いしだあや@きこえとことばの相談室みちくさ

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いしだあや@きこえとことばの相談室みちくさ

「きこえとことばの困り感」を中心にカウンセリングやトレーニング、学習支援、補聴器相談を中心に活動しています。訪問・オンラインカウンセリングも実施中!「こうあらねばならない」ではなく、「こうしてみてはどうか」という柔らかい試行錯誤をしていきます。

最近の記事

自由であるための自由を得る力

ずいぶん前のことになってしまったけど、2月3日(日)に第1回「きこみゅ」があった。 知り合いで出版社に勤めてる人工内耳装用者の子からお誘いを受けて参加してきたんだけど、普段は交流のないクリエイターや芸術大学の学生さん、 美術館巡りが趣味というとても芸術に造詣の深いお姉さん、聾者のデザイナーさん…たくさんの方とお会いすることができた。 イベント自体は定員6名の小さなものだったけど、とっても濃厚な時間を過ごせた。 私自身、図工や美術の授業が得意ではなかったので、少し緊張気味で参加

    • 入口を確保したその先が大切

      最近は、先天性あるいは言語獲得前にある重度難聴のお子さんに対して1歳時点で両耳人工内耳を選択することが多くなってきているような感じを受けます。 それだけ聴覚障害の発見時期が早くなり、発見された後のフォロー体制も整ってきた証拠なのかな?と捉えることもあったり。 音声言語の発達にとっては音情報のインプットがとても大切な基盤となりますし、多くのリサーチでも早期に人工内耳や補聴器などの補聴機器を装用することである程度の音の入口を確保することが、有意な差をうむことが指摘されています。

      • クロス補聴器というデバイスもある

        先日、片耳難聴について考えてみたので、支援の機器的方法論の一つとして クロス補聴器についてちょこっと。 日本の難聴者の約半数は一側性(片側)難聴と言われます。 「おたふく風邪」のウイルス感染によって、片側の耳がきこえなくなったり、突発性難聴のほとんどは一側性といわれます。 著名な方で一側性難聴になられたかたもいらっしゃいますね。 例えば、浜崎あゆみさんやコロッケさんなんかもそうだったかと思います。 このように、片側がきこえない、聞こえにくい方というのは私たちが思う以上に

        • 片耳難聴は大丈夫なのか?

          今日は京都で開かれた「Center Of Excellence京都」に参加してきました。 聴力検査のテクノロジカルな部分を中心に興味深い話がたくさん。 私は活動の特性上、直接高度な検査を施すということは少ないのだけれど、こういう流れがあるっていうことを知っておくこと、感度を上げておくことは、検査を担当してくださるSTや診察をしてくださるDrと「対等に」向き合っていく上で重要な武器になると思うので、積極的に参加しようとこころがけています。 「軟骨伝導補聴器」という選択肢が伝音

          聴覚障害児教育の在り方に思うこと

          おはようございます。 聴覚障害に関する研究では読書力診断検査を言語力の指標として使用することが多いなあと、論文を読んでいると思います。 それから色々考えている間に、ふと浮かんだことを…。 聴覚障害児教育って、口話法や手話法、聴覚口話法など、様々な教育実践の歴史を持っています。 これは、誰にとって良い教育なのか? これは、教育を受けてきた当事者たちがこうあれば良いのではないか、あるいは、良かったと思うことなのだろうか? 聴覚障害児を健聴者に近づけること、それを追求し続けて

          聴覚障害児教育の在り方に思うこと

          聴覚障害児とことばがけ

          昨日は空が晴れ渡っていて、気持ちよかったなあ。 朝は少しひんやりして空気が澄んでいる感じ。 この静けさが地味に好きです。 ✅空気が「澄んでいる」とか ✅空が「晴れ渡る」という表現は、とても抽象的な表現ですよね。 このようにハッキリと目の前に具体物のない言葉というのは、 聴覚障害児の言葉の世界に 意味を伴って定着させていくことって難しいです。 例えば、目の前にテレビやお米などの具体物があれば、そこに 「テレビつけようか」、「お米を炊いた」など具体物と名詞を結びつけることが

          騒音ってなんだ?

          最近、新しいコーヒーミルを買いまして。 挽きたてのコーヒーがあるとなんだか頑張れる気がします。 また、聴覚障害児や視覚障害児などの感覚障害のある方は、該当する感覚がどうしても弱くなります。 その分、他の感覚で補おうとする「感覚代行」という力が発達しやすいです。例えば、視覚障害の方は聴覚が鋭く、聴覚障害の方は視覚が鋭い方が多いです。そして、「嗅覚」が敏感な方も多いような気がします。 発達した感覚を最大限に活かして、より質の高い生活を一緒に目指したいです。それは、学校とか仕事場

