庭先を眺めながら、
よく降るな、と父が言った。
降りますね、と僕が答えた。
それきり会話は続かなかった。
ただ、打ちつける雨音に耳をすまし、
雨のにおいをかいだ。
それで十分だった。

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。