-11月

プロジェクト3個(JavaScript1個、React2個)作った時点で就活開始。この時は本当に就活のことが何も分からず、CVやカバーレター作成に平気で1日かけてました。

何十社も応募したものの、お祈りメールばかりで何がダメだったのか分からず、新しいフレームワークの勉強をしたり、ブログを書いてみたり、ポートフォリオのデザインを修正したり、色々手を出してた時期。LinkedIn上でもネットワーキングしようと試みましたが、返信がなかったり、あっても「直接の知り合いでないとreferralできない」と言われてしまいうまくいかなかった(もっといいやり方はあったと思う)。

自分なりに色々試してみたものの書類は落ちまくり、なぜうまくいってないかも分からず、この時期は手探りで結構孤独だったように思う。

12-2月

結局年内は書類通過ゼロ。なかなか書類が通過せず何が間違っているのかも分からず、正直精神的につらかったです。国を越えた移動やビザの申請、移住準備、就活のモチベーションダウン等でひとまず就活お休み。疲れたらエネルギーが湧くまでゆっくり休むの大事。

3-5月

年が明けてから少しずつ通過の連絡が来るようになり(年明けのほうが採用活動活発?)、3月に初めての面接を獲得。そのあと何件か面接を経験し、1st interviewは慣れていった。どこの会社も聞かれる質問は似たようなものだったので、面接を重ねるごとに答えるのが上手くなったと思う。

一方でこの頃は技術テストでなかなか通過せず苦労した。例えば、時間をかけて提出して「うまくいったかな?」と思ったテストで"Too junior"のフィードバックをもらってすごく落ち込んだり、モックアップ(ものすごくベーシックなもの)をもとにHTMLとCSSのみで実装するという一見超シンプルなライブコーディングがまったく思ったようにいかず落ち込んだり。

この頃は応募できる企業も限られる中で、「この企業落ちたらもう持ち駒がない」という状況がすごくストレスでした。

6月

6月末に1社、技術テスト1回、面接2回を経てオファーをもらう。オファー手前でHRの人に「数人前職の人にReferenceとして連絡を取りたいんだけど大丈夫?」と聞かれ、「ほぼみんな日本語しか話せないけど大丈夫か」「メールのやり取りでも大丈夫か」と聞いたら「やっぱりコミュニケーション取るの難しいからじゃあなしで大丈夫~。オファー出すよ!」と言われてあっけなくオファーが出る。

実際にやったこと・やればよかったこと

私が就活中にやったこと以外にも、やればよかったなと思うことも含んで書いてます。

CV

就活初期の頃はCVが通過せずここでつまづきました。振り返ってみると、内容が分かりにくかった・デザインがよくなかった等の理由があると思います。

①フォーマット

Twitterで知り合ったJuliaにCVを見てもらい、アドバイスに従いJuliaのブログのデザインを参考にしたところ、採用担当者からシンプルで見やすいと褒められる。採用担当者は忙しいので、短時間で必要な情報が目に入るようなシンプルなデザインがいいらしいです。

②項目

知り合いのエンジニアマネージャーにCVの内容を見てもらい、以下のように項目の順番を変更。

  1. Experience: 各職歴bullet point3-4個。"Professional Experience"ではなく"Experience"にしてチームプロジェクトのchinguもこの欄に載せた。

  2. Projects: プロジェクトで使ったtech stackと概要。

  3. Skills: tech系スキル・ツールと語学。

  4. Education: Udemyのコースも加えました。

  5. Hobbies: おまけ。

③内容

CVはとにかく色々な人に見てもらい、分かりにくい内容は修正して改善しました。できるだけ希望職種で働いている人に読んでもらうといいです。
私の場合、知り合ったエンジニアマネージャーの方にCVを見てもらい、自信満々に書いた前職経験の部分を"I have no idea what it means"と言われて、非マーケティング職の方でも理解できるようにマーケティング用語を減らし、エンジニアにも通じるtransferable skillsを中心に書き直してから通過率が上がった気がします。特にエンジニア以外の経験を持つ方は、エンジニアの方にもちゃんと伝わる内容かを見てもらうのがいいと思います。

あとはResume Wordedを使って自分のレジュメを採点しました。「数字の実績が少ない&active verbsが少ない」というフィードバックが返ってきたのでそれをもとにCVを修正しました。

④CV作成に役立った動画・ブログ

カバーレター

最初はCVと一緒に提出するカバーレターを書くのに慣れず、ものすごい時間を費やしてしまい、後から考えると時間がもったいなかったなと思いました。私の場合、結局途中からカバーレターを書かずに応募しまくったので、こだわりすぎなくていい(もはやいらない?)というのが感想。でもこれは国や応募する企業によると思います。カバーレター必須の企業は内容をカスタマイズして送ってました。
CVは必須だけどカバーレターは任意の企業も多いので、ここに時間を費やすよりCVを分かりやすくするほうに時間をかけたほうがいいというのが個人的な感想です。

