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ライディング・ホッパー

「おっさきー!」
「遅え!欠伸が出るぜ!」

アカネとトウヤの声を無視し、地盤沈下で荒れ果てた道路を疾走する。二人の飛行型、多脚型に比べると二脚型はこの道で不利だ。だが、想定内。

超高層建築が見えてくる。余りに高すぎるため壁沿いを迂回するか、内部を押し進むのが定番だ。構わず直進する。大丈夫だ、きっとやれる。自分に言い聞かせる。

壁まで100メートル。ホップ。
エアロと爪先のスプリングが展開する。

70メートル。ステップ。
大腿部が180°回転し逆関節に変形する。

着地。バネ仕掛けのように身を屈める。
人工筋肉がギリギリと音を立てて伸張する。

ジャンプ。
凄まじいGと空気を裂く衝撃。景色が色付きの風のように流れる。

大崩壊後の世界。インフラ対策に開発された駆動脚(ライディングギア)は瞬く間に普及し、若者の間では駆動脚を駆り、廃都市を巡る競技レースが大流行していた。

世界が流転する。都市がミニチュアのように眼下に広がる。


【続く】

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