あざらし白書

小説、ときどき、エッセイ。餃子がとても好きです。写真のあざらしは自作です。

あざらし白書

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マガジン

  • いいと思うのには理由がある

  • 大切なことはすべて、ミスチルが教えてくれた

    のんびりと、とりとめもなく書いていきます。ミスチルの歌をみんなが好きになりますように。

最近の記事

スルーは、ダメ。ゼッタイ。 〜カルべ・ディエムな生き方〜

あした、社長に退職届をだす。 秋だ。別れの季節が今年もやってきた。 「三十代前半までは、自分が面倒だと思う人ととにかく一緒に仕事をしろ。それが十年後の自分の幅を広げるぞ」 と、前職の上司に言われた。 たしか、日本橋近くの長崎ちゃんぽんのカウンターでのことだった。 ただでさえ夏の暑い日に熱々のちゃんぽん。 加えて、心臓が変な声をあげそうなこの暑苦しい言葉に、僕は素直にうなずくことができなかった。 何を隠そう、僕が一番面倒だと思っていたのは、隣でちゃんぽんを啜っているその上司

    • いいと思うのには理由がある_vol.2:ドラゴンボールを読んだら小説が書けなくなった話

      往年の人気漫画、ドラゴンボール。 僕はつい先日30歳になったんですが、あれを今更ながら読んだんですよね。 これまで、隣に座っている先輩が「界王拳10倍の勢いで仕事した」とか「セルゲームばりに詰んだ」とか言ってて、この人何言ってんだろとか思いながら「たしかに」と、わかった顔で相槌打っていました。 僕は、この『わかった顔で相槌を打つ』行為に関しては右に並ぶものがいないぐらいに本当に得意で、難しい話されたときにはだいたいこれでやり過ごしてきました。でも、その先輩にはすごくお世

      • いいと思うのには理由がある_vol.1

        いまさらながらトイ・ストーリー4を見たけど、すごく良かった。 この「すごく良かった」という、陳腐な言葉でしか書き出しを始められない自分の語彙力を呪うけど、とにかくすごく良かったと思う。 賛否両論という記事もいくつかあったけど、僕にとっては圧倒的傑作。これは間違いない。 映像表現については、はっきり言ってわからない。 僕がいいなと思ったのはストーリーのほう。ネタバレも含まれるかもしれないと思うので、「まだ見てねーぞ!」と言う方はぜひここでソッ閉じしていただきたい。 再起へ

        • いいと思うのには理由がある_プロローグ

          生きているなかで「これはすごくいいな」とか、「これは面白いな」と思うことはたくさんあるのだけど、その理由を明確に言語化してみたことは意外に少ない。 「あの人のこと、なんか気になるな」とか、「この映画はぐっとくるな」とか、本当はそこに共通点や自分が心惹かれるポイントが必ずあるはずなのにもかかわらず、簡単な「好き」という言葉で終わらせている。 なんだかそれがとても勿体なく思えて、きちんとそれを言葉にして残したほうがいいのではと思いこの記事を書いている。 自分の心を突き動かすも

        スルーは、ダメ。ゼッタイ。 〜カルべ・ディエムな生き方〜

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        • いいと思うのには理由がある
          2本
        • 大切なことはすべて、ミスチルが教えてくれた
          8本

        記事

          或る阿呆の土曜日

          起きながらにして眠るというのは、ある意味人間の限界を超える 誰しもが憧れる所業ではないかと思う。 僕は、まさにいま、それをやってのけた。 いとも簡単に、布団にくるまって。 視界から入ってくる情報があまりにも多すぎて、何度も何度も目を瞑ると 今度はやかましい貶めの声が聞こえて来るのだ。 これは誰だろう?なんて思っている間に、僕の口は「勝たなきゃ」と 口癖のようにつぶやき始めている。 勝つってなんだろう?誰と争っているんだ? 「ここだけは負けらんねえ…!」と、太陽に向かって

          或る阿呆の土曜日

          ラララ、とは一体なんだったのか? -人間が生きる意味について-

          2020年になった。オリンピックイヤーだ。 早生まれの僕にとっては、同級生に遅れて30歳になる年。 節目の年に単純すぎるけど、色々と考えなおすことが増えた。 生きること、仕事のこと、家族のこと、それから何をなすべきなのかということ。 当然だ、30歳はトランジション(移行)の時期らしい。 そのどれにも明確な答えは出せないのだけれど、とにかく頭を捻って考え抜いた。 そうして、とりあえずウクレレをかき鳴らすことから始めてみることにした。 せいぜい弾けるのは、ハワイアンパンプ

          ラララ、とは一体なんだったのか? -人間が生きる意味について-

          ミスチル最大のラブソングは一体なにか?に答えを出す話

          Mr.Childrenことミスチルの楽曲のなかで、どの曲が最大のラブソングなのかということは、過去数十年間さまざまな場所で我々ミスチルファン達によって議論されてきたものとおもいます。 しかし、今回は大変勝手ながらその議論に、一旦終止符を打たせていただこうとこのnoteを書いています。2019年もそろそろ終わり。来年は2020年のオリンピックイヤーということもありますので、ここいらで決着をつけるべきだと考えたためです。もったいぶるつもりはありません。即紹介させてください。

          ミスチル最大のラブソングは一体なにか?に答えを出す話

          それはまるで、見え透いたカツラのように

          訳あって地元に戻ってきている。 僕の地元は都心に比べて2度ほど温度が低く、自宅は外気温より1度低い。つまり、都心に比べればトータルで3度低くなる計算だ。そんなことって、あるだろうか。 そんなわけで、僕は朝起きるたびに冷える足先にイラつきつつ、なかなか暖まらない部屋に嫌気がさしてエアコンの温度設定を1度上げる。 その温度設定が1度上がる度、どれほどの温室効果ガスが放出されるのだろうか、などと想いを馳せながら、融解しゆく北極の氷のうえでダンスするペンギンを想像し、「あいつペン

