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紅白歌合戦に刀剣男士が出演するので、刀剣乱舞について伝えておきたいこと

2018年第69回NHK紅白歌合戦のジャパンカルチャー特集企画に「刀剣男士(とうけんだんし)」が出演するということで、刀剣乱舞について日ごろ口頭で説明している内容ををまとめておこうと思います。
※不適切な説明があればソース提示いただけますと幸いです。

そもそも刀剣乱舞とは?

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©Nitroplus

DMM GAMESが配信する、シュミレーションゲームです。
リリース初期はPCブラウザゲームでしたが、現在はスマートフォンアプリも制作されています。

西暦2205年、時の政府は過去へ干渉し歴史改変を目論む「歴史修正主義者」に対抗すべく、物に眠る想いや心を目覚めさせ力を引き出す能力を持つ「審神者(さにわ)」と、名だたる刀剣より生み出された付喪神「刀剣男士」を各時代へと送り込み、戦いを繰り広げる。

というのが、刀剣乱舞のおおまかなストーリです。

プレーヤーは「審神者」となり、「刀剣男士」が拠点にする「本丸」を運営しゲームを進行していくことになります。

ゲームの魅力についてファンの間でよく言われているのは、世界観の奥深さです。
「歴史」というテーマにおいて、武将など当事者視点でストーリーが描かれることはよくありますが、刀剣乱舞では、彼らが所持していた「刀」が人間の姿(擬人化)となって、ストーリーが繰り広げられます。

例えば、以下の画像は、新選組 土方歳三の愛刀「和泉守兼定(いずみのかみかねさだ)」が「刀剣男士」になった姿です。

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©Nitroplus

和泉守兼定は、土方歳三と歴史を共にし、新選組の苦境や最期に立ち会うことになります。
キャラクターのビジュアルや性格は持ち主である土方歳三に準じますが、あくまで土方歳三の愛用していた刀として、客観的な視点で物語が展開するため、新たな歴史の魅力に気づくことができます。
刀剣乱舞はそんなファンタジーにロマンを感じる作品なのです。

刀剣乱舞のビジネスの展開について考える

次は、刀剣乱舞が市場にどのように展開しているのかを見ていきます。

わたしが「刀剣乱舞」をはじめたのは、2016年3月にスマートフォン版『刀剣乱舞 Pocket』がリリースされた頃でした。

そこから約3年。
ゲームはもちろんのこと、ミュージカルに舞台、刀の展示があると聞けば地方へ遠征し…と多大な時間とお金を費やしてきました。
熱中しているということはもちろん、3年の間にそれだけ「供給」が潤沢なコンテンツに成長していたのです。

概要を図示しましたのでご覧ください。
ユーザーめっちゃ、お金はらってます。笑

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おたくコンテンツの多くは、原作に対しグッズ販売から、アニメや映画など映像化が主だった展開になります。人気のある作品は、爆音上映会、2.5次元化、スタンプラリーなどイベントが企画されることもあります。

刀剣乱舞の注目すべきポイントを3つにまとめました。

①異例のWアニメ化

刀剣乱舞は、2016年と2017年にそれぞれ別の制作会社が、全く異なる設定&ストーリーでアニメを制作しています。
アニメに限らず映画にしても、別の制作会社が同時期に映像化を行うことは通常ありません。

これは刀剣乱舞という原作を、パラレルワールドではなく、シリアルワールドという設定(※)にしたことがうまく活かされています。
※直列、同時間軸という意味で「シリアルワールド」と称しています

ロールプレイングゲームのように、ストーリーを持つ多くのゲームでは、他のプレイヤーが、同じゲームで、同じキャラクターを使っていたとしても、交わることのない世界=パラレルワールドとして扱われます。
刀剣乱舞は全くの逆で、同時間軸の世界に、複数のプレイヤーとキャラクターが存在するのです。

ビジネスの展開もそれがベースとなります。

2016年に放送された「刀剣乱舞 花丸」では、OPで「これは“とある本丸”における刀剣男士たちの花丸な日々」と説明が入り、たくさんあるストーリーの中の独自の解釈の1つであると明言しています。

なお冒頭にも書きましたが、世界観とキャラクターは緻密に作り込まれていますが、ゲーム自体のストーリーは非常にシンプルなものになっています。
ユーザーに自由に想像させるためです。

こうする事により、各ユーザーのイメージを壊すことなく、多彩なメディア展開を可能としています。

②社会現象になった「刀剣女子」刀剣乱舞と観光&文化との関わり

「聖地巡礼」という言葉をご存知でしょうか?
少し前のことになりますが「冬のソナタ」がヒットした後、撮影地を訪れる女性の後が絶たないということで社会現象となりました。これぞ、まさに聖地巡礼です。

