ご褒美メロン

GWが終わり、長かった一週間。
どうにか過ごしたという人も多かったと思う。
皆さんはいかがお過ごしだろうか。
わたしはGW、noteにも呟きとしてちょこっと載せていたけれども表参道にある根津美術館で開催されている燕子花図屏風展を見に行ったり、海の方へ出かけたり、地元で親友とご飯を食べつつ映画館でライブビューイングを観たりしていた。
前半こそ自宅で家事ばかりしていたが、後半は4連休中の3日は外出していたことになり、まずまず充実したGWとなった。ずっとお天気も良かったしね。
ここで思い出すのは去年の今頃である。
何度か書いているが、私は一昨年の晩秋から昨年にかけて心身が人生史上最悪の状況にあり、一睡も出来ない不眠から始まり、何とかしようとしてまた別の不調を引き寄せ、具体的には異常な肩凝り、倦怠感等、まあありとあらゆる自律神経関連の不調でとにかく絶不調だった。私は症状が出てから桜がすっかり散る頃までただただ引きこもり苦痛の波が過ぎるのを待っていた。
しかしいつしか街中の木々が一斉に芽吹き、空に向かって高くその枝を伸ばすのをぼんやり眺めた時、ふとこのままではいけないと漠然と思った。体調が万全になっていた訳ではない。一日単位で変動する心身の具合にすっかり疲弊し、プライベートで外出することが出来ずにいたが、生命力に溢れる緑を見て触発されたのだろうか。私は体調を多少押しても積極的に外に出ようと決めたのである。
そうして程なくして訪れたGW、まず私はTwitterのフォロワーさんに会いにあるイベントへと足を向ける。症状が出て以来仕事と病院以外で出掛けることがなかったので、暫くぶりに乗った京葉線にもソワソワしたことを覚えている。平日、部屋を出る時、無事にまたここに戻って来れるようにと祈るような気持ちで毎朝出勤していたから正直今日も一日無事に帰って来れるか不安だった。
フォロワーさんと落ち合って暫くお話をし、会場を少し散策した時、散々心配していた肩の痛みは然程感じず、ほっとした。そうして帰りの電車まで悪化することはなく、自分がこうやってまた休日を楽しめたことがとても嬉しく自信になった。
調子に乗った(?)私はGWの最終日、久々にご飯でも食べようと地元の親友に連絡を取った。二人で遊ぶときは地元のショッピングセンターで一日潰すのが定番なのだが、彼女と会うのも久しぶりだった。ご飯を食べる事以外何も決めていなかったが、映画を観ることにして、上映時間まで余裕があったのでスタバに入った。そこで目にしたのは新作のメロンフラペチーノ。考えて見るとこうしたデザート的なものも食べてなかったなと思い、オーダーする。爽やかな黄緑の色合いにホイップクリームが山盛り載っていかにも初夏と言う感じだ。ストローから一口飲んで、思わず、「美味しい」と目の前の親友に向かって口を開いた。思ったよりずっとメロンの風味は強い。もっと安っぽく薄いのをイメージしていたので嬉しい誤算だった。そして何より心から「美味しい」と感じられた自分が嬉しかった。何を食べてもずっと砂を噛んでいるようだったから。
その記憶が一年前。
スタバは今年もメロンフラペチーノを販売すると聞いた。
絶対飲まなくてはならない。これはもう絶対だ。奇しくも去年と同じ日に同じ相手と同じ場所で同じような予定がある。その日に飲もう。
今年のメロンフラペチーノは更にパワーアップし果肉が多めに入れられている。
その名もご褒美メロン。
親友を前に私はストローに口を付ける。あの日と同じように。
甘くて冷たい希望みたいなものが喉を潤していく。
灼熱の地獄の底から這い出して、漸く飲んだ清水のように私の中に拡がっていったあの味。
ご褒美メロン。
あれから一年、頑張った私にことさら甘く染みた。

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