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もうひとりの自分

幼い頃の夢の話

4歳くらいの時に見た夢の中、私はひとりぼっちだった。どこかの家の窓から灯りが漏れていて、その窓から微かに見える家族団欒をすごく羨ましそうに眺めている自分が居た。私に家族は居なかった。とても悲しい夢だった。

ふとした時に思い出して、未だに忘れられないこの夢。当時の私にこの夢が何か意味があるかはわからなかったが、どうやら意味があったらしい。22歳の今、この夢の続きを見た。


夢の続き

雪が降っていた。今立っている場所は、緩やかな崖と言えるような斜面。崖を下まで降りてみると、更にその下にはたくさんの屋根が見えた。屋根には雪が積もっている。私は振り返って、また崖を上まで登った。崖のてっぺんには道があった。長く長く続く一本道。

その道をラクダのような馬のような動物に跨って座り、黒く深いフードを被り、ゆっくりゆっくり進んでいる人をみつけた。私は一瞬でその人物がこの世界に住んでいる自分だとわかった。

私はしばらく後を追ってみることにした。しばらく一本道を歩くと、林の中のふたつの分かれ道に出た。片方の道はどうやら、たくさんの人が住んでいる街へ向かう道らしい。もう一方の道は、細く長く、足跡ひとつない道。どうやら森の方へ向かう道らしい。動物に跨って進んでいる彼女は、足跡ひとつない森の方へ向かう道を選んだ。

奥へ奥へと進んでいく彼女は、一体何処へ行くのだろう。私は、後を追った。

辿り着いた場所は、彼女の家だった。人気の無い森の中、小さくも大きくもない小屋に彼女はひとりで住んでいた。正確には動物と暮らしていた。

私は彼女に近づいた。すると、その黒く深いフードから鋭い眼で私を睨んだ。「帰れ」と言われたみたいだ。深い悲しみに襲われた。しかし、ここで、この一瞬で私は、幼い頃に見たあの夢を思い出す。夢の中の彼女は、幼い頃に見たあの夢のひとりぼっちの自分だった。幼い頃に見たあの夢の中のひとりぼっちの自分が、大きく成長していた。また逢えたことに凄く嬉しくなって、深い悲しみは、喜びに変わった。

そして、私は夢から目覚めた。

なんだか、もうひとりの自分に逢ったみたいな不思議な気持ちになった。今も昔も、夢の中の自分は決して〝幸せ〟ではない。とおもう。夢の中の自分からしたら、余計なお世話かもしれないが、どうしていつもひとりなのだろう。

いや、違う。ひとりなのは結果だ。きっと過程があって結果がある。今の彼女は好んで森の中にひとりで住んでいる。羨む気持ちを捨てたんだ。人間の世界は疲れてしまうから。

夢の最後に感じた喜びは、彼女が息をしている、生きていることへの安堵なのかもしれない。もしかしたら、夢の中の自分は、深層心理に潜むもうひとりの自分、或いは本当の自分なのかもしれない。彼女が私に伝えたかったことは、きっと、喜びという感情そのものだ。彼女が失くしてしまった感情、そのもの。

私が私らしく生きていくために、彼女はきっと今日も息をしている。彼女はきっとひとりぼっちなんかじゃない。傲りかもしれないけど、彼女の幸せは私がみつけた幸せの中に存在している。気がする。


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