          「聴く」ことと「聞く」こと

          以前、「きこえるってどんなこと?」というテーマで話し合いをしたので、そのことを思い起こしてみました。 聴覚障害児教育をする私たちは、 「きこえない」ということから学び始めます。 それは健聴者にとって「きこえる」ということは当たり前のことであって そこに疑問をもつことはないからです。 私も、この領域の勉強を始めるまでは、 「聞こえるという事実」に対して意識を向けることはなかったです。 ですが、 聴覚について学び始めると、聴覚ってとても奥深くて、 この小さな器官が果たす生理学

          音楽の存在とは

          ツイッターで「自分にとっての音楽」についての人工内耳装用者の方のつぶやきを拝見して 感じたことを書いてみようと思いました。 近年、人工内耳装用児の音楽聴取の研究などが学会で発表されるようになってきています。 先日の記事でも書いた日本コミュニケーション障害学会学術講演会でも 「人工内耳装用児の音楽聴取」についてご発表されている先生がいらっしゃいました。 今回の発表ではありませんが、例として下記のような研究が行われています。 〇大金・城間・小渕(2015) 人工内耳装用者と補

          ろうの世界、手話という言語

          去年のNHK教育テレビで 「静かで、にぎやかな世界~手話で生きる子どもたち~」という番組をやっていました。 http://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=14501  日本には、私立の聾学校が2校あります。 そのうちの1校、「明晴学園」という学校での子どもたちの姿を追ったドキュメントでした。 明晴学園は日本手話で教育活動を行う聾学校です。 「静かで、にぎやか」。私たち健聴者からすると、一見矛盾していることのように思えます

          補聴機器の保守・点検で気をつけること

          最近、春が一気にやってきたような気温を感じることが増えました。 そんな中ふと、補聴器や人工内耳の汗・水対策ということを考えました。 毎年、このくらいの時期から補聴器や人工内耳などの補聴器機が汗で「水没」してしまったという相談を受ける機会が増える気がします。 お母さん方は素晴らしくて、 補聴器にカバーをつけたり、こまめに乾燥機の中に入れたりして ご自身にできる範囲で工夫してくださります。 補聴器のカバーもとても可愛く作ってらして、本当に素敵なんです♡ ですが、そこは機械です

          補聴機器の保守・点検で気をつけること

          技術の進歩との距離

          今年に入って、日本でも人工内耳の最新プロセッサ Nucleus7(通称:N7)というのが発売された。 https://www.hearyourway.com/jp/n7/adults こちらの記事にもN7が取り上げられている。 https://dot.asahi.com/wa/2019022300015.html スマートフォンとつながって、音楽や電話の声をストリーミングできるということで注目を集めている。 最近は補聴器でもスマートフォンとBluetooth接続し、アプリ

          医療×ビジネス勉強会の振り返り

          メモ的に。 昨晩は医療とビジネスのオンライン勉強会でした。 オンラインでの勉強会には初めて参加したから、どんな感じか色々な意味でドキドキしていたけれど、とても楽しくてあっという間でした!! その中で自分の今後の方向性にかかわっていくだろうなっていうことをメモしておこうと思います。 自分の想定するターゲットは、自分のビジネスに関連するどのようなワードを検索しているのかを分析する ターゲットにどのようなニーズがあるのかを知る手がかりになり、ビジネスの目指すところやキーワード

          2019年へ

          久しぶりの投稿。 新年が来たということで、今年の抱負というか、やりたいことを2018年を振り返りつつ、覚書的に書いてみることにした。 ✑2018年に出会った大切なもの 精神的な病気によって前職を退職することを決意し、治療に専念することにした。何度も何度も決めたと思ったのに、周りの意見に影響されて、踏み切れずにいた時間がとても長かった。結局、周囲からどう思われるか(特に家族、今までの自分を評価してくれていた人たち)にばっかり意識がいって、「自分として」どうなのかということ、

          目的をもつということ

          昨日、若者の就職活動の支援センターでエントリーシート作成セミナーに参加してきた。 受験や就職、アルバイトの面接などで小論文や履歴書、エントリーシートを書く機会が誰にも訪れる。 書くことが不得手な聴覚障害児は多く、そういった相談を受けることもあるし、トレーニングのバリエーションの引き出しを増やすという意味でも何か役立つ情報を得られるのではないかと考え参加してきた。 参加定員12名のところ2名の参加だったので講義形式の予定をディスカッション形式に切り替えて行われた。人の考えに

          相手に思いを馳せること

          先日、日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク 通称「PEPNet-Japan」のシンポジウムに参加してきた。 普段はそれぞれの大学で活動している聴覚障害学生や支援活動を行っている学生、それをコーディネートする職員が一同に会し、自分たちの大学での聴覚障害学生支援の現状について報告している。 私も普段は出会えない学生たちと出会い、言葉を交わすことができ刺激をもらった。 そんな中、今回のシンポジウムの「前日企画」というものにも参加した。 聴覚障害学生・支援学生・コーディネ