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#3 最終電車

みなさんこんにちは

みなさんは終電を逃してしまった経験 ありますか?

ついつい友達や恋人と盛り上がってしまったりすると時間というものはいつの間にか過ぎ去っていますよね

地元で逃す分には良いのですが、そうでなければ帰る手段が無くなることも無きにしも非ず

そんな時は急に非日常が襲いかかります

ってことで終電逃した後って面白いドラマが生まれがちですよね
(偏見ですが)

そこで今日は僕が体験した終電前後の話を備忘録も兼ねて書いていきたいと思います。


エピソード1       グッドタイミング

あれは、普段通り大学で対面授業があった6月の金曜日

英語の授業

睡魔と戦いながら100分耐えていた

(早く帰りたい、、、)

授業が終わりそそくさとキャンパスを出る

いつも通り電車で帰っていた僕はふと気づいた

グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウ⤴︎


うん、お腹がすいている!

これからちょうど秋葉原で乗り換えがある


ここでラーメンでも食べてくか!!     と決意。


調べて美味しそうな所を見つけた

雨の中少し長い距離を歩く

もちろん、この時はまだ、これが布石になっていたとは気づいていなかった


着いた、ここだ

だが、扉は閉まっていた

そこには 準備中の文字が

なにそれ


開店まで待つ手もあったが空腹には負けた

調べてみる

美味しそうなとんこつラーメンが目に留まる

よし、ここだ

最近開拓を始めた とんこつ系ラーメン を食べよう


そんなこんなで紆余曲折あったが

最終的に  某とんこつラーメン屋  へ


美味しかった ...!!

ラーメンでお腹いっぱいになった僕はこの上ない幸せを噛み締めながら再び電車にて帰路に着く

ホームに着いたタイミングが悪く、目の前で電車を逃した

まあ次でいいか

特にイラッとすることもなく電車を見送ることが出来た

いつもは特にどこも寄らずに真っ直ぐ帰っていたため
心做しか特別感を抱いていたからだ


程なくして、電車が到着

これから約1時間の長旅

テキトーにスマホをいじる

さっきのラーメンの写真でも載せるか、、

いつも通りストーリーに載せた



ピコンッ

突然、友達から  「まだ東京にいるの~?」とLINE

「今電車で帰ってるとこ!」

「そか!」
「これから〇〇と新宿で飲もうと思ってたんだけど....」

「そなのか!」
(行きたいけどもう帰っちゃってるしな、、やめとこかな、、、、、いややっぱ行きたい)
「行くわ!」

「おー!きてきて!!!」


偶然にもラーメンを食べて帰ることにしたこと、偶然にも第一候補のお店が準備中であったこと、偶然にも電車を1つ逃したこと

まさにグッドタイミングでの連絡

そんなわけで急遽引き返し新宿へ向かった



エピソード2       謎の信頼

駅で待ち合わせ

田舎者からすると新宿駅は迷宮といっても過言ではない

しかし、主要駅なので使うしかない

しかし、一度入ると一生出られない

まさに 田舎者ホイホイ  である

そんな話は置いといて


無事に合流し、居酒屋向かった

男1 女2   という異質な飲みだったが

めちゃめちゃ楽しかった
(やっぱり少人数だと飲みやすい...)

しかし20時でお店が閉まるので時間が無く
そこまで飲めなかった

酔い度でいうと、10%くらい


居酒屋を出た

そこでやはりこんな言葉が聞こえてきた

飲み足りない

コンビニでスト缶などを補充し、駅のベンチでパカり

9%とまあまあ高いため酔いが回ってきている様子だ

これはいけないと、一緒に買ってあった水を
これでもかと言わんばかりに飲ませながら談笑のひとときを過ごした


そしてアレに襲われる

お酒には付き物の、お手洗いに行きたい欲

よし、行こう

ベンチから腰を持ち上げようとした時

ふと気づいた

2人とも酔いが回っている

ここで自分が席を立つと2人を残すことになる

こまった

どうするべきか

アルコールで全力を出せなくなっている頭を回転させる

その時、近くに社会人1,2年目くらいのフレッシュなお兄さん3人組が現れた

あ、この人たちに頼めば良い!

