『そんな二人』
「ただいま。見送ってきた」
「お帰り。で、十分なお別れはできたのか」
「そんなものできたら涙いらないでしょ」
「素直に泣いたって言えよ」
「ふん、どーせ私は屈折してますよ」
「そっか……でも、寂しくなるな」
「…うん」
「よし、シチューでも作るか」
「手伝う」
「いいよ、そんなエネルギー残ってねーだろ」
「タマネギ刻ませて」
「なんだ、まだ泣くつもりか」
「うるさい」
水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。