LinkedIn

Dannyこの動画を参考にしてLinkedInを整えました。視聴者のLinkedInを添削する形でアドバイスをくれるので見ていて面白いです。Dannyは特にJuniorレベルに向けて色々な情報を発信していて、tech業界にキャリアチェンジしたい人向けにTwitter Spaceをよくやっていたのでフォローするのをおすすめします。

GitHub

GitHubは高い確率で面接官は見ていて、何回か面接でGitHubのデザインを褒められたことがありました。デザインに力を入れて損はないはず。

やったこととしては、クリエイティブなGitHub READMEを集めたサイトを参考にしてデザインをカスタマイズ。時間がない人でも簡単にREADMEが作れるgeneratorもあるみたいです。

また、各プロジェクトのREADMEも情報を厚めにして作成。必ずプロジェクトの概要、使った言語やツール、プロジェクトのdeploy先リンク、プロジェクトの特徴(スクショ動画付き)、今後に向けて(アップデート・改善したいこと)を入れて詳しく書きました。

ポートフォリオ

10月に就活を始めてから全然書類が通過せず、ポートフォリオのデザインが良くないのもあるかなと思い、11月くらいにCVと一緒にポートフォリオのデザインもがらっと変えました。Bestfoliosで気に入った人のデザインを参考にしながら一から作り直しました。変えてから面接でポートフォリオのデザインを褒められたこともあるし、書類が通過するようになった気がします。

プロジェクトに関しては、フロントエンドの場合、JSのフレームワークを使ったプロジェクトを最低2-3個ほどポートフォリオに載せられるといいかなと思います。

応募

私の場合、面接に呼ばれる確率が低かったので応募できる企業は片っ端から応募しました。Juniorのポジションじゃなくても、6割要件に当てはまっていれば応募するようにしていました。採用不採用の判断は企業がするから自分でチャンスを切り捨てる必要はないし、運よく面接に呼ばれたら練習になると思って応募してました。

使ったサイトはLinkedInとWelcome to the Jungle。最終的に内定をもらった会社はLinkedIn経由だったかと思います。フランスでしたが英語の求人は思っているよりも多いなというのが印象。

自分のレベルがまだまだでも、勉強が足りてなくても、早めに応募を開始することをおすすめします。コロナなどで就活が長期化する可能性は十分にあるし、国を超えたリモートワークも可能になったことで国外の候補者も競争相手になるのでより厳しい就活が予想されます。それに、試しに応募してみる中で自分には何が足りないのか感触がつかめると思うので、就活は余裕をもって早めに始めることをおすすめします。

面接

面接はこのご時世でほぼ全てがリモートだったので、画面にカンペを載せて臨んでました (でもやっぱり不自然な回答にならないように見ないで話す練習は必要)。
あとは面接を受けながら「この質問はうまく答えられなかったな…」というものを後から答えを書いて話す練習をしてました。

①Behavioral Interview

よく聞かれる質問は検索すればたくさんでてくるので、事前に答えを用意して自然と答えられるよう練習しました。
例えば"Tell me about yourself"だったら、要点をかいつまんで30秒ほどで伝わるように、前職の仕事内容・キャリアチェンジの理由・エンジニアとしてどういうことをしてきたか(言語、プロジェクトのこと)・どういう形で自分が役に立つのか、を話してました。たくさん面接を受けてるうちに、反応がいい答え方というのが分かってきます。

プログラミング経験に関して聞かれた時にはchinguについてよく話していました。チームでGitHubでのコードレビューやプルリク、プロジェクト管理の経験、リモートで多様なメンバーと協力し合った経験をアピールしました。

また、前職のマーケティング経験に関しては、エンジニア職でなくてもtransferable skills としてアピールできることは色々あるし、他の職種を経験してることは貴重な経験として結構面白がられました。

面接の最後で個人的に聞いてよかった質問は二つあります。

  • "Say you hired me, what outcome do you expect from me after a year?"。そのポジションにどのようなことが期待されるのか、採用者が自分にどんなことを期待しているのかが深堀りできる。

  • "Do you have any reservations or hesitations about moving me forward?"。自分の評価が知れて、問題がない場合には次のステップの案内がその場でされたりするのがよかった。

②Technical Interview

Technical interviewで聞かれそうな質問は以下などを使って事前に調べて勉強しました。面接で分からない質問が出てきたときは知ったかぶりをせず、素直に「こうだと思うけど正直分からない」と言っていた気がします。

あとはPortのメンバーと毎週LeetCodeの問題を一緒に解く会をやりました。1社LeetCode形式の問題を口頭で答える面接があり、対策をしといてよかったな~と思いました。