見た目だけで判断するのもよくないが、この人達なら大丈夫そうだ

そう直感した

「あのーすみません、、」

「あ、はい(?)」

「僕、ちょっとお手洗いに行きたいんですけど、連れのあの二人の女の子めちゃめちゃ酔っちゃってて、、悪い人に連れてかれないように見ててもらいたいんですけど、お願いできますか?」


「いいですよ!でも僕たちも悪い人かもしれなくないですか?(笑)」


「たしかに!!(笑)でも信頼できるって直感したのでお願いします!頼みますね!」


あんまり放ったらかしにしとくのも良くないので、ダッシュでお手洗いにへ向かう

しかし、そこは   迷宮 新宿駅

場所など分かるはずもない

駅員さんに聞くしかないか、、、




用を済ませ 戻った僕は安堵した

心配ご無用と言わんばかりに2人は相変わらず楽しそうにしている


「戻りました!ありがとうございました!」

優しいお兄さん達で良かった



エピソード3       使命感

時間も時間だしそろそろ帰ることに

1人は普通に歩けていたので心配なかったが、

もう1人は帰れるのか?これって感じだ

足取りがおぼつかない

支えていないと歩けないくらいだった

さすがに女の子だし安全に送ってあげなきゃな
と思い、家まで送ると決心。

ワンチャンを狙ってる男か?と思われても仕方ない行動だとは分かっていた

だがそんなのはお構い無しに自分の責任感の先行を止める手段が見つからなかった


改札口へ向かう

そこでふと気づいた

新宿に戻って改札を通った時に見た残高では往復して新宿に戻って来られない、、!

仕方ない と切符を買う事にした


「残高足りないから切符買うね」

そう言って買おうとした時


「これでチャージして」

と1000円札を出してくれた


「え、いいの?ありがとう」

電車の時間が迫っていたため、とりあえず受け取ってチャージさせてもらうことにした

酔っているのにすごい気を使える子だ



ホームへ降りる

電車はもうすぐだ

「すみません、○○駅まで行きたいんですけど、この電車が1番早く着きますか?」

早く家で休ませてあげたかった僕は、駅員さんに尋ねた

「んーと、ここではなくてですね、○番線の方が早く着きますよ」

細かくダイヤが載った資料を見た駅員さんは優しく答えてくれた

「ありがとうございます!」

出発の時間が迫っていたので少し急いで階段を移動させる

ふー、、、

そこそこギリギリなタイミングで間に合った



新宿から某所にかけての電車

人は少なめだ

時間も時間

乗客の顔も疲れているようにみえる

電車がゆれる

車輪の音が響く

ふと視線を下ろす

その子は寝ている

つかれちゃったのかな

ふと時間が気になる

22:40

終電を調べる

逃している

.........逃している!!!!!


この時点で初めて 終電を逃していることに気づいた

しまった、、、

しかし、安全に送り届ける使命は全うできそうだ



エピソード4       心を鬼に

やっと最寄り駅に着いた

階段を降りて改札に向かうその時

バタンッ


前を歩いていた人がコケた

おっ!と思い咄嗟に助けに向かおうと思ったが

手を差し伸べることは出来なかった

僕には支えなければならない子がいた

どちらかしか助けられない

心を鬼にして、素通りした


エピソード5       大冒険

終電こそ逃したものの、無事家まで送ることができた

「終電逃してまでありがとう、これからどうするの?」

「んー、とりあえずどっか泊まれるところ探すよ、、」

ゴソゴソ

「あ、、お金全然ないや、、」

「え、、貸すよ」

「いや、大丈夫!」

既に1000円借りていた僕の良心が許さなかった
(素直に借りておけばよかったのに)



