【コラム5】上がり馬という幻想

3日間開催、お疲れ様でした。

個人的に、出張や飲みに付き合わないといけない状況や朝の3時に起きて仕事に行かなくてはならなかったり、えげつないスケジュールの中で競馬予想やったり、海外競馬見ていたりしていまして、最終日は競馬場で寝てて、気づいたら買ってたレースが最後の直線だったとか、ホント満身創痍でした。。

で、そんな中で思うことが色々とあった週末でもありまして、ひとつお話しを。

実力と乖離した評価

ローズS、セントライト記念で、それぞれ実績の割にちょっと人気した馬がいました。アルティマリガーレ(7番人気)とオセアグレイト(4番人気)です。どちらの馬にも共通するのが夏の条件戦で連戦連勝を重ねてきた馬であるということ、つまり「上がり馬」ですね。

しかしながら、私のフォロワーさんならご存知ですが、ローズS、セントライト記念については登録馬が出た時点で、各馬の簡易評価をさっさとやっておりまして、その時の2頭の評価がこれ。

図1

はい、一蹴とはこのことですね。

まぁオセアグレイトはもうちょっと検証するべきでしたが、検証したら、ローズテソーロに負けている(しかも特に展開不利とかはなく)ので、単純に力が足りないと判断する根拠が増えただけでした。

なので、自分の感覚としては人気と実力があまりに乖離していると言わざるを得ない状況でした。特にオセアグレイトは有名予想家や競馬マスコミのトラックマンが取り上げていたりして、人気を押し上げる要因にもなりました。

今年の夏に起きた異変

でも自分からしたら、ローズSにはGⅠ馬もいるし、セントライト記念には皐月賞・ダービーの上位馬はいないものの、超一線級と戦ってきた馬達が出走してきているレース。あまりに舐め過ぎじゃないかと。

確かに夏に連戦連勝を重ねてきたということは事実ではあります。ただ、それは今夏の異変に鈍感過ぎるのではないかと思うんです。

今年の夏に起きた異変、それは降級制度が廃止されたことで、1~2勝クラスが3歳馬にとって格好の狩り場となったことです。

以前、3歳馬全体のレベルが低い可能性があると書いた自分にとって、このことに気付くのにそう時間はかかりませんでした。

画像3

画像3

【出典】https://news.goo.ne.jp/article/spaia/sports/spaia-column_8488.html

この通り、過去の傾向から一気に様変わりし、3歳馬の勝率・連対率が大きく上がっております。

ただ、これにはカラクリがあります。出典は同じですが、1勝クラスの勝率、OPでの勝率をデータにすると、こうなります。

画像4

画像5

下位条件では3歳馬の勝率に大きな変化はありませんが、OPでは4歳勢が強い状況が明らかになっています。

これは自分の肌感でしかありませんが、例年、夏競馬では「意外な穴馬」というか展開不利で着順を落とした馬が次走で巻き返すということが非常に多く、そんな穴馬を探すのが楽しみだったのですが、今年はそれがほとんどありませんでした。

何故か。それは降級制度がなくなったことで、実力馬は上位条件に、弱い馬はいつまでも下位条件に留まっている状況になってきているからだと思われます。特に今年の夏は下位条件戦で、少頭数・低レベルレースが多かったように思います。そこに斤量の恩恵を受ける3歳馬が入ってくれば、世代で下位だとしてもレベルが似たような条件戦では勝ててしまえるわけです。

上がり馬は幻想へ・・・

こうなると、どんなに連勝をしても、実力のある「上がり馬」だという根拠が一気に薄まります。オセアグレイトはその典型でしょう。

オセアグレイトの戦績を見てみれば分かりますが、

【2/11 東京2,400m未勝利戦】
・ローズテソーロ/フローラS 18着(ビリ)、紫苑S 6着
・セントレオナード/戦績安定も、勝っているレースレベルは低い
・エフェクトオン/長距離で戦績安定してきた鈍足馬。
※紫苑Sは正直上位5頭以外はレベル低いです。

【3/30 中山2,000m未勝利戦】
・レッドサイオン/斤量恩恵と低レベルレースで1勝クラス勝ち
・シュテルンシチー/1勝クラスで壁
・アースドラゴン/未勝利
・ラステラデファルコ/未勝利

・・・と挙げればキリがありませんが、とにかくレベルが低い。「あ~この馬に勝ったことあるのか!」、舐められた実力馬にはそんな発見がたくさんあるものです。ですがこの馬にはそれが一切ない。

信夫山特別もプラチナアッシュが2着に粘れる程度のレースであることを鑑みないといけないわけです。プラチナアッシュが重賞で通用するようなタマですか?と。

このように、下位条件が全体的にレベルが落ちているわけですから、1、2勝クラスを勝った程度、連勝した程度で「上がり馬だ!」と考えること自体がこの夏に垣間見えた変化を捉えられていないわけです。

この実力馬に勝った、ハイペースを前で粘る強い競馬をした、等々きちんとした根拠がない限り、「上がり馬」という概念はもはや幻想と化してきていると言えます。

着順で判断せず、戦った相手はどうか?ラップは?レースを見ていて光るものはあったか?…と、これまで以上にレース一つひとつを丁寧に分析しなくてはなりません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?