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真竹だけに。猛々しい。

 梅雨が明ければ真竹だ。真竹の筍が本気を出してくる。

 真竹は涼しい見た目に似合わず生まれたての頃は意外と狂暴で、節や皮に細かな棘を生やしており、触ると痛い。しかし棘にひるんでいては、彼らの縦横無尽の浸食を止める術がない。戦え、勇気をもって。
 というかふざけたことを言っていないで、軍手をすればいいだけなのだが、めんどくさくてつい軽装で作業をしてしまう。軍手は嵌めるが正しい日本語だろうか? しらんけど。

 このシリーズでタケノコ終わる終わる詐欺をしているが、実は私とタケノコの争いは終焉の兆しすらないのだった。食用のタケノコ、淡竹のタケノコは確かに終わりかもしれない。しかし庭にはまだ笹とか真竹とかが残っている、、、、何ということだろうか。最近畑をしようと耕している裏の敷地にまで真竹の地下茎が進出していた。土を耕すのに思いっきり邪魔。せっせと根っこを引っこ抜いたところで、すぐにまた伸びてくる。悪魔か? 私が全身汗と泥にまみれ巨大な穴を掘り、格闘したところで、竹は涼しげに茂っている。

 っていうかなんで家の敷地の中に真竹を? 植えたんですかお義母さん。と今は亡き義母に詰め寄りたくなる。答えは簡単である。茶の湯に便利だったから。お義母さんの趣味はお茶であった。家の中に用途不明の茶道具が多く眠っており、人の生活する場を圧迫していて、苦しい。

 近所にパンダを飼っているご家庭があれば、ぜひ笹を献上したい、というほど藪に覆われた我が家であるが、パンダはワシントン条例? とかで輸出が禁止されており、日本にいるパンダは主に中国政府からレンタルされたものなのだった。だからパンダを飼っている個人宅などこのご近所にはあるはずもなかった。竹は縦横無尽に根を張り、増えるのみである。かれらに敵はない。淡竹など可愛いもので、食することも可能だが真竹は違う。なんか苦い。灰汁も強い。棘と言い背丈と言い、戦闘力が高い。
 もう夫すら把握していないことだから確かめようがないのだけど、この真竹、勝手に他所から根を伸ばして生えてきた、野良竹の疑いがあった。夫は「母が植えたと思う」と供述しているけれども、植えた時期を考えるとあまりに繁殖が弱く、近年どこかから持ち込まれたとしか考えようがなかった。真竹、お前いったいどこからやってきたのだ。悪いことは言わない、今すぐ荷物をまとめて元居た場所に帰ってくれ……。

 

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