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ミスキャンパスから得られたもの

ラジオのお便りからの実話です。
ある日本人リスナーがアメリカの大学に通っていた頃のお話。友人との恋愛話のなかで、ノリでミスキャンパスを文化祭のジャパンカルチャーナイトへ誘うことになってしまった。ミスキャンパスは才色兼備のお嬢様、とても手強い。
手始めに、ミスキャンパスと同じバイトを始めることに。バイト先では彼女を狙っていると周りから思われ、「彼女はやめておいた方が良い」と忠告される。おおらかな笑顔の裏には尊大で金持ちのわがまま娘の本性があり、卑劣なことをするのだと。ミスキャンパスになれたのは、本当は2位だったのに1位の人をいじめ倒し学園から追い出したからだとか。

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しかし、しばらく一緒にバイトをしていても粗相のある人には見えない。気が効いて、周りの人にも親切だ。信頼関係を築いたのち、赤裸々に話してミスキャンパスを誘ってみることに。「友達にバカされて、ミスキャンパスを誘うことになった」と。返事はいたってリーズナブル。「その日はいろんなお誘いがあるから考えさせて」と。しばらくするとミスキャンパスからの置き手紙があった。あちらからの告白とデートのお誘い。信じられない。意気揚々となり約束の場所に行く。御察しの通り、彼女は来ない。しばらくすると、彼女の悪口を言っていた人たちが、「君も彼女に誘われたの?騙されたね。彼女は来ないよ。きっと今頃君のことを見てどこかでこそこそ笑っているよ。」と。ぐるりと見渡してみると、確かに彼女らしき人が、そう遠くはないところでこちらを指差し笑っているご様子。やられた!!「だから言ったでしょ。悪いことは言わない、彼女はやめておけって。」あー、彼女の手紙を信じた自分が情けない。屈辱。

しばらく立ち直れなかったのに、当の彼女はバイト先でもいつも通り。明日にでもバイトをやめようと思っていた週の週末。夜の遅い時間に、原付でキャンパスへ向かう途中に歩いている彼女に遭遇する。シャクではあったが声をかけてみる。みんなで遊んでいたら、うっかり置いていかれてしまったと彼女は言う。(うっかり置いていかれるってある?!笑) 内心、日頃の卑劣な行いのせいだと思いつつ、「ざまーみろ」とは言えないので、「原付に乗せてあげようか」と提案してみる。返答は「1年間はミスキャンパスとして公共行事に参加する。万が一違反切符を切られようものなら、ミス剥奪もあり得る。前のミスキャンパスは未成年飲酒でミスを剥奪されている」と。原付の二人乗りは違法だから納得。だが、彼女は足をつっていたらしく、ろくに歩けていないご様子。キャンパスまではまだまだ距離がある。おぶってあげるよと言って、なんども断られるが、最終的におぶってキャンパスまで一緒に行くことに。休憩をとりつつ、彼女の身の上話を聴きながら長い距離を歩いた。彼女がお金持ちなのは事実だが、父親がとても厳しいらしい。高校を卒業したら独立しろと言うことで、一切お金を出してもらえないらしい。死ぬほどダイエットもしたのだとか。奨学金のためにミスキャンパスに応募したらしい。ミスキャンパスの責任は重大ですごいプレッシャーだとか。脚光を浴びるのも嫌い。ミスキャンパスになって以来、相当の嫌がらせを受けていると言う。人は先入観で彼女をさばく。ひどいことを言われたりされたり。親しくなりそうな人がいると、周りからひどいことを言われたりされたりして、彼女から離れていくのだと言う。「まさかあなたは大丈夫よね。離れていかないよね。別に私のことが好きなわけではないしね。」

ここで全てを悟った。自分が置き手紙をもらって酷いことをされたことは、彼女には言わないでおいた。彼女を羨む誰かが、彼女になりすまして仕組んでいたのだ。キャンパスへの長い道のりが終わる頃、心も容姿も美しい人の悩みをいろいろ理解した。周りに流されずに、自分自身で人を見極める大切さを学んだ。

ジャパンカルチャーナイト当日。なんと、彼女は後半になって来てくれた。ミスキャンパスが来たと言うことで大盛り上がり。自分が連れて来たと言うことでヒーローに。彼女が、これでおぶってもらった借りは返したわよとウィンクした笑顔はたまらなかった。

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彼女とはその後何もなかったが、自分の人生観を大きく変えた大切な女性となりましたとさ。

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※写真は物語とは無関係です!

無料webラジオVoicy(ボイシー)。「お便り」のコーナーより。

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自分が幸せでいて、身近な人、大切な人、大好きな人を笑顔にしていく。まずはそこから始まるんだと思う(*´ω`*)