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パートナー企業の販売活動を促進する認定資格制度の設計方法|パートナービジネス勉強記録#11

パートナーサクセス株式会社 マーケティング担当の横矢(@ayune_458)です。

パートナーサクセスにジョインしてインターン期間も含めると約2年半、マーケティング業務の中で様々なパートナービジネスについて発信を行ってきました。

パートナービジネスについて知れば知るほど、成功パターンが多様であり、ノウハウも体系化されていない難しさを痛感しており、私自身もまだまだ知識・理解が浅いなと感じています。

学んだことを整理しより理解を深めるために、noteを活用してパートナービジネスについてアウトプットしていくことにしました!

パートナー企業に注力販売してもらうための取り組みとして、仕組み/制度に焦点を当てて記載していこうと思います。今回は、「パートナービジネスで効果を発揮する認定資格」について記載します!

▼マガジン


1.パートナープログラムに認定資格を用意する目的

認定資格とは、パートナー企業が特定の製品知識や販売技術を習得し、ベンダー企業がその知識や能力を公式に認める制度です。認定資格により、パートナー企業が市場での競争力を高め、販売実績を向上する基盤を形成できます。

パートナーセールスにとって、パートナー企業の自社サービス販売のモチベーションを向上させ販売実績に繋げることが成功への鍵になりますが、そのためには認定資格制度の見直しが有効です。

パートナー企業が認定資格を取得することで、権威性や報酬を獲得できる設計を作ることで、短期的に成果を出すための動機付けとなるでしょう。

同時に、認定資格制度は長期的な視点でパートナー企業が販売実績を持続的に上げられるような仕組みを作るためにも有効です。営業スキルの向上、製品知識の深化、市場動向への適応能力の強化といった、パートナー企業の根本的な営業力を高めることができるためです。

また、パートナー企業の中で、認定資格取得を人事評価の基準に入れることができれば、営業担当が自社サービス領域の営業力をつけるモチベーションに直結します。

パートナービジネスでは、パートナー企業およびその先の顧客が直面する課題や市場の変化を踏まえ、彼らが真に必要とするスキルや知識を提供するために、制度を柔軟に調整する必要があります。パートナー企業からの案件創出や案件受注に課題がある方は、ぜひ一度見直してみてはいかがでしょうか。

2.認定資格をモチベーション向上に活かすための戦略設計

認定資格は、パートナー企業のモチベーション向上に有効ですが、ただ認定資格を用意するだけでなく戦略が必要です。

以下では、認定資格をパートナー企業のモチベーション向上に活かすために設計すべきことを記載します。

2-1.パートナー企業のニーズを把握する

戦略設計の第一歩は、パートナー企業のニーズを把握することです。

認定資格を用意しても、パートナー企業にとって取得する理由がなければ、資格取得のための取り組みは進みません。闇雲に、仕切価格を下げる、インセンティブを支払う、などの金銭面におけるメリットだけを用意しても、必ずしもパートナー企業にとって価値になるとは限りません。

市場の流れと、パートナー企業が直面する具体的な課題やその先の顧客ニーズを特定し、それらに対応する認定資格制度の内容を充実させる必要があります。

パートナー企業が自社サービスの販売において何を求めているのか(既存顧客へのアップセルなのか、既存事業の低迷により新しい収入源を作りたいのか、商談のフックとして活用したいのか、など)を明確にしておけば、次に続く戦略を格段に考えやすくなるでしょう。

2-2.インセンティブ設計をする

次に、認定資格取得によるインセンティブを設計しましょう。

認定資格の取得によって得られる報酬や利益を明確にすることで、パートナー企業の積極的な参加を促します。インセンティブにおいては、上記で洗い出したパートナー企業のニーズに合わせた価値提供を心がけましょう。

例えば、

●「特定のサービス領域において権威性を持つことで、顧客数や顧客単価を上げたい」というニーズがある
→認定資格取得の際にHPなどに掲載できるバッチを付与する。

●「サービスの販売を通して業績向上に繋げたい」というニーズがある
→認定資格取得の際に仕切価格を下げるなどで、取得手数料を上げる。

など、ニーズを把握しパートナー企業にとって実際に価値のあるサポートを提供することで、根本的なモチベーション向上が可能になるでしょう。

2-3.教育体制を整える

次に、認定資格取得のための教育体制を整えましょう。

パートナー企業も普段の業務で忙しくしているので、ただ単に認定資格のみを用意しても、いかにインセンティブが魅力的であっても現実的に取得が難しいという状況に陥ってしまいます。教育体制の整備は、パートナー企業が認定資格を取得できるようにするために不可欠です。

しっかりとした教育コンテンツ、体制を用意することで、パートナー企業の資格取得を促すだけでなく、知識とスキル獲得により英御力高めることができます。

2-4.段階的な設計をする

なお、資格取得のハードルを下げるために、段階的な設計をすることも有効です。

資格取得の基準を上げすぎてしまうと、パートナー企業も資格取得が億劫になってしまいます。しかし、基準が簡単すぎていても、権威性をもたせることができなかったり、本質的なパートナー企業のスキルアップに繋がらないといった懸念があります。

そこで、初級から上級まで複数のレベルを設け、各段階ごとに達成感を得られるようにすることで、パートナー企業の持続的な成長と学習意欲を促進できます。段階的な設計は、パートナー企業が自身の進歩を認識し、次なる目標に向けてモチベーションを高め続けるための鍵となります。

3.IT業界におけるカテゴリ別の認定資格の種類

それでは、具体的に認定資格は何を用意すればよいのでしょうか。一般的には、製品別/レベル別で用意されていることが多いです。

今回は、IT業界でカテゴリ別の認定資格の種類を事例とともにご紹介します。

3-1.CRM

◎Salesforce,Inc.
Salesforceの機能をカスタムし実装できることや、プログラミングを用いたカスタム開発ができること、営業コンサルティングができること、などパートナー企業の習得したいスキルにあわせた資格制度が用意されています。