「適当にどっかで時間潰すよ、だから大丈夫ゆっくり休みな!ばいばい!おやすみ」



そう見送った僕は行く宛もなく歩き始める

雨が降ってきた

とりあえず屋根のある所へ避難


ほどなくして「送ってくれてありがとう」とLINE

疲れもあるだろうし酔いで頭が回ってないはずなのに連絡をくれた

これで終電逃すのなら本望だな。

そう思いながら

時間を潰す


ただ当時の持ち金は1000円程度
銀行のカードなどもちょうど訳あって親に渡しており
ほぼ無一文状態

カラオケで過ごしたり、ホテルに泊まることもできない


どうしようか、、

さすがにどこか座れるところくらい探さないとな

と思いとりあえず新宿行きの電車へ乗る

ギリギリ終電に間に合った


駅に着く頃、笹塚近くの友人から

泊めるよ!    という旨の連絡

これはありがたい!!!!!!


時刻は深夜1時になっていた
新宿から笹塚へ向かおうしたが既に終電は出発していた

2度目の終電逃し

仕方ない、歩こう

雨の中歩いて笹塚方面へ向かうことを決める

これでもかと言わんばかりの土砂降り

折りたたみ傘の面積では不十分すぎる

バックも服も濡れる

追い打ちをかけるようにGoogleマップの位置情報がバグる

泣きっ面に蜂とはまさにこのことだ

田舎者なので新宿の土地勘など微塵もない

終わった....これではたどり着けるはずがない

とりあえず高架下(?)で雨宿りしながらバグが直るのを祈りながら待つ


程なくして位置情報が直る

しかし 、また歩き始めても着く頃には2時だ

申し訳なくなり友人に連絡


「夜遅すぎて悪いから新宿戻るわ!」

「まじか! 俺は別に大丈夫だよ」

(神だ ...)


お言葉に甘え、そのまま向かうことにした

充電は20%

時間との勝負だと思い、できるだけ早く足を運ぶ

こんな時間になんで歩いてるんだと思いながらも雨をかき分け進んだ


エピソード6       Zzz

1時間程で駅周辺に到着

もう歩いている人も誰もいない

バス停のベンチに腰を下ろす

正直もう疲れ果てていた

だがあとひと踏ん張り

友人の家に向かえばゴールだ、、、!


しかし家の場所を知らなかったため電話をかけることに


......出ない。



もう一度かける


..........出ない!!!!!!



寝たな。


そう容易に想像がついた僕は妙に冷静だった

こんな時間に泊めてあげる と言ってくれて
頑張って起きていようとしてくれた彼に腹を立てられるわけがなかった。


エピソード7       遺言

もう体力も残っていない

このまま笹塚周辺で朝まで過ごそうかと考える

しかし、調べると新宿からの方が始発の時間が早い

戻るか ....。



早く家に帰りたい願望が強く、新宿まで戻ることに

充電は残り10%

間違いなく切れる

そう思った僕は心配してくれている2人にさらに心配をかけてしまうことを避けるため

ストーリーに遺言を載せた

「充電切れて返信出来なくなるかもだけど、生きてるので安心してね」


エピソード8       コンサート

時刻は深夜2時

もう通りすがる人は居ない

車の音だけが響く

寂しい

それなら
孤独と足の痛みと疲れを忘れるために、歌おう


車のおかげで歌声が響くこともない

近くに人もいない

歌うには最適すぎる環境だ

1時間程の長旅コンサートが始まった ...ところで

バッシャン!!!!


