見出し画像

■オーバーツーリズムは局所的事象と云えるのか?! ■NHK日曜討論「オーバーツーリズムの解消を考える」を視聴して

まえがき
まずのっけから書かせて頂くが、NHKはパネラー、スピーカーの選択に注意を注がなければならなかろう。番組中盤からはスピーカーそれぞれのワークフィールド即ち"お座敷"への阿り(おもねり)感が走った格好となり、わたしのような人間には如何にも聞きにくいものと映ってしまったことは否めず、NHK出演を通じてそれぞれのお座敷への日頃のお礼をしておられるように見えて、聞こえてしまったのでした。まぁ分らなくは無いのですがね。"紐つき感"が立つからやめておかれよ。

飛鳥世一

以下本節

https://www.nhk.jp/p/touron/ts/GG149Z2M64/episode/te/LP752ZMNMY/

この中でまともにインバウンド(訪日旅客市場)における、オーバーツーリズムに関し話すことが出来た人材はルース・マリー・ジャーマン氏、矢ケ崎 紀子氏の二人だけ~なのだが、一言付け加えると、それぞれも理屈による定義づけは学術系、コンサル系の人間らしくお得意としておられる様子が覗えるものの、肌感覚としてオーバーツーリズムを国民に分かりやすく伝える力としてはクエスチョンマークとなった。むしろパネリストの全員が全員「オーバーツーリズム」というパワーワード、ネガティブワードについて距離を取ることを選択していたように感じられたのだが、ここは敢えて理性が働いたところとして眺め観ることが出来るであり、嫌いなところではない。
 エッセイストの「たかのてるこ氏」については残念だが、視点が如何にも狭く浅く、インバウンドという一つのセグメントされた"商圏"の属性であるところの"Tourism"というものを理解していないことがヒシヒシと感じられた。まぁ、専門家ではないがゆえ旅人目線ということから申し上げればあの中の存在感はさながら"緩衝材"という所に落ち着くのだろう。

さて、問題なのが東洋大学 国際観光学部国際観光学科教授 古屋秀樹氏である。この御仁は問題だ。このようなタイプの教育者、研究者がいるからオーバーツーリズムの本質が見えてこないのである。
『気をつけなければならないのは、オーバーツーリズムは日本の観光全体で起きていることではなく、局所的に集中して起こっているということなのです』とやりやがった。なんと矮小化したモノの見方であり想像力の欠片も感じられない物の見方なのだろうか。そもそも「市民生活への弊害」「ツーリストへの不利益」「地域社会に及ぼす影響」について考えてこなかった結果が「局所的オーバーツーリズム」に至った根幹である。
即ち、言葉を変えるのであれば、今のところ他人事として見ていられる自治体や市民県民国民にとっても、明日は我が身となる危険性を孕んでいることを見落とすべきではなく、その日本の"局所"で起きているオーバーツーリズムの状況を精査、ブラッシュアップの上、各自治体下において想起される不利益を明確にしたうえ集客コンテンツの造成に結び付けなければならないのが本質であり。国民の利益によるところ大なのである。

医者は「予防のための"治療"はしない」そうである。
制度者は「予防」を考えることも仕事の一つである。
これへの取り組みが疎かになるから制度がパッチワーク化する。

ともすると、いや今日の日曜討論でもインバウンドからの利益を上げることに話は及んでいたが、国内……大阪でもインバウンドからの観光税のようなものの導入が検討されているようなのだが、行政サービスの一環として『サービスと対価』という考え方にするのか、『やらずボッタくり』の存在にするのかというところが置き去りのように感じられた。

書いている人間がいるかいないか知らぬことだが、ここの筆者にするのであれば北海道のニセコ町に観られる昨今の事象も「オーバーツーリズム」ということであり、その弊害や呷りは自国民の観光であり旅が楽しみにくくなっているという本末転倒が顕在化していると申し上げることが出来るだろう。

                 ■

何度も書いてきたことだが、日本の場合、制度構築に舵をきると入り口には金をかけるのだが出口には金をかけない傾向が顕著となる。
例えば、小職が行政の仕事を受託してきた中でも見られたことだが、集客取り組みのためには行政はお金を出す。しかし、結果の検証とブラッシュアップ、効果測定とその後の取り組みの方向性策定にお金を出すことは無かった。どちらかという「派手さ」「見た目」「やってる感」などが感じられることを有難がる傾向が続いてきたのが観光行政の取り組みにも云えることである。

なぜ、外国人ゲストが日本に行きたがるのか。
なぜ世界のツーリストの中で最も日本が行きたい国として選ばれるのか。
なぜ人は旅をしたがるのか。
その中で日本がこれからも行きたい国ナンバーワンであり続けるためには、オーバーツーリズムという言葉を使わずに_________ゲストの耳に入れずに済む知恵と取り組みに汗しなければならないだろう。

文責 飛鳥世一
尚本稿は本宅にもアップ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?