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『Subject To Change』

Peter Merholz, Brandon Schauer, David Verba, Todd Wilkens (著), 高橋 信夫 (翻訳), Subject To Change ―予測不可能な世界で最高の製品とサービスを作る, オライリージャパン, (2008).

この本について:
世の中で取り扱われてきた体験に着目したデザインの事例について述べている。Adaptive Path社で取り扱ったデザインの失敗事例も含まれている。さらにどのように体験に着目してデザインしたらよいかの手法やコツなどがまとめられている。他のUXデザインの書籍と似たような構成だが、Adaptive Path社での実践をベースに書かれているので信頼性があると感じた。

読んだきっかけ:
UXデザインの分野を勉強していると必ず出てくるAdaptive Path社。そこでAdaptive Path社の主要メンバーが書いた本があると知って読んでおこうと思ったから。

紹介されている事例:
1.「サイエンティフィック・アメリカン」で絶賛されたカメラ(1886年)のデザイン失敗事例と実際に普及したコダック社のカメラ(1888年)のデザイン成功事例。(p.3-)
2.顧客の休憩時間をリラックス演出に集中させたスターバックス社の成功事例。(p.17-18)
3.使いたいと思う顧客があまりいなかったため失敗したセグウェイによるイノベーション失敗事例。(p.19-20)
4.作り手と顧客層の欲しいものが異なっていたニュース局NewsCo社の失敗事例。(p.35-)(昨今のロフト広告にも通ずるものが。2019.02)
5.構成要素と機能と目的を適切に配分したことでうまくいったApple社のiPod、iTunes、iTunes Music Store(2001年)の成功事例(p.76)
6.顧客理解を誤ったことによるKeybordCo社の音楽キーボード開発の失敗事例(p.78)
7.オンラインでの需要をうまく理解したFlicker社(2004年)の成功事例
8.タッチポイントをうまくデザインできなかった金融サービスFinanceCo社の失敗事例(p.84)

つまり、デザインの手法とコツは:
● 失敗事例には顧客理解(共感)が欠けている。(p.49)
● 顧客を理解するには複雑性(感情、文化、意義、文脈)を恐れず全体を捉えなければならない。(p.57)
● 組織でデザインする際の問題はほとんどコミュニケーションやプロセスの問題だろう。(p.61)
● コツは「製品」をデザインするのではなく「システム」をデザインすること。(p.90)
● 良いデザインには「持続性のあるWow!」が含まれており、それが開発チームによって深く明らかにされている。(p.127)
● 体験を制御しようとするデザインは間違っている(p.130)
● アジャイルアプローチでフットワーク軽く、着実に障壁を超えていこう。(p.150)


以上。

2019-02-07


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