足元に目をやる

水溜まりに沈む足


最悪だ


100%靴が水没した


しかしなぜかすぐにどうでもよくなった

服もバックもびしょ濡れだしもう関係ない

気にせずひとりコンサートを続ける


「夢ならばどれほどよかったでしょう~♪」


笑うしかない


大好きな歌は皮肉にも


当時の気持ちを代弁していた


エピソード9       帰還

新宿駅までもう少しのところで

ザアァァァァァァアア


雨雲がまたひとつギアを上げた

折りたたみ傘ではほぼ意味が無いくらいだ

近くにあったビル(?)の入口の屋根で雨宿り


「雨が降り止むまでは帰れない~♪」


皮肉にも程がある

その時、背後で物音がした

え!っと思い振り返ると

そこには柱の陰で休んでいたおじさんがいた

仲間だ


「雨強いねぇ~」

「そ、そうですね~」

「・・・」

「・・・」


気まずいったりゃありゃしない

早く止めー!とお願いし続ける



ほどなくして雨が止む

少し歩けば新宿駅

再び歩き出した


そしてついに着いた

ひとりコンサートをしながら1時間強かけ新宿へ戻ることに成功したのだ



エピソード10       天才

時刻は深夜3:30

ベンチに腰を下ろす

しかしここからが本当の戦いであった

足の痛み、びしょ濡れの寒さ、最大級の眠気

体力も残っていない僕にとっては十分なほどラスボス級

しかしなんとしてでも始発で帰りたかったため、眠る訳にはいかなかった

眠気を覚ますために、教科書を読み始めた

無理だ

すぐにわかった

眠気にさらに襲われた

隣に座る終電を逃したっぽい人も眠気で頭がコクコクしている

そうだ!スマホ弄ろう!

3%

は???


一瞬イラッときたがここは冷静に

始発の時間、乗り換えの時間などを充電も僅かな満身創痍のスマホにムチを打ち調べる

充電がなくなったら乗り換え時間も分からなくなるため

紙に書き留める

ふと思った、スマホ切れたら時間もわからなくなる!

ゴソゴソ .....

運良く腕時計がバックの中にあった  

あぶないあぶない

これで充電がなくなっても時間は分かる


ここでもまたファインプレーがおこる

腕時計の時間が10分遅れていることに気づいた

あぶないあぶない

うっかり始発を逃すかもしれなかった

時計10分遅れ注意

と紙に書き留める

ここまで 冷静すぎて我ながら天才かと錯覚した

始発まであと1時間

どう過ごそうか...

そこでまた気づいた


手を動かしている時は眠くない!


紙に書き留めている時は不思議と目が覚めていた!

そしてそこから1時間程

その瞬間思ったこと、感じたことを実況するかのように

紙に書き留め続けた



                             小さな紙

『僕は今の気持ちを全て書き留めたいが、それを記すには余白が小さすぎる』


天才数学者  
ピエール・ド・フェルマー  になりきっていた


エピソード11       感動

ついに始発の時間が迫る

逃すまいと少し早めに改札へ向かう

そこで目にした光景はまさに感動モノであった

笹塚から戻った頃は冷たく堅いシャッターが降りていたために味気なかった南口には煌々とあかりが灯っていた

疲れ、寒さ、眠気に耐えたことが報われた気がした

あれほどまであかりの灯ったなんの変哲もない駅を見て感動したことはない

改札を抜け ホームでじっと待つ

ほどなくして電車が来た

乗る

座る

幸せ

プツッ

張り詰めた気持ちが解き放たれると同時に充電が切れた


エピソード12       M

何しようか?

スマホ依存の現代っ子(?)には難しい問題だ

しょうがない、教科書読むか ...

1時間半ひたすら読み続けた


何とか最寄りに着いた頃には6時になっていた

家までどう帰ったか覚えていない

いつの間にか布団にいた

衛生上シャワーを浴びたいところだが、そんな気力すら残っていなかった

瞼が徐々に落ちゆくなか

マゾヒズムな思いが浮かんだ

楽しかったなあ ...


おわりに

いかがだったでしょうか

かなり長々と書いてしまいました

終電を逃してしまっても
だからこその面白い経験ができたりします

みなさんも1度
終電を逃して冒険してみてはいかがですか?


ようこそ   終電後の世界へ

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