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3Dアート、コンセプトアート、シナリオ制作など。 ゲームやアニメや漫画の3Dにかかわる…

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3Dアート、コンセプトアート、シナリオ制作など。 ゲームやアニメや漫画の3Dにかかわる会社です。

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  • 爆発侍

    剣の道一本で生きてきた浪人が、ある日助けた女が九尾の狐だった。 九尾の狐は奪われてしまった尾を奪還するため、最後に残った尾を一振りの刀に変え、浪人に託す。 現れ来るは悪漢、剣客、魑魅魍魎、浪人はいかにして立ち向かうのか。 作家、稲妻號の描く、時代小説の新境地。 毎週金曜日の更新を予定しています。 お楽しみください。

  • 宇宙開発ニュース

    宇宙開発の現状を紹介するマガジンです。 この1年くらいのスペースX、ユナイテッド・ロンチ・アライアンス、ブルー・オリジン、アストロボッテック、ハニービー・ロボティクスなど先端企業の動きや、開発トピックをピックアップしています。 株式会社AZULBLUEは現在のところ宇宙開発には関係ありませんが、今後も続けていく予定です。

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爆発侍 尾之壱・爆発刀 壱

 序章 峰九里稲荷の怪異 壱武蔵国、鳩峰藩の領内にある峰久里稲荷は、その名の通り峰久里山の山頂にあり、古くから土地の民草に奉られ、親しまれてきた古社である。  この稲荷神社は、麓から境内まで延びる合計千八百五段の石段が有名であるが、この九十九折りに続く長い石段を毎朝駆け上がる事を日々の稽古始めとしている男がいた。  男の名は、龍堂右門という。  元は下総国、上条寺藩の藩士として江戸屋敷に勤めていたのだが、訳あって四年前からこの地に移り住んでおり、今は麓にある峰久里村に居を構え

    • 爆発侍 尾之壱・爆発刀 五三

      「お前がどうして人間の姿をして剣の腕を磨いているのかは解らないが、少なくともその業前は、俺が見ても本当に見事なものだ。ならばこそ、このまま一人の人間として、剣客として、このまま生きていく事は――」 「笑止」  右門の言葉を、宮部が遮る。 「なにを勘違いしているのかは知らぬが、そも我が人の姿をし、剣の道を歩むのは、偏にその業前をもってお前達人間に思い知らせるが為。そして、あの女狐の尾を奪い、我がものとするのも、同じ理由だ」  宮部の言葉に、右門ははっとする。 「……ま

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      • 爆発侍 尾之壱・爆発刀 五二

        全くその通りであった。  宮部伊三郎という一廉の剣客と剣を合わせる事によって、右門も言葉に尽くせぬ様々な学びを得られたと思った。 「では、私はこれで。後ほどまた智惠様を交え、お話しいたしましょう」 「それは……願ってもない事」  堤は宮部に会釈すると、右門の肩を叩き、歩み去って行った。  堤の姿が十分に離れた所で、宮部は右門に向かって改めて口を開いた。 「龍堂右門……お前、あの女狐にどのような借りがあるのだ」 「なんだと」  予期せぬ問いに、右門は思わず宮部の

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        • 爆発侍 尾之壱・爆発刀 五一

          無表情ではあるものの、その声色に賞賛の意が感じられ、右門は無意識に姿勢を正す。 それは、卓越した業前を持った一人の剣客に対しての、自然な礼儀だった。 「……正直な話、あの夜に一度対したから、なんとか対応できただけだ」  右門が大きく息を吐き、答えた。 「それから……峰九里稲荷での一件も、役に立っているかも知れないな」 「なるほど」  それまで無表情だった宮部の顔が歪む。どうやら笑っているらしい。 「確かに、我の手の内を知ったが故の勝利かもしれん……だが、それにして