          それはまるで、見え透いたカツラのように

          ブラックフォーマルとレクイエム

          人が亡くなったとき、僕らはどう対処すればよいのだろう。 先日、通夜に参列をした。とある不幸があったのだ。 ここ最近、暑さから全く着ることのなかったブラックフォーマルを、クローゼットの中から取り出す。おそらく、久しく会っていない友人たちとも出会うだろう。再会は、どうせならば明るい飲みの席がよい。そんなことをぼんやり思いながら、少しホコリくさくなったスーツに腕を通した。 開始の時間ギリギリに、すでに列をなしていた最後尾についた。突然の土砂降りに遭ったこともあったが、単純に場所

          ブラックフォーマルとレクイエム

          深海で 君の影揺れる

          妻と「突き抜けた特徴が欲しいよね」という話をしていた晩御飯。 今日は野菜が食べたいから、と普段は絶対にいかない鍋の食べ放題へ向かった。「これだっていうものが、なかなかないよなあ」なんて言いながら、一芸を持つ人たちを羨みつつレタスをほうばる。妻はきのこばかりを食べていた。 「もっと何か続けておけばよかった」と箸をおく。お会計は、意外に高くついた。たぶん10年ぐらいはいかないね、なんて冷静に分析しながら家路につく。 風呂に入る前、今からちょうど1時間ほど前のこと。ふと、これま

          深海で 君の影揺れる

          世にも奇妙で伝えたくない無駄なこと

          最初に断っておくと、これは本当に意味がなく、無駄なものです。 たとえ、読み終わっても何も残らないし、始めから終わりまで何も言おうとしていない。ましてや、伝えようともしていない。 ただ、夏が終わり、秋が始まらない、空白の季節だからこそ書き残しておくこと。 今日もまだまだ蒸し暑い。 === もしも、どんなことがあっても死ぬことはないという体を手に入れられるのならば。 とりあえず、深海に行ってみたい。 暗くて、どこまでも沈んでいって、ぞっとするぐらいに大きな海洋生物に出会

          世にも奇妙で伝えたくない無駄なこと

          62円の値打ちな『my life』

          僕がミスチルを語る上で、どうしても『my life』をはずせないのは、やっぱりその人間臭さというか、誰の心にも潜んでいる内気さ・なよなよしさとかが、ギュッと詰まっているからだ。 のっけから、 62円の値打ちしかないの? 僕のラブレター読んだのなら 返事くらいくれてもいいのに  -『my life』より という、僻み根性丸出しなフレーズ。 でも、すごくあるあるなことで、わかってしまう自分もいる。 僕の世代で言えば携帯メールだから、もはや0.2円のパケット代とかの世界。

          62円の値打ちな『my life』

          『友とコーヒーと嘘と胃袋』と強靭な体

          ピカピカじゃなくてもいいじゃない、と誰しもが思っているのかもしれない。 世に言う成功者の話をきくと、それはその人だからできたんでしょ?と考えてしまうことがある。意図的にしろ、そうでないにしろ。 もちろんそれは、そう思わせてしまう人の伝え方にも課題はある。 人は共感できるときにしか、相手の話をほとんど聞いていない。らしい。 おんなじように子どもがいたり、嫌いな食べ物があったり、寝坊したり、100円拾って喜んだり。 人間味を感じないと、言葉が通り抜けていく

          『友とコーヒーと嘘と胃袋』と強靭な体

          『innocent world』に飛び込んで

          初めて買ってもらった携帯は、ドコモのF503iSだった。 紫なのか、青なのかよくわからない色。そんな宙ぶらりんさは、思春期の始まりの僕にとっては思えばぴったりの色だった。 携帯を買ってもらった当時、好きだったあの子と「アドレス交換をしよう!」と思って大喜び。 でも、結局あの子は携帯を持っていなくて、僕のアドレス帳にはしばらく家族と悪友たちしか入っていなかった。 その頃、メールアドレスは一種のアイデンティティみたいなもので。 30文字ぐらいまでの制限があって、そのアドレスの

          『innocent world』に飛び込んで

          大切なことはすべて、ミスチルが教えてくれた

          僕が人生の師と仰ぎ尊敬をしている人たちがいる。 J.D.サリンジャー カート・ヴォネガット そして、Mr.Childrenの桜井和寿だ。 僕は常にこの3人の背中を追いかけている。 誠に勝手ながら、な訳だが。 noteを始めたきっかけの一つに、ミスチルの曲が配信されたことがある。 ああ、そういえば配信されていなかったなと思い、全て持っているはずなのにapple musicにわざわざ登録をしてもう一回聞き直した。 そこで気がついた。人生のそこかしこに桜井さんの言葉がある、

          大切なことはすべて、ミスチルが教えてくれた

          終わりか、始まりか

          最高の気持ちで目が覚め、気分良く目玉焼きなんかを焼く。 塩で食べるか、醤油で食べるか。はたまたソースか。 もう幾度となくやりあったお決まりの喧嘩で、朝の食卓は賑々しい。 水の入ったグラスが、プリズムとなって日光を虹色にうつせば、 葉水をあげたばかりの観葉植物も、どこか煌びやか。 いつものラジオ番組が終わり、お気に入りの白いTシャツを着る。 日が完全に昇りきる前に、街へでかけるのだ。 子供たちのはじける声、笑顔あふれるカフェ。 頬をなでる風が、やわらかさを増してきた。

          終わりか、始まりか