まにうける

【風雲ガチンコ文章指南録!?】『真に受ける力』⑲~ボクもきしみ先生に習いたかったなあ…なんか、熱い…の巻~

西山さんから以前出していた二つの質問について返答が届いていた。

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きしみさん

遅くなり、すみません。
先に質問(?)のお返事を書かせてもらいます。

教授に出してもらった意見が少しだけあります。
「先日も話しましたが、この文章だとまた同じ結果です。
(情景描写しかしていないからどの曲にもあてはまる)
音楽の流れにそって、楽曲の変化をあなたの心の中でどう“とらえるか”を
文章にしていくことを大切に考えてください」

「自然に音楽と共に貴方の思っていることが、素直に表現できると思います。
『時間軸とともに音楽を聴き、表現する』これが大事です。」
と先日プロフィールを送らせてもらった青地先生が言ってくれました。

他の先生には、「あなたの深層心理がみたいから、もっと音楽を感じて、
深く考えなさい。」といわれました。

私の夢は、舞台音響の道です!
音響の中にも色々あるので、まだはっきりとは分からないの
ですが、今は舞台音響の道を目指しています。

私、いつも、自分を持っていないんだなと感じてしまいます。
なんでも中途半端に流して他人に頼る・・・
この機会に自分をしっかり持ち、自己アピールできるように
したいです!

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2007/10/29, Mon 12:55

西山さん

返信、遅くなってすみません。
ご回答、ありがとうございました。

> 音楽の流れにそって、楽曲の変化をあなたの心の中でどう
> “とらえるか”を文章にしていくことを大切に考えてくださ
い。

――という教授のポイントを聞いて安心しました。
私なら、やはりこの間メールした
バッファローの感じになりますね。

私は『時間軸とともに音楽を聴き、表現する』
というポイントを聞いて、教授たちの知りたいことが
わかった気がしたんですよ。

舞台や、映画でもそうですが、いい作品は、
展開する物語に合わせて、ここぞ! という時に
ここぞ! という音響を使用していますよね。
あの、役者たちの芝居と、音響と、照明が渾然一体となって、
ぐわっと立体化して観客に流れ込んでくる瞬間がたまらないから
みんなハマってやめられなくなるんですよね。

舞台上の物語展開に応じて、観客のツボをつく音楽を見つけて
流したり、あるいは異化効果をねらった曲を見つけて流したり、
(あるいは作ったり)音響にたずさわるなら、
音や曲が持っているモノに対して深く、
鋭敏であらねばならないはずです。
でなければ、イキモノである芝居を
だいなしにしてしまいますからね。

役者と、観客と、音と、光が
ひとつの生きもの(有機体)となったときの、
あの感動を作り出すために、みんな研究し、
日々頑張っているんですよね。

その音の分野のエキスパートには、
今流れている曲がどんなイメージを喚起する曲なのか?
また、どんな効果が期待できるものなのか?
をとらえ、判断する能力や感性が問われると思います。

その辺を知りたいんだろうな、と思ったものですから、
あのバッファローを書いたときには
二つのことに気をつけたんです。

1つ、情景描写では、
今流れているその曲が、実際に使われてそうな
映画なり、舞台なりのシーンを書くようにしてみる。
※その際、臨場感を出すためなら、
自分がその世界にいる感じで書いてもいい。

2つ、心理描写では、自分がそのシーンを見ている、
(あるいは、そのシーンに流れている曲を聞いている)
観客として、どんな心の動き方をしているか、
なるべく劇的に書くようにする。

こんな感じです。

大事なのは、スタンス(立ち位置)の違いです。

情景描写では、臨場感が出るように
そのシーンに入り込んで書いてあってもいいですが、
心理描写では、そのシーンを見て何かを感じている
観客としての自分に入り込んで書くようしました。

【情景】
>一頭でも恐ろしい筋骨隆々のバッファローが、
>黒々と群れをなし、濛々と砂煙を蹴立てながら、
>怒涛の勢いで荒野を突き進んでいく。

【心理】
>私の心臓は一気に跳ね上がり、
>さらに加速度を増してゆく鼓動が、バッファローたちの
>踏み鳴らす地響きと重なっていく(ようだ)。
>まるで私自身が一頭の獣となり、
>全速力で駆け抜けているような疾走感。
>体全体に力がみなぎってきて仕方がない。

バッファローの映像が出ている中、
それを煽るような曲が流れていたんでしょうね、
拳を握り締めて、ドキドキしている観客の自分がいたので
こんな感じになりました。

教授たちが重点を置いているのが、その心理描写の方ですね。

あらゆる曲の効果を自由自在に使うには、
まず曲に身を任せてみて、それでどんな風に
気持ちが動いたのかを、自分で正確に感じとる能力が
必要だからでしょうね。

そういう引出しをたくさん持っている人が、
ああ、この場面なら、あの手の曲を流せば
相乗効果が出て、ドライブ感が増すはずだ!
とか言えるのではないでしょうか?


> 私、いつも、自分を持っていないんだなと感じてしまいます。
> なんでも中途半端に流して他人に頼る・・・
> この機会に自分をしっかり持ち、自己アピールできるようにしたいです!

もし、責めているように感じたのなら
ごめんなさいね。

もし迷ったときに、どこに立ち返ればいいかに
気付いてほしかっただけです。
いろんな人に聞くことが悪いわけではありません。
むしろ、謙虚で、頑張り屋で、慎重で、素晴らしいことです。

ただその分、情報が増えてくるでしょうから、
振り回される可能性も出てきます。
その迷ったときの立ち位置が重要になってくるんです。

誰の意見に立ち返って、見直せばいいのか?

そう、教授です。
私たちは憶測でしかアドバイスできませんが、
試験を出す側のアドバイスは、本物のヒントですからね。

そして、教授たちの意見を見直した上で、
我々、憶測側の助っ人から集めた情報も見渡し、
自分が適当だと思うものを吸収し、役立てると。

その、適当だと思われるものを選ぶのだけは、
西山さん自身でやらねばなりませんよ、ということですね。

西山さんには、優しくて繊細な感性があります。
自分がないわけじゃありません。
今ある自分を、自分だけは信じてあげてください。
そして、使えるもには使って、
道を切り開いていってください。
そこに成長と深化があるはずです。

ではでは、また。

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。