見出し画像

おっさんずラブ 牧と武川 セリフから読み解く二人の過去

またか、とお思いでしょうが、またです。またですとも。
牧と武川の過去についての考察です。

公式でしっかり描かれ、答えが出ている安定した牧と春田は、観ているだけで満たされて、本当に幸せな気持ちをもらえます。
対して、断片的にしか描かれていない牧と武川の過去。どうしたって興味をそそられます。しかも悲恋。終わったことと言いつつ、お互いすべてを拭い去れているとは言い難い様子。
結局のところ、謎や負の感情に惹かれてしまうのです。下世話な人間ですみません(笑)

今回は、セリフの端々ににじむ二人の過去の姿を私なりに解釈してみました。ご興味ございます向きは、お付き合いいただければ幸いです。


「自分の好きな仕事をするんじゃない。
 自分の仕事を好きになるんだ」

はい出ましたー!
21歳の牧くんの心をわしづかみにした、たった30文字のキラーフレーズ。

これ、働く方なら刺さる言葉じゃないでしょうか。ある程度の勤続年数になれば、多くの人がぶち当たる壁。やりたい仕事、やれる仕事、今やってる仕事。この狭間で揺れる時期ってありますよね。

武川さんも悩んだことがあったのでしょう。実はもともと営業じゃなく(もしかしたら不動産業ですらなく)、別の仕事がやりたかったという思いが見て取れます。なんたって就職氷河期世代ですからね。しかし、望まぬ仕事であったとしても、腐らず、自分を奮い立たせ、懸命に取り組んで結果を残してきたからこその言葉でしょう。
それを広報に載せておいて、忘れるはずがない!
「覚えてないな」は、武川さんなりの照れ隠しでは。牧くん、その照れ隠しに気づいたから、その後あんなに楽しそうに武川さんとお話できてたのかな~。「お、なんかこの人かわいいぞ!」と。うん。目ざとい(笑)

そして、この言葉が牧くんに多大な影響を与えていたことは、第1話を見るとよくわかります。

華やかな開発事業部とは異なる、営業部の地道な仕事。だけど、ポスティングひとつおろそかにせず、夜までかかってでもやり遂げている。サンドイッチマンだってやるし、後輩のマロから押し付けられた仕事だってちゃんと代わってやっている。春田と違って単にお人好しというわけでもないのに。

「自分の仕事を好きになる」ために、適当にこなさず、目の前の仕事に丁寧に、誠実に取り組む姿勢の根底には、武川の言葉がしっかりと刻まれているのでしょう。
学生時代からの憧憬、働き始めてからなお強くなる尊敬の念といった武川に対する気持ちが、現在の彼を形作っていった。4年前のおどおどした態度とは別人のような、現在のエリートサラリーマンへの成長ぶりも、非常に頷けます。



で、ここまで書いたところで公式からお知らせが。

"武川という男"………!!!!!!!!!
しかも眞島さんご本人考察…!!!!
わりと本気で動揺しました。ここでアホみたいに書きなぐってきた考察にも答えが出てくるんでしょうか。楽しみすぎてやばいです。

答えが出るならもう書かなくていいや、とならないのがオタのSAGA。
続けます。



「生活のすれ違いが原因だった」

入社前から交際していた牧くんとの別れについて、武川さんは春田にこう説明しました。
まあ、あくまで原因のひとつにすぎないでしょう。
だって、生活がすれ違っていても、ほかの部分がかみ合っていれば問題なくないですか?
会える時間が少なくても、連絡はとれる。
遠くにいても、相手を思っていれば言葉をかけあえる。
ほんの一言で、つながっていられる。
だって、東京と上海にいる牧と春田が、その距離でダメになっちゃうとこ、想像できますか? まっっっっっったく問題ないでしょう。重要なのは、時間でも距離でもないのです。