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        爆発侍 尾之壱・爆発刀 壱

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          爆発侍 尾之壱・爆発刀 五十

           ならばその軌道を避け、小刀で胴を打つ。  いや、間に合わぬ。  ならば小刀で受け、大刀で返せば――  その瞬間、露天風呂で自らの刀を折った右門の打ち込みが、電光のように宮部の脳裏に浮かぶ。  いや、右だけでは受けきれぬ。  瞬き程の間にそう結論づけ、宮部は左の太刀を振り下ろす。そして、それに乗せるように、右の小刀を交差させ、右門の繰り出すであろう斬り上げの軌道に落とし込んだ。  果たして、右門の木剣が唸りを上げて跳ね上がった。  向かって左下方から右上方へと跳

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          爆発侍 尾之壱・爆発刀 五十

          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四九

          だが、右門の意を読めずざわつく観衆の中で只一人、堤節治だけが、満面の笑みを浮かべ、右門を見やった。 「右門め。く、あれを出す踏ん切りをつけたか」 「先生……あれを出す、とは?」  堤のつぶやきが耳に入ったのか、傍らにいた慈外流の門人が小声で問う。  堤は右門から目を離す事無く、笑顔のままそれに答えた。 「良いか、これより後は瞬きすら惜しめ。お前はこれから、慈外流の真髄の一つを見る事になるぞ」  切っ先が下ろされたその構えを前に、宮部は僅かに眼を細める。  

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          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四九

          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四八

           その事実を、宮部も感じているのだろう。右門の剣を迎え撃つその動きが、当初の勢いを減じ、僅かながらも慎重さが含まれてきているのである。  勝てぬ相手では無い。  破れぬ剣では無い。  だが、今の攻めでは危うい。  この男には、生半可な小手先は通じぬ。今まで自らが鍛え、積み上げてきた到達点、己の最高の力を持って当たらねばならぬ。  自分の持つ最も強力な一撃で捻じ伏せるしかない。 「あの技」で、目の前の敵を――  ふと、右門の脳裏に、四年前のあの情景が思い浮かんだ。

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          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四八

          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四七

           おこんは怪妖の身、それも太古から人の世に災いの限りを振りまいてきた九尾狐である。 自らの前に立ち塞がる人間を殺さないで済ます事自体、そもそも有り得ないほど「慈悲に溢れる行為」なのである。  全く、面倒な事この上ないが、考えても仕方が無い。他でもない、右門と約束をした以上、そうするしか無い。  それも全て、自らの望みを果たす為。  その為にも、右門の不興を買う事は絶対に避けねばならない事なのである。  そうよ、これも右門様のため、と、自分の中でそう理屈づけ、納得して

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          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四七

          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四六

          右門は木剣を僅かに上げ、伸び迫る小刀に当てた。  その勢いで、木剣の軌道が右へとずれる。  右門はそのまま木剣を右に捻ると、相手の勢いを利用して胴打ちを狙った。  中庭に、甲高い乾いた音が鳴り響く。  右門が胴を狙った一撃は、宮部の左手に握られた木剣によって受け止められていた。  次の瞬間、右門の右下から剣圧が上がってくる。  右門は必死に身体を捻り、その勢いで左へと飛び退く。  一瞬前まで右門がいた場所を、宮部の小刀が弧を描いて跳ね上がった。  間髪入れず、

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          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四六

          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四五

           二天流において構えとは、平常時非常時に関わらず、「何時如何なる局面においても」敵に応じる身構え、心構えを言う。  敵を斬る為に「その時最も良い位置」に剣を置く事こそが、二天流の「構え」であった。  一見、だらりと両手を下ろし、ただ立っているだけに見える宮部のこの姿も、二天流においては立派な構えなのである。  右手に小刀、左手に大刀という変形二刀流は二天流で言う所の「逆二刀」であるが、その所作に関しては、今のところ右門の知る二天流の基本に忠実にあるように見える。 どう

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          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四五