Technical interviewの最後で聞いてよかった質問は、"Are there any areas I should work on to meet your expectations?"。経験のあるエンジニアからフィードバックをもらえるいいチャンスだし、優しい人は「これとこれをできるようになったほうがいい」と詳しく教えてくれるのでおすすめです。

Coding Test

期限時間内にコーディングして提出するテストやLive coding形式のテストなど、色々な形式のcoding testを受けました。

Takehome形式の対策はfrontendevalの問題をコミュニティーのメンバーと一緒にコーディングしたり自分で解いたりしました。

一番緊張したのはlive coding形式のテストで、最初に受けたテストでやみくもに始めて途中で混乱してしまい、時間切れになって失敗しました。最初にどう進めるか道筋を考えたり、誰かが見ている中で説明しながらコーディングする練習を重ねて慣れるしかないなと思いました。練習として、1回ゆかさんと一緒にlive codingの練習をしたのと、Prampを使って同じようにエンジニアを目指している人と練習しました。特にゆかさんとコーディングしたときは、プロセスの組み立て方とかChromeでのinspectの仕方とか学びが多かったので、先輩エンジニアとコーディングして対策するのはおすすめです。

なぜ通過しないかの分析

特に就活を始めてすぐの頃、rejection emailをたくさんもらっても何がだめだったのか分からず結構落ち込んでました。コーチングでもお世話になったAnnieがブログに「Top Reasons for Rejection(不採用の主な理由)」をまとめています。スクリーニング・面接・技術テストなどステージ別で考えられるrejection理由が書かれているので、「自分はなぜうまくいっていないのか?」と考える人は参考にしてみてください。

就活の結果

【応募数】125社
【書類通過】10社
【オファー】1社

最終的にはフランス企業からジュニアのポジションでオファーをもらいました。その他2社、オファー一歩手前までいったけど会社都合でオファーがもらえなかった会社がありました。もっと早くオファーが出たら嬉しかったけど、結果納得いく会社で働くことができたので良かったと思います。

ビザスポンサーに関しては、フランスだと企業によってFrench Tech Visa (Passeport Talent)をサポートしてくれるので思ったほどネックにならなかったです(私が受けた会社のほとんどがサポートできると言ってくれた)。ちなみに、ビジタービザからFrench Tech Visa (Passeport Talent)への切替の体験談はこちら

就活で大事だと思ったこと

①不採用通知を真剣に受け止めすぎない

これは正直難しいし最後までうまくできた気はしないけど大事だと思ったことです。不採用の連絡が続くとかなりメンタルにくるし、「はたして自分を必要としてくれる会社があるのだろうか…」と憂鬱になるし、コミュニティーの他の人がオファーをもらったと知ると焦ったりの連続でした。けど他の人と比べても仕方ないことし、落ちても「面接やテストのいい練習になった!」と前向きに捉えるようにしてました。それでも落ち込むときは勉強も何もせず数日のんびり過ごす。あまり真剣に受けとめすぎないことが大事。

②疲れたらたっぷり休む

毎日がっつり勉強する必要はなく、時には就活に関する記事を読んだり関連するポッドキャストを聞いたり、少しでもゴールに近づくために小さなアクションをとったならそれで十分だと思います。それと本当に疲れたときは何もせずゆっくり好きなことをして休む。健康第一。

③人に頼る

Tech業界の第一印象は「知らない人同士でも助け合う温かい場所」で、本当にその通りで、「ここが分からない!」というとコミュニティーのメンバーは親切に答えてくれるし、「今仕事を探してる、いいところはないか?」とTwitterに発信すると知らない人から「ここはどう?」と教えてもらったり、「毎週ポートフォリオチェックしてる!」という人にTwitter上で見てもらったら丁寧にアドバイスもらえたり。たくさんの人が助け合う場所なので、どんどん人に頼りながら就活を乗り切っていきましょう(もちろん助けてもらった感謝の気持ちは忘れず)。

参考にしたブログその他いろいろ

働き始めた感想

メンバーはみんな親切でフラットなチームカルチャーで、経験のある先輩エンジニアがたくさんいるのでありがたい環境です。ジュニアであることも理解してもらっていて、分からないことを分からないと言いやすいチームなので助かってます。今まで使ったことがない言語やフレームワークを使って仕事していて、お金をもらいながら勉強できるのが最高!

あとは仕事外でも、お昼休みにみんなでボルダリングしたり卓球したりわいわい楽しくやってます。勤務時間も前職よりも格段に短くて有給が多い、フランス企業最高。

大変ことといえば、今は英語で働いてるけど私以外フランス語話者なのでたまに雑談に入れないこと。笑 あと全社の会議もたまにフランス語オンリーだったりするので来年はがっつりフランス語がんばんなきゃな~と思ってます。

ここまで読んでくださりありがとうございました。同じように海外でエンジニア職を目指す方のお役に立てれば嬉しいです。

Photo by Christin Hume on Unsplash

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