生活以上に二人をすれ違わせてしまったものは、何だったんでしょうね。



「自分の幸せより、相手の幸せか」

6話の、武川から牧へのセリフです。(7話の3カメ壁ドンでも言ってましたね)
あんなにウキウキとみかんゼリー差し入れといて、最後にこんな爆弾残していくとは罪作りな男だ。もう、このときのマサムネの表情ときたら切ないオブ切ない。聞いてる牧の表情も、もう今にも泣き出しそうなんだもの。何があった。4年前に何があった。

また、7話のわんだほうでのシーンで、春田から身を引いた牧くんについて「そういうやつなんだよ、あいつは」とも漏らしています。
「そういうやつ」=「自分の幸せより相手の幸せを優先するやつ」
昔から、牧くんはそうだったんですね。

そんな牧くんに対して、武川さんもどうしても踏み込めない部分があったのかもしれない。ヤマアラシのジレンマ、という言葉があるけれど、寄り添って傷つけるよりも、傷つく前に離れることを選んだ。
それを武川さんはずーーーっと悔いている。
だって、相手の幸せを願って別れたのに、牧くんはぜんぜん幸せそうじゃない。(行きたくもない合コンとか行っちゃって) いや、幸せそうじゃない牧くんを見るのがつらいから、見ないように仕事に没頭していたのかも。それはきっと牧くんも同じ。都市開発の仕事、がんばったもんね。




で、ですよ。



考えたわけです。



結局、なんで二人は別れたのか。






志望した職種ではないけれど、営業部でがんばる武川さん。

牧くんが入社して、次第に忙しくなってすれ違う生活。

相手を傷つけない思いやり。



牧くんは、入社前から武川さんに育てられたようなもんだから、営業部で武川さんと一緒に働くことをぼんやりと想像していたのでは。

入社前に、仕事の話も今まで以上にたくさん聞いていたでしょう。

「うちの部長は本当に理想の上司なんだ。オレもいつかあんな風になれたらって思ってる」
「2期先輩の女性が、今は部下なんだけど。も~地獄耳のおしゃべりおばちゃん。でも成績はバツグンなんだよ!」
「5年目? 6年目だっけか? 春田ってのがさ、もう、バカなの。本当にバカ。でも、超がつくほどお人好しでさ。なんだかんだお客さんから慕われてる、いい奴なんだよ。うん。ああいう奴が最終的にデカい仕事を成しとげるんだろうなあ」

なんてね、なんてね!
そんな話もしてたかもね!

そんで牧くんも「楽しそうな職場ですね。入社式が待ち遠しいなあ」なんつって。言ってたりして。

ところが、いざ入社してOJT終ってみたら、配属先は本社の開発事業部




ねえ、もしかして…

わかんないけど…

ただの想像でしかないけど…

武川さんがやりたかった仕事って、都市開発だったんじゃ…?



もしそうだとしても、「それ…オレがやりたかったやつ…」なんて、武川さん牧くんに絶対に言うわけないですよね。
プライドだってあるし、優しい武川さんのことだから、牧くんに余計な気を使わせるのなんてイヤに決まってる。

そしてやがて牧くんは激務の波に飲み込まれ、二人の時間はどんどん削られていく。
加えて、本社は土日祝休み、サービス業である営業所は平日(水木あたり)休み。まったくかみ合いません。それだけなら乗り越えられても、配属が引き金となって溝はどんどん深まっていく。いや、牧くんはなんで武川さんがつらそうなのか、わかってなかったかもしれないですね。だって、何も言ってくれないんだもの。

武川さん、言えない言葉をどれだけ飲み込んだでしょう。
言ってしまいそうになる自分に、どれだけ嫌気が差したでしょう。
想像するだに、胸が痛みます。




ちょっと深読みが過ぎたかもしれません。
しょうがない。彼らの演技がそうさせてしまうんです。


さ、公式ブックで答え合わせするとしますか。

「武川という男」、心から楽しみにしています!!




▼マサムネについての非公式マガジンはコチラ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?