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<N0.27>SDGsの各ゴール解説⑰ 目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の各ゴール(目標)の解説とアクションのヒントを国連開発計画(UNDP)、国連広報センター(UNIC)の資料を基に行います。SDGsのゴールを達成するためにも、SDGsの各ゴール詳細を知っておくことはアクションに繋げる上で重要になります。ぜひ最後までお付き合いください。
 今回は「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」です。

UNDPでは「目標17:パートナーシップで目標を達成しよう」を次の通り解説しています。(灰色部分は引用。)

持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

持続可能な開発目標(SDGs)は、グローバルなパートナーシップと協力に向けた強い決意がない限り、実現できません。先進国による政府開発援助(ODA)は、2000年から2014年にかけて66%増額されましたが、紛争や自然災害による人道危機は引き続き、資金と援助を必要としています。成長と貿易の促進にODAを必要とする国も多くあります。

世界はかつてないほど結びつきを強めています。技術や知識へのアクセスの改善は、アイデアを共有し、技術革新を促す重要な方法です。開発途上国による債務の管理を支援する政策を調整するとともに、後発開発途上国(LDCs)向けの投資を推進することは、持続可能な成長と開発の達成に欠かせません。

持続可能な開発目標(SDGs)は、すべてのターゲット達成に向けた各国の計画を支援することにより、南北、南南協力を強化することを狙いとしています。国際貿易を推進し、開発途上国の輸出増大を支援することは、公正かつ開放的で、すべての人々に利益をもたらす、ルールに基づく公平な普遍的取引システムの実現に欠かせない要素です。

グローバルな連帯の強化は、持続可能な開発のための2030アジェンダを構成する17のグローバル目標の一つです。複数の目標を同時に達成するためには、包括的なアプローチが必要不可欠です。

http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sdg/post-2015-development-agenda/goal-17.html

また、UNICでは、このゴールがなぜ必要なのか、という視点で以下のように伝えています。

地域のコミュニティーで、SDGsの達成に向けたアクションを働きかける団体に加入したり、こうした集団を結成したりしてください。
あなたの政府に対し、SDGsの達成に向けて企業と連携するよう促してください。あなたの取り組みを「SDGs パートナーシップ・プラットフォーム」に登録して情報の提供や教育、ネットワークづくりを行い、ヒントを探 し て く だ さ い。
https://sustainabledevelopment.un.org/partnerships ) 

 詳細は以下のURL参照
http://www.unic.or.jp/files/d2610137ec16ab5c675c847b052d6f31-1.pdf  

具体的なアクションを考えるためには、このゴールのターゲットについても知っておく必要があります。ゴール17に連なるターゲットは以下の19です。

資金
• 17.1 課税及び徴税能力の向上のため、開発途上国への国際的な支援なども通じて、国内資源の動員を強化する。
• 17.2 先進国は、開発途上国に対するODAをGNI比0.7%に、後発開発途上国に対するODAをGNI比0.15~0.20%にするという目標を達成するとの多くの国によるコミットメントを含むODAに係るコミットメントを完全に実施する。ODA供与国が、少なくともGNI比0.20%のODAを後発開発途上国に供与するという目標の設定を検討することを奨励する。
• 17.3 複数の財源から、開発途上国のための追加的資金源を動員する。
• 17.4 必要に応じた負債による資金調達、債務救済及び債務再編の促進を目的とした協調的な政策により、開発途上国の長期的な債務の持続可能性の実現を支援し、重債務貧困国(HIPC)の対外債務への対応により債務リスクを軽減する。
• 17.5 後発開発途上国のための投資促進枠組みを導入及び実施する。
技術【軍科協、国地環境、国地総:全般】
• 17.6 科学技術イノベーション(STI)及びこれらへのアクセスに関する南北協力、南南協力及び地域的・国際的な三角協力を向上させる。また、国連レベルをはじめとする既存のメカニズム間の調整改善や、全世界的な技術促進メカニズムなどを通じて、相互に合意した条件において知識共有を進める。
• 17.7 開発途上国に対し、譲許的・特恵的条件などの相互に合意した有利な条件の下で、環境に配慮した技術の開発、移転、普及及び拡散を促進する。
• 17.8 2017年までに、後発開発途上国のための技術バンク及び科学技術イノベーション能力構築メカニズムを完全運用させ、情報通信技術(ICT)をはじめとする実現技術の利用を強化する。
能力構築【国協企、国協総】
• 17.9 すべての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するべく、南北協力、南南協力及び三角協力などを通じて、開発途上国における効果的かつ的をしぼった能力構築の実施に対する国際的な支援を強化する。
貿易【経国貿】
• 17.10 ドーハ・ラウンド(DDA)交渉の結果を含めたWTOの下での普遍的でルールに基づいた、差別的でない、公平な多角的貿易体制を促進する。
• 17.11 開発途上国による輸出を大幅に増加させ、特に2020年までに世界の輸出に占める後発開発途上国のシェアを倍増させる。
• 17.12 後発開発途上国からの輸入に対する特恵的な原産地規則が透明で簡略的かつ市場アクセスの円滑化に寄与するものとなるようにすることを含む世界貿易機関(WTO)の決定に矛盾しない形で、すべての後発開発途上国に対し、永続的な無税・無枠の市場アクセスを適時実施する。
体制面【国地総】
政策・制度的整合性
• 17.13 政策協調や政策の首尾一貫性などを通じて、世界的なマクロ経済の安定を促進する。
• 17.14 持続可能な開発のための政策の一貫性を強化する。
• 17.15 貧困撲滅と持続可能な開発のための政策の確立・実施にあたっては、各国の政策空間及びリーダーシップを尊重する。
マルチステークホルダー・パートナーシップ
• 17.16 すべての国々、特に開発途上国での持続可能な開発目標の達成を支援すべく、知識、専門的知見、技術及び資金源を動員、共有するマルチステークホルダー・パートナーシップによって補完しつつ、持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップを強化する。
• 17.17 さまざまなパートナーシップの経験や資源戦略を基にした、効果的な公的、官民、市民社会のパートナーシップを奨励・推進する。
• データ、モニタリング、説明責任
• 17.18 2020年までに、後発開発途上国及び小島嶼開発途上国を含む開発途上国に対する能力構築支援を強化し、所得、性別、年齢、人種、民族、居住資格、障害、地理的位置及びその他各国事情に関連する特性別の質が高く、タイムリーかつ信頼性のある非集計型データの入手可能性を向上させる。
• 17.19 2030年までに、持続可能な開発の進捗状況を測るGDP以外の尺度を開発する既存の取組を更に前進させ、開発途上国における統計に関する能力構築を支援する。

