再びの儚いひと。

会いたい、会いたい、会いたい…
彼ならば、無条件で私を受け止めてくれる。何もかもをありのままで受け入れてくれる。だから、私は辛く悲しい時に無償に彼に会いたくなるのだ。
会いたい…でも、どうやって?
私は彼が今どこにいるのか、今何をしているのか、何も知らない。ましてやどうしたら彼に会えるのかなんて、見当もつかない。

それでも、会いたい。ほんの一瞬でもいいから。

気がつくと、誰かが私の髪を撫でている。見上げると、少し訝しげで、少し不機嫌そうな顔をした彼がそこにいた。

「え…?ウソ、ゆめ、じゃないの…?」

「まったく。そんな顔をするなよ。いくら久しぶりだからって。怒ってるの?」

呆れたように言いながらも、私を両腕で包み込むように抱きしめると、髪に顔をうずめる。

「そっか…そうだね…あなたはいつだって呼べば来てくれるんだね」

「当たり前でしょ?」

確かな温もりと息遣いを身近に感じながら、もう決して離したくない、失いたくない、そう強く願いながら再び眠りに落ちていく。

夢なら覚めないで、と頭の片隅で囁きながら。

いただいたサポートはありがたく書籍代に使わせていただきます。 決して悪用はいたしません。