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【小説作品】君と僕と樽と夏 #夏の香りに思いを馳せて

東の窓から朝日が射す。
時計に目をやる。朝6時。
まだ寝ても問題ない時間だ。おやすみ。

「おはよー!」
黄色のメッシュが入ったピンクの髪のウィッグをつけた君が文字通り飛んできた。結婚3年目。今日も君は元気だ。
ちなみに僕は体中がものすごく痛い。

このピンク頭は最近話題の遊園地、東京あずたんランドのキャラクター東海あずたんのものだ。遊園地のキャラクターとしては珍しい8頭身の人間のキャラクター。君のお気に入りのキャラクター。
「樽祭りの日だよ!出かけるよ!はやくー!!」
東京あずたんランド=TAL=樽の夏祭り「樽祭り」。楽しそうなイベントだけど混むし暑いし行きたくない。
「私たち11番目だよ。急がなきゃ。」
何か予約してるの?

神奈川県にある東京あずたんランドに向かう。神奈川県にある東海あずたんがいる東京あずたんランド。どの辺からツッコんだらいいかわからないが、とりあえず神奈川県に電車で向かう。

君が言う。
「楽しみだね。」
僕が言う。
「楽しみだね。」
君が言う。
「緊張するね。」
僕が言う。
「なんで?」
君が言う。
「大勢の人の前で歌うなんて初めてだから。」
ん? なんて言った?
飲み込めずにいる僕を尻目に君が言う。
「楽しみだね。」

要約するとこうだ。
樽祭りのメインステージで、カップルで歌うコーナーにエントリーしている。音楽はあるが歌詞がないのでオリジナルの歌詞で歌う。ちなみに、曲名すら明かされていないし曲も開始1時間前まで公開されないぶっつけ本番という高難度の歌イベントらしい。
君が言う。
「私たちならできるよね。」
冷静に考えたら無茶すぎるイベントだが、身に覚えがある。詳しくはこちらを読んでほしい。

遊園地のゲートをくぐると、樽祭りの案内が目に飛び込んでくる。自分たちの名前を見つけた。まじか。
大きな数字が並ぶアトラクションの待ち時間の案内ボード。現在の入園者数は21, 943人と表示されている。
気になってスマホでTALについて調べる。この時期の入園者数は通常8,000人程度らしい。つまり14,000人ぐらいは樽祭り目当てということになる。まじか。

そうこうしているうちにステージが始まる。
ステージの前には無数の人が見える。
前の10組が歌う間に歌詞を考えなくては。
聴いた感じでは57577のメロディの塊が8つあるから、交互に歌う感じかな。何を歌うか急いで考えないと。
しかし、スピーカーを通した大きな歌声が思考を遮る。

僕は恐る恐る君に言う。
「音もあるし、この場でちょっと歌詞考えるの難しいよね。」
君は頭にクエスチョンマークを浮かべながら言う。
「考えながら歌えば良くない? ラップバトルだってそういう感じだよね?」
残念ながら僕はラッパーじゃない。
ドッキリ大好き夏の神様。意外とおいしいマスのカニカマ。
もう許してよ。頭の中は真っ白。

音楽が流れるYouTube動画です。
再生ボタンを押して音を流してから先に読み進めてください。
「」が君のパート、『』が僕のパートです。
『何度目の夏をふたりで迎えても心の熱は今も冷めない』
「何気ない時に笑顔がこぼれるよ 君が隣にいる それだけで」

『恋してる気持ちはまるで波のよう 寄せては返す 君が好きだよ』

「愛してる 出会いの日から強くなる 照りつく太陽 真夏の二人」
『太陽も嫉妬するほど恋心 触れ合うだけで二人を焦がす』

「キラキラの天の川までジャンプしてキスをするたびまた赤くなる」

『照りつける夏の太陽熱いのは僕らの恋に嫉妬している』
「太陽も嫉妬するほど恋心 触れ合うたびに二人を焦がす」

ステージに集まった1万人の前で僕は君にキスをした。
いつも君に振り回されてばかりの僕の大胆な行動に言葉を失い赤くなる君。
すごくかわいい。

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こちらの企画に参加しました。

小説は初心者ですが、挑戦してみました。
新たに物語を考えるのは楽しいですがやはり難しいです。
ということで、過去作品の登場人物「君」と「僕」に登場してもらいました。
二人が登場する小説はこちらです。

・初登場

・2回目

音楽は新たに作るのは大変なので、この夏の企画で使用した曲を流用しています。
企画のまとめはこちら。

また、私が勝手に生み出したキャラクター、東海あずたんも小説に登場したいと言っていたので参加させてみました。

踊れます。

完全に自己満足小説ですが、楽しく書かせていただきました。

伝え合いましょう。気持ち。