わたしの名前と山登り

今日はお日様が出でいたから、日曜日だったから、気分が良かったからなんとなくお散歩へ。

私の住んでいる町には、小さな川があって、その川沿いをひたすら歩いた。

歩いてたら、山が出てきた。
せっかくだから登ってみる。

山を登りながらふと思い出した。
私の名前は女の子にとって最高の画数らしい。
ただ、山だけには気をつけなさいと小さい頃からお母さんから散々言われていた。

山道はどんどん険しくなった。
猪注意の看板を発見する。
あぁ、このまま遭難するのかな、やっぱりお母さんの言いつけは守るべきだった。
お母さんごめんなさい。と心の中で呟く。

でも、そこで遭難しない所が私の運の強い所。
登っていたらちゃんとした道に出た。
そして、人の声も聞こえる。あぁ、助かった。

人の声の方に進むと、お母さんより年上の優しいおばさま2人がいた。

こんにちはと挨拶を交わして、なんとなく一緒に展望台まで行く事に。

展望台で3人で座って、クッキーをいただいた。

黄色の新幹線を見るといいことがあるよ。
今飛行機が上がったね。
春になるとあそこの芝桜が綺麗だよ。

1時間くらいぼっーと座りながら、お話をした。

ぼっーとしながら今日の晩御飯は何にしようかなと思って、私は、2人に聞いてみた。
ひとりのおばさまが私は1人だから適当よと答えてくれた。
おばさまの右手の薬指には指輪がしてあって、それを見て少し切なくなった。

一緒に山を降りて、またいつか会いましょうと約束をして、2人と別れた。

私の名前には「歩」という字が入っている。

私はこの名前と一緒にこれからも歩いていくんだな。

お母さんの言う通り山をなめちゃいけない。
だけど私は自分の足で色々な所に歩いていきたいし、沢山の人に会いたい、なんて思いながら歩いた帰り道。

そういえば、おばさま2人と話している時、見ると幸せになれる黄色の新幹線が偶然見た。

3人で子供みたいに大喜びした。

あぁ、おばさま2人にいい事がありますように。


#エッセイ #コラム #山登り

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