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今も繋がるあなたとの糸

私にはかれこれ十数年、年賀状だけのやり取りを続けている友人がいます。

私が彼女と出会ったのは高校生の頃。同じクラスになったことで意気投合し、在学中は常に行動を共にするほど仲が良かった私たち。

時には衝突する事もあったけれど、それも一種のじゃれあいみたいなもので。親にすら話せないようなことも相談できる、ある意味家族よりも近い距離にいた彼女。

あの頃の私にとって彼女は掛け替えのない、唯一無二の存在でした。

そんな彼女と道を違えたのは高校卒業時。私は地元の専門学校、彼女は県外の大学へ進学が決まり。それをきっかけに、卒業後は連絡を取り合うこともほとんどなくなりました。

唯一連絡を取ったのは、成人式の前日。彼女から入った一本のメール。内容は「翌日の成人式のために、地元に戻ってきてる。」というものでした。

「明日、会えるといいね。」

そんな当たり障りのない返信をした翌日。結局、彼女と会うことはできませんでした。

スーツと色とりどりの振り袖でごった返す、人の波。みんなが旧友との再会に顔を綻ばせる中、それをどこか遠くの出来事のように見つめる私。

この波のどこかに、彼女もいるんだな。

そう思うと、何とも言えない不思議な気持ちになったのを覚えています。この気持ちは一体何なんだろう?

彼女に会いたくないと言えば、嘘になる。けれど。彼女に会いたいと言っても、嘘になる。

会いたいわけでもなければ、会いたくないわけでもない。相反する二つの気持ちが同時に存在する、なんとも奇妙な感覚。こんな気持ちになったのは、後にも先にもこの時だけでした。

それからさらに月日を経た現在。彼女とは一切連絡を取っていません。

一応スマホの中にはガラケーから引き継いだ彼女の連絡先が残ってはいますが、使ったことはありません。もしかしたら、もう連絡先が変わっている可能性だってあります。

それでも。今でも彼女と繋がるものが、一つだけ残っています。それが、新年に送る年賀状。これは高校時代から今なお続く、彼女との約束の賜物でもあります。

「歳をとっておばあちゃんになっても、年賀状だけはやり取りしよう。そうすれば、お互い一人じゃないって思えるはずだから。」

あれから何度もやり取りした、彼女との年賀状。その片隅には毎年必ず、彼女からの手書きのメッセージが添えられています。

歳を重ねるごとに変わる、彼女の文字。でも、そこに込められた想いは何も変わっていません。いつも優しく暖かく。私の心に寄り添ってくれる、彼女の文字。

私は今までこの文字に、どれだけ救われてきただろう。そして私は彼女にもらったものを、どれだけ返せているのだろう。

今年も、残すところあと僅か。

来年の年明けは、あなたからどんな言葉が届くのだろう。そして私は、来年のあなたへ。どんな言葉を贈ろうか。

一年に一度きりの、あなたへ送る大切な言葉。残りの日数ギリギリまで悩んで、あなたを想って文字を綴るから。どうか楽しみにしていてね。


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