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午後のチャイ

夕暮れの時にあなたはなにしてるのかな?

私はお茶を飲みながらぼーっとして
沈んでいく太陽を見て
ゆっくりしてるのかな

お茶は時間を止めて
全てを忘れゆっくりさせてくれる

特別の魔法がある


そんな魔法を体験したある日
のことだった

午後の4時にちょっとさびれた
カフェが目に入る

ドリップコーヒーの雨降りのような音
とマスターがかけてる民族的な音楽

何より目立つのがそのマスターの肩
に座ってる小さなお猿さん


とりあえず座っていつもの頼もう

とブルーベリーマフィンと珈琲を注文

それで出てきたのが珈琲ではなく
一度も味わったことのない

マスターのおすすめなチャイティー

珈琲に変えようと思ったら
チャイティーの甘くてハーバルな香り
が鼻に入る


独特なのになぜかはまってしまう
ちょっとだけ異国感のある
そんな風味だった

ブルーベリーマフィンと堪能しよう
とチャイティーの後味残したまま
食べるとふわーっとなんとも言えない

甘酸っぱい果物の味とすぐにでも
崩れそうなマフィンの生地が

まるで一つのデザートとなり
違和感抱いてた民族曲が

しっくり来るようになる


チャイティーとマフィンを
継続的に食べたら

なぜか手が止まり
目をつぶり

ゆっくりと残りの
午後のチャイとマフィンが
喉に入ってた

ご馳走さまと思ったそのとき

目を開いて
地球の向こう側にある

モロッコのようなところにいた

なくなってると思ってたチャイティーも
1カップ分増えていた

どうしようもできることなく
席から立ち、訳も分からない理由で

午後のチャイが空中で横を並んで
一緒に動き始めた


見回るとマスターもいなく
なのにあの不思議な猿が座りながら
ニヤリとこっちを見ていた

とりあえず進もうと思い猿から目をそらし
チャイとともに見たこともない街を
探索することにした

店員さんが人間でもなく
動物でもなく

生きたフォークやスプーンたちが
話しかけて来るのだ

私たちと仲良くすると
チャイとこんなものが付いて来るよ

と前食べたマフィンやクッキーの
形した果物たちなど

お供達がずらりと並んでいた


一瞬立ち止まって先に進むことに

その次に見たのが青い肌とお茶の葉っぱが
髪の毛となっていた不思議な人物だった

良い予感はせず逃げて行こうとすると

ちょっと待ってそこのあなた。
味わって見ないか新しい世界を。

とよく見るとそこにあったのはいろんな色の
空気。まさか空気が形取れるとはと
唖然としている。

一口緑の空気を飲み込むと頭が軽くなり
またどこかへ行っちゃいそうな感覚。


吐き出すと正常に戻り、肌には数々の
葉っぱが咲いていた。

さーどんどん吸って見て。目にしたこともない他では体験できないようなことが起こるよ。

一瞬誘惑されそうになる時

午後のチャイからいきなり声が出る

ね、ね、あそこ。右の売店に行こうよ。

と何も分からないのに誘導してくる


たどり着いた場所が

物を売る場所でもなく

ただ立ってて話しかけたのが

この異世界で目が目覚めた時の
猿だった

おーまた会いますね。さていかがいかが

そう言われても物が視界に入ることもなく
どんなことがさっぱり分からない

鼻を使ってごらん。物だけが売り物ではないさ

従い、鼻を膨らみ広げたりすると
数え切れないくらい匂ったこともない
風味が入る


それぞれに効果がありレアものだと念じると
叶うものもあるらしくそんなものばかりだった

もしかしたら午後のチャイもここと
関連してるのかと問いかけると

チャイは猿のそばに行くのだ

ここで終わるよあなたの旅は。戻るべき場所
連れてきてくれてありがとう。

と感謝をされ、下を見ると足が
空中で浮いている。

状況を把握する前にどんどん後ろに下がり

猿がまたニヤっと笑う

それを最後にまた目を閉じて
また同じ席に座ってる

見るとマスターは眠りに入り
お猿さんはどこにもいない

いっぱいだった午後のチャイは
後味だけあってまた空っぽとなっていた

店を歩きなまわり手がかり探すと
チャイティーが入ってた袋があった

その模様はお猿さんの服と一緒で
中を見ると一枚紙がある

読み上げると

そこのあなた。要注意。これを飲むと
やんちゃなチャイは味覚を利用し
故郷へ連れて行く。ただし戻るべき場所に
連れて行かないとあなたの戻るべき場所も一瞬してなくなる。

それを目にして身体中がぞーっとする。
味覚の世界は刺激が強くさまようであろう

幸い戻ってこれたのはよきとも
午後のチャイの刺激と魅力につられて

あなたが元の場所に戻る保証なんてない。


午後のチャイでした。

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