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あなたって

自分の好きなものや好きなことが段々わからなくなる。やらなくてはいけない事だけを最優先にしてきたら。
好きなものを得るため、好きなことをするために、働いて休むというサイクルから外れてしまった。
というか、そういう概念が私にはなかった。
好きなことをしなさいとか、好きなものを買いなさいと誰かに教えてもらったことはあったかな?
好きなことをしてもいい、好きなものを買ってもいいというのは、自分で気がついたことでしかも最近のことだ。
さらに、好きなことは、やるべき事を済ませた後ではないとしてはいけないと思っていたのだ。しかしどうやら、好きなことを最優先に行動してもいいらしい。

にわかに信じられない事だが、それを実践している人がいた。私のすぐ隣に。
と、同時にそいつにとてつもなく嫉妬し、劣等感を覚えた。
なんでお前ばっかり私にはないものを持っているんだ。私の渇望しているたものを、あなたは当然だと思っていて、私の劣等感なんて少しも解らないのだろう。ああ悔しい。憎たらしい。解らせたい、この絶望がどれだけ苦しいのか。


本当に生きていることは苦しくて仕方ない。一瞬楽しいことがあれども、平均寿命まで行きれば後60年様々な人生の困難にさらされるのだ。そう思うと、そこで得られる幸せや快楽よりも、今人生を終わらせた方が私は幸せに死ねると考えていた毎日だ。

何がどう悔しいのか、教えてもらえなかったことに怒りを感じているのか自分ではわからないが、ただしずくだけ瞳に溜まっては落ちる。あなたは理由を聞きもせず手を握ったり頭を撫でたり傍にいてくれる。私はなんてどうしようもない生き物で、あなたに迷惑ばかりかけている。また自ら劣等感に拍車を掛けている。なのに見捨てないでいてくれるんだ、ありがとう。
一連の流れが自己完結した後で、目が合うと、眉を下げて少し困ったような苦笑いをしながら私の濡れた前髪を撫でる。
「大丈夫?」
大丈夫ではない。しかし、あなたが好きだ。

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