飲んべえ一家の「父の日」
毎年「母の日」は何をあげるかすごく迷う。お菓子にするか、はたまた小物のほうがいいのか姉と2人で寸前まで悩む。そして、気づくと母の日を過ぎている(おい)。
一方「父の日」は、まぁ簡単だ。選択肢はシンプルに2つ。お酒か、お酒とおつまみのセットだ。
手抜きかと思われるかもしれないが、いやいや、父にはこれが一番なのだ。
なんてったって、飲んべえ親父なのだから。
父には休肝日がほぼない。毎日、ビールを飲み、日によっては追加で焼酎や日本酒なんかを嗜む。
おかげで家裏のゴミ置場には、ビールの空き缶やら酒の空き瓶なんかが、そりゃあもう大量にある(決してアル中じゃあないよ)。
田舎あるあるかもしれないが、ビール缶もビール瓶もケースで買うし、日本酒も一升瓶。酒には事欠かない家というわけだ。
母は父の身体を心配し「飲まない日を作りなさいよ」と言うのだが、父の回答は決まってこうだ。「飲まない方が具合が悪くなる!」
繰り返しになるが、決してアル中じゃあないよ!
そんな血中アルコール濃度が高そうな飲んべえ親父の血を余すことなく引き継いじまったもんだから、姉も私も間違うことなくすっかり飲んべえである(笑)。
昨年の猛暑ではビール片手に「これが血筋ってやつかぁ」なんて姉と2人で笑いながら、毎日飲んだ(そして太った)。
そんな飲んべえ娘たちが、飲んべえオヤジに贈るものと言ったら、そりゃあお酒になるのは当然のことだ。
ある時は地ビールの詰め合わせセット(お中元かよ)。ある時はネタという意味で「オヤジナカセ」という名の日本酒を贈った。
冷やして飲むとおいしいらしい。特に父は泣いてなかったが。
昨年贈ったのは、石川県金沢の老舗酒蔵「福光屋」の日本酒のセットだ。
知人におすすめされて公式ホームページを見たら、あまりに素敵すぎるサイトで即決したのである(手抜きじゃあないよ)。
5本セットといえど、1本が300mlだから「こりゃあ、うちの飲んべえ親父にかかれば秒殺だなぁ!」と思っていたわけだが、二カ月後に帰省したときにびっくり。
なんと酒がまだ残っていたのである。
「ドクターストップでもかかっちまったんじゃないか!」と思いきや、当の本人はピンピンしてる。いや、本当にどうした(解せない)。
怪訝に思って母に聞いたら「あんたたちにも飲ませたいからって取って置いたんだよ」とのこと。
「えぇ〜!嘘でしょー!300mlなんて三口も飲めば終わっちまうのに!(とんだ酒飲み)」
「バカだなぁ、お父さん!それ、プレゼントなんだから独り占めしていいんだよ!」
と飲んべえ姉妹は愕然としたわけだが、せっかくだから頂戴することにした(結局、飲むんかい!)。
しかも、父に注いでもらって(笑)。
飲んべえ3人で飲むから、秒殺どころか瞬殺である。プレゼントのお酒があっという間に胃の中へ流れていく。
でも、日本酒を3つのお猪口に注いでくれる父の顔はなんか嬉しそうなわけである。
飲んべえ親父にとっては酒よりも酒を飲む場がプレゼントになるということだ。なるほどね。
というわけで、今年は私と姉が飲みたい日本酒を送ることにした。容量も増やしてな!
とか言って、帰省した時にすっかり空だったら笑えるけどね(笑)。
編集:円(えん)
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