 例えば、ターゲット17.9「全ての持続可能な開発目標を実施するための国家計画を支援するべく、南北協力、南南協力及び三角協力などを通じて、開発途上国における効果的かつ的をしぼった能力構築の実施に対する国際的な支援を強化する。」で企業のアクションを考えた場合、マルチステークホルダー型の官民パートナーシップを構築するために政府と民間セクターとの対話に参加し、技術や専門的知見を共有するためのプラットフォームを設立したり、参加するという方法が考えられます。

 SDGsの1~16の各目標が特定の課題を取り上げているゴールであることに対して、目標17は特定の開発課題を取り上げるのではなく、目標1から 16 までを達成するための『実施手段の強化』と『パートナーシップの活性化』に向けた目標を掲げています。このため、19 ものターゲットが設定されています

 「パートナーシップ」すなわち「協働」は昔からある言葉です。今この「パートナーシップ」が再び注目されています。それは、「社会の問題がグローバル化・複雑化しており、個々の問題に個別に対応していてはその解決が難しい」からです。
 例えば、途上国の児童労働、現地生産活動による汚染水の問題のを解決する場合、単に児童労働や汚染水を輩出している企業に対して禁止する法制度を整備するというだけでは根本的な解決にならず(そのような国内法がない国へ移転する等の回避策)、消費者の意識の変化を促す(エシカルな消費を行う文化の形成など)が必要です。また、それが単なる倫理観だけでなく、経済的、環境的にも合理性がある活動でない限り結果的には続きません。つまり、社会問題は“複合的な社会問題システム”から生じているのであって、システム、いいかえれば“仕組み”で解決していく必要があります。こうしたことから、SDGsでは「新しいパートナーシップ」、すなわち「多様なステークホルダーと手を組むこと」が求められています。

 自社にないリソースを行政や研究機関、地域のNPO等と取り組むことにより、社会課題の解決と新たなビジネス機会が繋がるイノベーションが創出される可能性も高くなります。今後は一社で解決するのではなく、多様なパートナーシップにどのように取り組んでいくのかが企業戦略上重要になります

最後に、2018年12月24日時点の国連本部のウェブページ(About the Sustainable Development Goals)に掲載されている17の目標ごとの「事実と数字(Facts and Figures)」のうち、ゴール17に関するものを挙げます。一見、自分自身に直接関係ないようなことであっても、新たな気づきやビジネスの機会になることがありますのでぜひ押さえておいていただきたい数値です。

• 2014年の政府開発援助(ODA)総額は1,352億ドルと、過去最高の水準を記録しました。
• 先進国は、開発途上国からの輸入品の79%に関税をかけていません。
• 開発途上国の債務負担は、輸出収入の3%程度で安定しています。
• アフリカのインターネット利用者は、過去4年間でほぼ2倍に増えました。
• 世界の若者の30%は、オンライン歴5年以上の「デジタル・ネイティブ」です。
• しかし、40億人以上がインターネットを利用できておらず、しかもその90%は開発途上地域に暮らしています。

 事業規模や企業か個人かによってできることも異なりますが、SDGsの各ゴールやターゲット、現状の数値を知って、そこから具体的なアクションを考えることがSDGsのゴールを達成する上で重要な活動の一つになります。

 みなさんもぜひ自分のできるアクションを考えてみましょう。

資料:
UNDP SDGs
http://www.jp.undp.org/content/tokyo/ja/home/sustainable-development-goals.html
国連広報センター SDGs を17の目標ごとにわかりやすく紹介したチラシ、SDGs シリーズ「なぜ大切か」
http://www.unic.or.jp/news_press/info/24453/
国連広報センター 持続可能な開発目標(SDGs)ー 事実と数字
http://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/31591/


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