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ヨーロッパ芸術祭めぐりの旅でのあれこれ 2017

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アート&カルチャー系のライターがゆく、ヨーロッパ芸術祭めぐり。 2017年は芸術祭のミレニアムイヤー! アテネ&カッセルの2会場で開催中のドクメンタ、ミュンスター彫刻プロジェク… もっと読む
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#ミュンスター彫刻プロジェクト

その時、その場所で観るから面白い。だからアートをめがけて旅をするんだ

3日目のミュンスターの朝も、晴れた。慣れない自転車で身体はへたばり気味だが、前日と変わらぬ勢いでワクワクと作品探訪に向かった。なにせ、ミュンスター彫刻プロジェクトは、10年に1度しか開催されない展覧会なのだ。次にこの街に来るのは、きっと10年後だろう。 各展示場所へは、この日も自転車移動だ。ミュンスターは人口の倍の自転車保有率だそうで、自転車用道路も整備されていて走りやすい。が、みな猛スピードで飛ばしているので、交通ルールを守らないとちょっと(かなり)危ない。「逆走しないの

夏の軽井沢のようなミュンスターで、アートをめぐる。そして、芸術は芸術を目的にして何がいけないんだと自問した

ドイツ北西部ミュンスターの夜は静かだ。朝は鳥のさえずりで目を覚ました。よく晴れている。日課にしているnoteの記事を書いてしまった後、朝食を食べていそいそと出発した。朝からワクワクが止まらない。アートに出会いたいという思いが、こんなにも自分を駆り立てていることに、我ながらちょっと戸惑う。何がそうさせるのだろうか。 10年に一度開催されている彫刻プロジェクトの、今回の参加アーティストは34組。複数の作品を展示しているアーティストもいる。加えて、公式マップ上にはパブリックコレク

ふりやまぬ雨の中、世界で一番住みやすい街、ミュンスターに到着

ケルン大聖堂に別れを告げて、やってきたのはドイツ北西部にあるミュンスター。ここでは1977年から、10年に1度、ミュンスター彫刻プロジェクトという野外彫刻展が開催されている。彫刻家のヘンリー・ムーアが芸術と公共のあり方に問いを立てたことで始まったプロジェクトは、今年、2017年で5度目の開催となる。 ケルンで降っていた雨も、鉄道に乗ってミュンスターに移動する間に晴れ間が見えるのではと期待していた。 ところが、さらにどしゃぶりの雨。ミュンスター中央駅のすぐ目の前に設置されて