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ブルペンのようなもの

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二軍落ちしたもの――正確には二軍ではなくてまだ表には出せず、肩慣らししなきゃいけない連中――を急きょ隔離した場所。囲われた牛たちのように力みだけは一人前にある。やがててっぺんとっ… もっと読む
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記事一覧

バカバカしこの世で一番バカバカし
阿保のお陰で死をまぬがれた
#短歌 #note短歌部

今短歌思い付き次第ためとるが、これはブルペンレベルだからよかろうも

『パンツ丸見え~熟成下履き~(仮)』

『パンツ丸見え~熟成下履き~(仮)』

――ふと目覚めると、そこは広大な図書館……らしき場所だった。室内の壁という壁が書棚になっており、どういう仕掛けになっているのか、はるか高みにある天井にまで書物がぎっしりと収められている。

書棚の壁は巨大な回廊と言っていいほど部屋のずっと奥の方まで続いており、先はぼんやりと霞んで見通せない。窓が一つもないのに仄かに明るいのも不思議な光景だった。

試しに壁の書棚から一冊抜き取ってみる。背表紙には何

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「リサイクルショップはせがわ」

「ああ……暇(ひま)だ……」

おじさんのお店――「リサイクルショップ・はせがわ」でバイトして3年目。
いまだにフリーターでくすぶってる俺ですけどなにか?

「うう……ったく、仏壇屋(ぶつだんや)みてえな名前だから客が全然こねえじゃねえかよ」
言って、レジのカウンターにぐったりと突っ伏す。

もう9月も半ばだというのに、残暑が名残惜しげに東京の片隅にとどまり、
庶民にうとまれ続けている。
かく

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『ヨミチとガラス子』

『ヨミチとガラス子』

いつもの朝が始まるはずだった。けど、その日は違った。玄関のチャイムが鳴ったのだ。なぜだか少し、嫌な予感がした。

「ヨミチー? お母さん今火を使ってるからお父さんに出てもらって」

言われて2階を見たものの、書斎に籠ったきりのお父さんが出てくる気配はない。きっと今日も作品がうまく書けずにいるのだろうと思った。

「いいよ、ボクが出るから」
「そう、じゃあおねがーい」

サラダにウィンナーに目玉焼き

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『ヨミチとガラス子』

『ヨミチとガラス子』

うめこみ、楽になったかも。
ちょっと後編を修正したので、ついでにテストアップ

あーあー、仕事移行期間おわって、忙しくなってくるー><

『おばけクラゲ』

『おばけクラゲ』

夏の終わりにやっと海へいきました
クラゲがいっぱいでした
もうあちこち刺されて
赤いミミズバレもできました
 
海のなかにもぐってみると
外の音は消えました
ゴボッゴボッという海の音がしました
それは僕の音だったかもしれません

太陽の光はまだまだ強くて
海の底の白い砂を
青白くユラユラと照らしていました

ぼくが歩くたび
パフッパフッと白い砂が小さく舞い上がって
近くにいた砂色の魚が
びっくりし

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『旅クラゲ』

『旅クラゲ』

僕がなぜ、詩を書き続けているのか。
いや、書き続けねばならないか。

これを説明するには、どうしても
“旅クラゲ”のことを話さないといけないんです。

いえ、“食べ比べ”でも“旅比べ”でもありません。
“旅クラゲ”です。

ああ、わかります。
私も初めてこの話を聞いたときは
同じような顔になったと思います。
しかし、僕は至って真面目です。

旅クラゲと言っても、
喜望峰から東南東へ約150km、ア

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『リサイクルショップはせがわ』

『リサイクルショップはせがわ』

「暇だ……」
おじさんのお店――「リサイクルショップ・はせがわ」でバイトして3年目。
いまだにフリーターでくすぶってる俺ですけどなにか? なんて言えない。「……ったく、仏壇屋みてえな名前だから客が全然こねえじゃねえかよ」
言って、レジのカウンターにぐったりと突っ伏す。

もう9月も半ばだというのに、残暑が名残惜しげに東京の片隅にとどまり、
庶民にうとまれ続けている。かくいう俺はお店の中でクーラーと

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【うたがわきしみの短歌集『きしみ卿のタンタカタン』より】

ボク探しミトコンドリアと赤血球
細胞膜を隠し撮りする

じゃっかんのうしろめたさののぞき窓
からだぢゆう光るプレートに透けて

※電子顕微鏡で探したのかな