刀剣乱舞でも聖地巡礼が行われています。
現存している刀そのものを鑑賞したり、刀を所持していた歴史上の人物に縁のある土地を訪れたりします。
「刀剣乱舞」が流行語大賞にもノミネートされ、度々ニュースに取り上げられますが、要因の一端になるのがこういった現象です。

有名なエピソードを2つほど紹介します。

2017年3月4日から30日間、足利美術館で刀剣乱舞にもキャラとして登場する「山姥切国広(やまんばぎりくにひろ)」の展示が行われました。
山姥切国広は個人が所蔵している刀のため、一般公開されるのは20年ぶりことです。
足利美術館には、期間中ファン37820人が集まり、年間来場者数25000人を30日で塗替えました。
また、足利市の近隣商店街が特別なお土産ものや食事を提供し、経済効果は4億円と言われているそうです。

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↑「國廣降臨」のメインビジュアルと、刀剣男士となった山姥切国広

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↑和cafe ひなたやさんのコラボスイーツ

また同じく、刀剣乱舞に登場する「蛍丸(蛍丸)」のエピソードも有名です。
蛍丸は熊本の阿蘇神社に奉納されていましたが、第二次世界大戦後行方不明になっていました。
2016年に岐阜県関市の刀匠が復元プロジェクトに乗り出し、クラウドファンディングを始めたところ、5時間で目標金額550万を達成。最終的に4500万円以上が集まり、達成率が820%となったという出来事です。

ミーハーなエピソードにも聞こえますが、刀剣乱舞をきっかけとして、観光が興り文化が見直されることは、日本の経済にとってポジティブなことです。
共同企画の、DMM GAMESとNitroplusもこれらの動きに積極的に参加し、ビジネスだけに留まらない社会貢献も果たしています。

③紅白にも出陣!2.5次元コンテンツの躍進

最後に「ミュージカル 刀剣乱舞」について、なぜ紅白歌合戦に出演することが決まったのか、考察を交えて紹介します。

「ミュージカル 刀剣乱舞」は、2015年10月に1作品目のトライアル公演が始まってから、現在で6作品の公演が行われ、2019年には2作品の公演が決まっています。※ライブ形態の公演は含めていません。
チケットは即日完売、満席、公演当日はキャンセル待ちのために300人超が会場に押し寄せるという、モンスターコンテンツです。

そもそも「2.5次元」とは、漫画やアニメ(2次元)を題材とした、お芝居やミュージカル(3次元)の作品を指します。
出演する俳優さんは若く、実力もマチマチ、知名度も高くありません。
あくまで特集企画への出演ではありますが、なぜ「ミュージカル 刀剣乱舞」の出演が決まったのでしょうか。

参考に、紅白歌合戦本戦の選考基準を見てみます。公式に公表されているものとしては、以下の3点だと言われています。

(1)今年の活躍
(2)世論の支持
(3)番組の企画・演出

もちろん、脚本、演出、演技など、公演自体の魅力も十分あります。
ミュージカルで使用されている楽曲が、オリコン1位を獲得するという功績もありましたが、当然それだけでは紅白に出演することはできないでしょう。
わたしはミュージカルだけに留まらない、様々な取り組みが、複合的に判断された結果だと考えています。

2.5次元作品は、お芝居やミュージカルに関心の無かった層の取り込みや、若手俳優の活躍の場を作ったりなど、業界内だけを見ても目覚ましい功績を上げています。

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刀剣乱舞に関しては前述の通り、経済的、文化的な影響力も注目されています。
海外公演や、Japan Expo(※)への2年連続出演を果たしていることからも、注目度が高いことは証明されます。
※日本文化の総合博覧会として海外で開催。

「ミュージカル 刀剣乱舞」への評価は、それ単体が評価されたわけではなく、2.5次元業界、刀剣乱舞、大きくは演劇、観光、文化など、積み上げてきたものがあったこそなのだと思います。

累々と積み上がったものの代表として、私の好きなものが選ばれるなんて…本当に胸が熱い。

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さて、いかがでしょうか?
紅白歌合戦だけでなく、CDTVへの出演もありますし、舞台 刀剣乱舞については2019年1月に映画が公開されます。
オリンピックに向けても、何らか活躍の機会があることでしょう。
ただの色モノ枠ではない、ということが少しは感じていただけていると幸いです。
紅白まで残り3日となりましたが、ジャパンカルチャー特集ぜひぜひご覧ください。

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