アドミニストレーターなど、個人に焦点を当てた資格が中心であることが特徴です。

●アドミニストレーター:Salesforceプラットフォームを管理し、カスタマイズするための基本的なスキルと知識を持つ個人
例)Salesforce Certified Administrator
●アプリケーション開発:プログラミング的機能を含むカスタムアプリケーション開発スキルを習得している
例)Salesforce Certified Platform App Builder
●アーキテクト:アーキテクチャ環境と要件を評価したうえで、その要件を満たす管理ソリューションを Salesforce Platform 上に実装することができる知識がある
例)Salesforce Certified Technical Architect
●コンサルタント:顧客起点のアプローチに基づく方法論を使い、優れた営業の模範を実証できる
例)Salesforce Certified Sales Cloud Consultant、Salesforce Certified Marketing Cloud Consultant
●専門家;特定の機能の構築のプロフェッショナル
例)Salesforce Certified Marketing Cloud Email Specialist、Salesforce Certified Marketing Cloud Social Specialist

詳細:https://tandc.salesforce.com/credentials

◎Microsoft,Inc.
Microsoft製品別および等級ごとに複数の資格が用意されていることが特徴です。パートナー企業のスキルにあわせて様々なアライアンスが組めるようになっています。

●システム開発系:技術的なスキルと実装
例)Microsoft Certified: Azure Fundamentals、Microsoft Certified: Power Platform Fundamentals
●コンサルティング系:顧客との対話、プロジェクト管理、ソリューションの提案
例)Microsoft 365 Certified: Fundamentals、Microsoft Certified: Dynamics
●データサイエンス/AI系:データサイエンス、データエンジニアリング、AI開発、データ分析など、データ関連の技術的な役割
例)Microsoft Certified: Azure Data Scientist Associate
●セキュリティ系:組織のセキュリティポスチャを強化し、脅威から保護するための技術的なスキル
例:Microsoft Certified: Azure Security Engineer Associate
●教育系:Microsoftのテクノロジーを教室で効果的に活用し、学習と教育のプロセスを強化
例:Microsoft Certified Educator

詳細:https://learn.microsoft.com/ja-jp/credentials/

3-2.RPA


◎UiPath
企業のRPA導入において、コンサルティングおよびシステム開発ができる資格であることが特徴です。

●コンサルティング系:RPAの基礎知識やRPAプロジェクトの要件定義やプロセス分析の知見を持つ
例)UiPath Certified RPA Associate (UiRPA):、UiPath Certified Business Analyst
●システム開発系:UiPathプラットフォームでの高度なRPA開発スキルを持つ
例)UiPath Certified Advanced RPA Developer (UiARD)、UiPath Certified Professional Solution Architect (UiPSA)

詳細:https://www.uipath.com/ja/partners/become-a-partner

3-3.セキュリティ

◎トレンドマイクロ
製品別に認定資格があることが特徴です。

●エンドポイントセキュリティ:エンドポイントセキュリティ製品に関する高度な知識と技術スキル
例)トレンドマイクロ認定セキュリティマスター
●クラウドセキュリティ:クラウド環境でのセキュリティ管理と保護に関する専門知識
例)トレンドマイクロ認定クラウドセキュリティ専門家
●ネットワークセキュリティ:ネットワークセキュリティソリューションの導入、設定、管理に関する専門知識
例)トレンドマイクロ認定ネットワークセキュリティスペシャリスト
●サイバーセキュリティ:サイバーセキュリティの脅威と対策に関する広範な知識とスキル
例)トレンドマイクロ認定サイバーセキュリティプロフェッショナル

詳細:https://www.trendmicro.com/ja_jp/partners/referral-partners.html

◎フォーティネット
フォーティネットの認定資格プログラムは、フォーティネット ネットワーク セキュリティ エキスパート(NSE)プログラムとして知られています。NSE認定は1から8までのレベル別で設計されていることが特徴です。

●NSE 1: ネットワークセキュリティの基本
対象者: セキュリティの基礎を学びたい全ての人
内容: サイバーセキュリティの脅威と基本的なセキュリティ概念
●NSE 2: フォーティネットソリューションの概要
対象者: フォーティネットの製品とサービスについて学びたい人
内容: フォーティネットのセキュリティファブリックと主要製品の概要
●NSE 3: フォーティネット製品の詳細
対象者: フォーティネットの製品についてより深く学びたい販売パートナー
内容: フォーティネット製品の詳細な機能と利点
●NSE 4: フォーティゲートセキュリティ
対象者: ネットワークセキュリティの専門家
内容: フォーティゲートデバイスの設定、導入、管理
●NSE 5: フォーティアナライザーとフォーティマネージャー
対象者: セキュリティ管理システムの専門家
内容: ネットワークセキュリティ管理と分析
●NSE 6: 特定のフォーティネットアドバンス製品
対象者: アドバンス製品の専門家
内容: 特定のフォーティネット製品群(例:フォーティウェブ、フォーティメール)の導入、設定、管理
●NSE 7: エンタープライズセキュリティアーキテクト
対象者: 上級ネットワークセキュリティの専門家
内容: 複雑なネットワークセキュリティソリューションの導入、設定、管理
●NSE 8: フォーティネットネットワークセキュリティエキスパート
対象者: セキュリティとネットワークのエキスパート
内容: フォーティネットの技術に関する包括的な知識と技術の証明

詳細:https://www.fortinet.com/jp/training-certification

4.さいごに

以上、認定資格制度について記載していきました。

次回もお楽しみに😊

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