another story

先日、まいまいとごはんに行った。
まいまいは私の大学時代からの友人で、子どものようなやわらかい感性で世界を切り取る人だ。感性がやわらかすぎて生きづらくても、なおそうでしかいられないような人で、私は大好きだ。

まいまいのよいところは、心の底から「ありのままでいいのだよ」と伝えられるところだ。これはなかなかすごいと思っていて、まず自分自身の好きなこと、やりたいことを心で理解していないといけない。社会の中でそれなりに生きていこうとすると、自分の感情に目を向けなくなりがちだ。頭でそれなりの人生計画を描き、自分の今の生き方についてそれなりの理由付けをして自分を納得させてしまうと思う。でも彼女は自分自身の心のときめきに素直で、「やっぱり私はこれ”が”いい!」と言えるのだ。だからこそ、ほかの人の心にある「自分はこれがいい!」という気持ちを、当たり前のように受け止める。まいまいと過ごす時間は、ありのままの自分で表現できるから、とても幸せな気持ちになる。有難い。

私たちは共通点が多い。「モモ」という小説が大好きなところ、お世辞が苦手なところや、新宿渋谷は刺激が強くて苦手だというところ、自然とともにある暮らしがしたいという願いを持っているところやLINEのスピード感についていけないところなど。ウマが合うのでちょくちょくごはんに行く。
今回も、仕事のことや恋愛のこと、最近読んだ本のこと、福祉教育のことから未来の日本社会に至るまで、様々なスケールの話題で盛り上がった。その一部を抜粋する。

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まいまい「最近、自分が発達障害かもしれないと気付いた話を書いたんだよね。」

あゆみ「読んだよ。すんごい共感した。」

まいまい「ありがとう。カミングアウトなんていう気持ちで書いたわけでないのだけど、facebookでいいね!してくれたのはやっぱり関係者ばかりなんだよね。」

あゆみ「そうなんだね、やっぱり。界隈にいると“発達障害”って普通だけどさ、私この間後輩に”たぶんわたしADHDグレーゾーンなんだよね”って話したら、すごい深刻に受け止められてどうしようかと思ったよ。」

まいまい「発達障害と違って、LGBTQは皆が知るという意味ではうまくいっていると思うのだよね。LGBTQという括りは、LGBTQという名称はついてしまっているけれど、実際には虹の色のようにグラデーションで、あてはまるとかあてはまらないとかじゃないじゃない。そういうことを少なくとも知っている人が多いと思うんだよね。facebookのプロフィール画像とかあったじゃない。」

あゆみ「あったね。私、あれ嫌いよ(笑)」

まいまい「うん、わかるよ。私も嫌い。(笑)でも、無関心から、知っているになって、知っているから理解するになると思うのね。その知っているから理解するにはまたすごく時間もかかることだけど。でも、知っているの段階にする意味では、うまくいった事例だと思うのよ。」

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この「無関心→知っている(関心をもつ)→理解する」の段階があるという洞察が、私の中でしっくりときて、心の中にわだかまっていた、いくつかのもやもやが消えるのを感じた。

一般にマイノリティとくくられる人たちには、「マイノリティ」のレッテルが貼られた視線がおくられがちだ。社会課題、たとえば「貧困」などにおくられる視線も同じで、そこにいる個人を、ただただ個人の人生を歩む人としてではなく、「社会課題」のレッテルを貼ってみてしまう。

私は、”子どもの貧困”というキーワードをもとに出会った子どもたちと向き合い、ともに過ごす活動の中で、一般的なイメージや、レッテルを貼ってしまう考え方を脱却した。そこに、ただただ名前をもった個人の人生があること、対等な人として関わりあうことなどが、大切な価値化となり、思考のレベルではなく感性のレベルで落とし込まれている。

しかし、私は、自身の価値観のこうした変化にも年単位の時間を要したことも忘れて、「関心を持っている≒理解している」であってほしい、あるべきものだと思ってしまっていた。

「関心をもっている/知っている」と言いながら、同時に、同情の気持ちや、上から施しを与えるような気持ちで話をしているように聞こえる言葉を発している人に出会うと、もやもやし、一人で勝手に悲しんでいた。

自分にとって大切な価値観だからこそ、悲しい気持ちになってしまったのだ。何より、同じ目線で対話ができる仲間を欲していて、「関心がある/知っている」という言葉に期待したため、寂しくなったのだ。だがしかし、同情や施しの言葉を発した相手を批判したり、考え方を変えてもらいたいと考えていては、私が見たい未来は手に入らない。「関心がある・知っている」という段階から、「理解している」には段階があるのだとすれば、

私はたまたま先に学びの機会を得ただけであり、できることは、相手の今の考えやその理由を聴くこと、自分の考えを静かに伝えることと、そして待つことだけだと気が付いた。

#マイノリティ #支援 #子どもの貧困

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私にそんな大切なことを気づかせてくれたまいまいは、soarというウェブメディアでライターをしている。

『“その人らしさ”はきっと、関わりあいのなかで立ち上がる。西村佳哲さん、工房まるの二人と考える「人の居場所」について』soar(ソア)

「自分と相手が満たされることが循環し、互いに自分らしく在る。
そんな心地よい関係性を、様々な場において考えてみたいと思います。」

対談の内容に何度もうなづき、なるほどなあと思いながら心にメモをとり、

まいまいの総評に、ふう・・・と温かい溜息がでた。

#soar #西村佳哲 さん #工房まる さん

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#友達図鑑

アナザーストーリーでした。

まいまい、いつもありがとう。

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