          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四四

           この辺りは、勘定方を含め藩内の庶務を行う為の各部屋が集中しており、女人が足を踏み入れるような事はまず有り得ない。  いずれかの妻女が、夫になにかしらの用向きがあって……ならば、火急の用件かも知れぬ。 「そこの方、いかがなされた?」  廊下の向こうの影にそう声をかけ、又右衛門は再び歩みを始めた。  又右衛門の声に反応し、人影がこちらにゆっくりと振り向く。  腰まで伸びた艶やかな黒髪が、さらりと揺れた。  待て、髪を結っていない?  家中の妻女で、その様な者は一人

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          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四四

          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四三

          宮部はおもむろに腰から大小を抜き、屋敷の縁先に置くと、そのまま二振りの木剣を手に、ゆっくりと中庭中央へ歩を進める。  どうやら、余計な前事抜きで試合は始まるようだ。右門も木剣を手に、ゆっくりと中庭の中央へと歩を進めた。  二人の移動に促されるように、庭内にいた者達が隅に移動し、中庭の中心に試合場が形作られる。  上座となる屋敷側には、智惠と堤。そのそばに慈外流の門弟が並んだ。  中庭中央、三間(約6m)程の間合いで二人は対峙する。 「一本勝負。どちらかが参るか、私が止

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          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四三

          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四二

          堤の言葉で、稽古に参加していた一同が礼をする。普段ならばここで銘々解散し、隅にある井戸の水で汗を拭った後にそれぞれの役目に戻るのだが、今日は一同がその場に残っている。それは、堤の言葉を待っていたように、藩主である智惠道徳が姿を現したからであった。  緊張し、居住まいを正して頭を下げる一同に応えながら、智惠は堤と右門のもとへと歩み寄る。  他の家臣同様に頭を下げる二人に、堤も返礼する。 「堤殿、役目が取り込んだ故、今日の稽古に参加出来ず申し訳ない」 「お役目が大事でござ

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          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四二

          スペースX、2回目のスターシップ打ち上げに向けてブースターを試験発射(spacenews翻訳8/25)

          ワシントン - スペースXは、次のスターシップ打ち上げのためのブースターのテスト発射に成功したと発表しました。 スペースXは8月25日東部時間午後1時35分頃、テキサス州ボカチカにあるStarbase試験場で、Booster 9と名付けられたスーパーヘビー・ブースターのラプター・エンジンを静止燃焼試験で発射しました。 スペースX社は、約5〜6秒間の "全時間 "発射を行ったと述べています。 スペースX社はその後、33基のエンジンすべてが点火に成功したと発表しましたが、2基

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          欧州連合(EU)諸国、ASAT実験禁止に参加(spacenews翻訳8/24)

          ワシントン - 宇宙の脅威を減らすための国連の作業部会の最終会合を前に、欧州連合(EU)の加盟国は、EUそのものではありませんが、破壊的な直接攻撃型の対衛星実験を行わないことを約束しました。 国連の「サイバーセキュリティに関する国連オープン・エンド作業部会(OEWG)」が最近発表した文書では、EUの「共同貢献」として、27の加盟国が、大量のデブリを発生させる可能性のあるこのようなASAT実験を行わないことを約束します。 ブレイキング・ディフェンスが最初にこのように文書を報じ

          欧州連合(EU)諸国、ASAT実験禁止に参加(spacenews翻訳8/24)

          爆発侍 尾之壱・爆発刀 四一

          しかし、そこで尻込みしていては士道不覚悟の謗りを受けてしまう。いつまでも尻込みして突っ立っている訳にも行かないので、意を決して右門に打ちかかっても、  容易くいなされ、  恐るべき威力で打ち込まれ、  手にした木剣をはたき落とされ、  唖然とする目先に切っ先が突きつけられる始末である。  もう、こうなっては、 「……参りました」  と言う他は無い。  もっとも、参ったとなれば、右門の全身を覆っていた闘気は嘘のように消え、その顔には温和な笑みが戻り、今の打ち込み

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