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最大化されたミニマリズム。ジュリアン・オピー展

国内では11年振りに開催された「ジュリアン・オピー展」を見に東京オペラシティに行ってきた。

ジュリアン・オピー
1958年イギリス生まれ 。点と線という最小限の視覚言語で構成された人物像やポートレート、風景などが、絵画、彫刻、映像そしてインスタレーションとして展開。80年代よりヨーロッパのアートシーンで頭角を表し、その作品が世界の主要な美術館に所蔵されるなど、現代アートの歴史を語るうえでも欠かせない重要な存在となっている。

ジュリアン・オピーとのはじめての出会いは、2000年に発売されたBlurのベストアルバムのジャケット。
この時はまだ人物的な詳細が描かれていたが、欧米人なのにつぶらな瞳というギャップに関してとても印象的だった。
今でも、小さければ小さい目のイラストが好きなのはジュリアン・オピーの影響があったことは間違いなさそう。
白根ゆたんぽさんや長場雄さんの登場で、このジャケットを再確認する今日まですっかり記憶から抜け落ちてしまっていた。


そして現在では、ポップさは保ちつつミニマリズムが進化したこちらの印象のほうが強い。さらに簡略化されシンプルになっている。
それなのに、個々の人物像の背景が見えてくるのが、とても不思議な作品力なのだと思う。

LEDを使用したインスタレーションでは、走ったり歩いたりする動きだけでパーソナルさが浮き彫りになっていて、その人の人格までが想像できるので思わずにやけてしまう。
人間の性格や個性は、表情以外からも十分に読みとれることがよくわかる。

また、ジュリアン・オピーは日本の浮世絵コレクターであり、そのアイデアが浮世絵やアニメなどからインスパイアされたものというのも、日本人から好まれやすい理由なのかもしれない。

私の作品はミニマリズムとか、シンプル化とよく言われますが、実は逆の視点から始めています。複雑なものをシンプルにするという感じではなく、何もないところから表現に必要な最低限のものを少しずつ足していくのです。例えば、先に述べた歩く人の作品の場合も、腕や足、洋服、動き方などのわずかな要素で表現しています。こうした私の作品の特徴は、実は日本のアートやアニメなどから影響を受けているのです。

電通本社ビルの展示はよりシンプルでかっこよかったなあ。

公式サイトでは、1990年頃から年代別にアーカイブ化された作品を見ることができる。最大化されたミニマリズムのコンセプト自体は、当時からほとんど変わっていないことに驚かされる。

そして特徴であるポップな色彩。
今回に関しては、よりマットな質感などが非常に好みだったのだけど、パンフレットによると本人は色盲気味らしい。なるほど、色盲の人のもつ色彩感覚はアーティストとして最大な個性となるのだと納得させられた。

ここまでポップな作品はグッズが欲しくなってしまうのだけど、ポストカードのセットが4,000円などという強気な価格帯なうえに、品薄状態で何も買えなかった。残念。

購入したまま眠らせていたUNIQLOとのコラボTシャツを、ひっぱりだしてもう少しちゃんと着ようと思う。


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