ヘルシンキ:建築博物館で思い出した小3の女の子の話。

2014年5月20日

タリンで盗難にあった(参考:タリンで盗難にあった話)あと、一晩たち、朝から両替をしてもらって、無事ユーロを手にした。

次の日からフィンランドの教育関連施設を視察するツアーが始まるため、この日の夜からは、ホテル宿泊となる。

ホテルは中央駅から歩いて5分程度の「Scandic Marski」(マルスキ)。なかなか快適で良いホテルだった。「Don't disturb.」の札とかのデザインフォントにも工夫があって、楽しい。

室内はごく普通。

チェックインして、荷物を置いてから、出かけた。

この日の目的は「ヘルシンキ建築博物館」

時期的には、フィンランドの教会の特集展示をしていた。

フィンランドでどの建築を回るか具体的にはあまり決めていなかったので、参考になった。後日、展示されていた教会のうち、3つを回った。

別の展示室では、ヘルシンキ市内に近年建てられた建物の写真が飾られている。そこにはカラフルな付箋が置かれており、自由に意見を述べて貼り付けていい、というスタイルのようだ。

後程、学校や図書館などフィンランドの教育施設を見て回って分かったことだが、フィンランドにはこういう一般市民の声を届ける場所がたくさんある。その声が届いていることが分かるのだろうか、辛口コメントや、対話しているかのような(あの大学生協のお客様の声のような)一体感を感じるコメントが多い。(フィンランド語が分かれば、もう少し理解できるのに・・・)


階段の踊り場スペースには子どもたちが作ったであろう住宅の模型が並べられていた。これは・・・!?と近づくと、やっぱり!噂には聞いていたフィンランドの「子ども建築学校」Arrki(アルッキ)の展示ではないか!!!(Arrkiアルッキの詳細については、こちらが分かりやすいです。

さっそく、興味深々で各作品を鑑賞。作品は自分の理想の家を表現している。

平面図、立面図、屋根伏せ、3DCG、模型、コンセプト(フィンランド語と英語で)、ゾーニングなど。

なんと、内部のCGまで作っているのにはびっくり。模型には試行錯誤した跡があってほほえましい。

どの作品も、夢と希望にあふれた楽しい作品だった。


ここで、昔、家庭教師をした生徒を思い出した。

小学校3年生だった女の子。

私が建築学科で勉強していることをどれほど知っていたかは分からないけれど、チラシで入ってくる家の間取りを見るのが好きらしいので、よく住宅の雑誌を見せてあげていた。(主に住宅特集とか)

ついには、「理想の家の平面図を作ったよ」と言って私に見せてくれた。

チラシを真似て、引き戸の出入りする矢印まで、図面の決まり通り、上手に書いていた。さすがに縮尺は適当だろうと思ったら、紙のふちに人間の絵が2体。「おとな」と「こども」の全身が書かれて、その大きさを基準として図面を作ったよ、と教えてくれた。これこそ、縮尺の根本的な考え方ではないか!

子どもの可能性が無限だということに、私はいたく感心した。

室内の構成は、「2階は怖いから、、、」(いつも寝るために2階に上がると真っ暗な廊下が怖かったみたい)という理由で、大きな平屋で、子供部屋はごく小さく、その代り家族4人寝れる寝室があった。「家族みんなで寝たいから」だって。

建築家のデザインする住宅に多い、このタイプ、もしかしたら子どもが直観的に望む形なのかも。

その後、その女の子は手書きの図面から、お父さんが使っているPCのWordの罫線機能を使ってCAD風の図面までおこしてしまったのだ。私はといえば、大学の3年でようやくCADでプレゼンができるようになったくらい。子どもの能力には脱帽だ。

私はその後、その女の子の才能をもっとのばしてあげられなかったことを少々後悔している。Arrkiの子どたちの作品を見ていたら、猛烈にその時のことを思い出した。

また、子どもと建築でなにか関わりたいな。そう考えながら、建築博物館の図書室で建築雑誌を読み漁った。











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