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『景観の邪魔』AプロとBプロの違い/ワークインプログレス/シンポジウムについて

こんにちは、青年団リンク キュイ主宰の綾門です。

http://www.komaba-agora.com/play/8503

『景観の邪魔』ウェブページの紹介に最初は記載しようと思っていましたが、割と長くなりそうだったのでこちらに移しました。

今回の公演『景観の邪魔』はAプロとBプロがありまして、どちらの稽古も進めている最中なのですが、そう聞いて恐らく想像する「同じ台本をキャスト違いで上演」ということとは種類が異なりますので、この文章はその説明になります。

まず、はじめに構想したAプロとBプロの前提は以下です。

◎Aプログラム

出演者3名

初演『景観の邪魔』の戯曲と橋本清の構成台本をベースにリクリエーション

(上演時間約60分程度を予定)

◎Bプログラ厶

出演者6名

初演『景観の邪魔』の戯曲に、新たな地域のエピソードを加筆し、長編化したテキストを橋本清が新たに構成し直した台本をベースにリクリエーション

(上演時間約80分程度を予定)


初演の際の戯曲は公演期間中、こちらよりダウンロード可能です。
(現在はダウンロード出来ません。ご了承ください。)

http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventworkshop/keikan.pdf

読んでいただくとわかるのですが(面倒であれば冒頭だけでも)、この戯曲の大きな特徴として「シーンの上演順が安定しない」というものがあります。なので、綾門優季の戯曲と、演出・橋本清の上演台本というのはぜんぜん違うものになります。

イメージとしては、僕の戯曲がテトリス本体だとすると、それらのピースをどう並べるかは稽古場次第、という感じでしょうか。テトリスだと消えちゃうので、例えとしてアレかもしれませんが。

加筆したシーンはすべて、東京の外からみた東京、というテーマに沿って書きました(というかまだ書いているので、こちらは未公開です)。誘発のためのStudy Groupで小山都市雄さんと大阪のシーンを、急な坂スタジオで山下恵実さんと神奈川のシーンをワークインプログレスで新たに加筆して発表、その時の観客の方からのフィードバックを踏まえて更に書き直したものに、橋本さんと相談しながら新たに加筆したシーンが入って今回、Bプロで上演されます。

戯曲上では、Aプロは東京の中だけで世界は完結していますが、Bプロは東京の中と外を行ったり来たりすることになります。

ただそれは、あくまでも出発点である戯曲がそうなだけであって、稽古でどうなるかはわかりません。現場はすべからくそういうものです。劇作家が出来るのはあくまでも「美味しい料理が出来そうな仕込み」までです。

稽古をはじめたばかりなのでまだどうなるか僕にもわからないのですが、ひとつ言えるのは、セリフの大部分は共通している、ぜんぜん違う2つの『景観の邪魔』というタイトルの芝居が同時期に上演されるということです。

出来ればどちらも観に来てください!
そしていっしょに、東京の未来に思いを馳せていただけますとありがたいです。

ご来場、心よりお待ちしております。

2019年9月24日
綾門優季

追記:ワークインプログレス詳細

『景観の邪魔』ワークインプログレス

本公演に向けて、急な坂スタジオ 和室で2019年7月に上演したワークインプログレスを、特別上演いたします。神奈川県のシーンが追加された、はじめての上演でもありました。

『景観の邪魔』Bプログラムには、2042,2043,2044,2045年のシーンが新たに戯曲に追加されています。2019年現在の日本社会の状況に呼応し、執筆されたものです。山下さんとのクリエーションではそのうち、神奈川県の川崎市に実家を持つ女性が登場する2042年、様々な経緯でテロに巻き込まれ続ける大沢愛の数奇な人生を辿る2043年のふたつのシーンを、どのような形で上演すればいいのか相談しました。ちょうどAプロとBプロの間にある状態の戯曲になります。ワークインプログレスといいながらも、橋本清演出とはまた異なる意味合いを帯びるアプローチでの上演となったため、再演に至りました。今回は神奈川県で行われることを前提とした急な坂スタジオ版から、東京都で行われることを前提としたこまばアゴラ劇場版に作り替え、上演されます。戯曲は生物(せいぶつではなくなまもの)であるということが、実感されるプログラムになっているかと思います。演出によってどれほど戯曲が姿を変えるのかの証明にもなるでしょう。

2019年10月24日
綾門優季

追記:シンポジウム詳細

シンポジウム「文化の邪魔・東京の邪魔」

邪魔なものは脊髄反射的に排除する、あるいはとりあえずブッ叩く、そういう野蛮な振る舞いがあちこちで目についた2019年、みなさまいかがお過ごしでしょうか?

『景観の邪魔』という戯曲が書かれたのは2017年5月のことですが、作者の予想を遥かに超えて、現実のほうから作品の内容に接近していると思える昨今です。劇中のセリフじゃないですが、不安な毎日が続くわね、と言いたくもなります。

今回のシンポジウムでは『景観の邪魔』の上演の話を契機としつつも、東京の文化行政の在り方や東京という独特の土地で演劇をすることの是非、私たちは東京に具体的に今後どうなっていってほしいのか? など、通常のアフタートークではなかなか手を伸ばせないところまで、劇作家・演出家・制作者と異なる立場から、多角的にじっくりと時間をかけて話をする場です。

最大で1時間と長丁場ではありますが、『景観の邪魔』をご予約いただいたかたは全員入場無料でお入りいただけますので、ぜひお越しくださいませ。

よろしくお願いいたします。

2019年11月17日
綾門優季

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