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ちゅま、みさき、八十八ヶ所巡礼

みさちゃんから「八十八ヶ所巡礼を呼んだのでぜひ見に来てね」とLINEが来たのは先月頭ぐらいだったと思う。
私とみさちゃんはその日暮らしとTontoに入る前に出会った。
8年ぐらい前に私が「水中ブランコ(現・suichublanco)が八十八ヶ所巡礼を呼んだイベントに行くぞ」というような内容をTwitterで呟いたとき、みさちゃんがそれを見てフォローしてくれた。
そのイベントにお互い行きはしたものの顔を合わせることはなく、数年経ってようやく、その日暮らしのスタッフとTontoのキーボードとしてやっと会えた。
そんなみさちゃんが八十八ヶ所巡礼を自分で呼びましたということで、2つ返事で行くよと返した。

そして7月16日の今日。
昨夜は深酒をして朝日を見ながら眠ったので、随分遅くに目が覚めた。
ボサボサの頭とシパシパの目を掻きながら、ふと「今日はじゅんこさんのおにぎりは楽屋に置かれるのだろうか」と思った。
じゅんこさんとはみさちゃんのお母様で、とても優しく料理上手で、Tontoが出演するイベントの際は2種類くらいのおにぎりをたくさん拵えて持ってきてくれる。
それが格別に美味しくて、食いしん坊が多いその日暮らしは「今日は俺は4個食べた」「私は3個」なんて楽屋で話してることが常だ。
今日はみさちゃんが組んだイベントなのだから、たぶんじゅんこさんのおにぎりが楽屋にこんもり置かれてるはずだ。
そんなことを考えながらお米を炊いて、明太子と梅のおにぎりを作って食べて、家を出る支度をした。

SRに着くとみさちゃんが気付いて駆け寄ってくれて、いつものようにハグをした。
みさちゃんの緊張がハグの隙間から伝わってきて、私も妙に緊張して、少しそっけなくホールに入った。
いざライブが始まると、お客さんたちがわーっと盛り上がって拳を上げながら声を上げていて、それをPA卓の端っこで泣きながら見つめるみさちゃん。
それを見て「今お酒を飲まないでいつ飲むんだ」と思い、ドリンカーでプレモルを注文してぐいっと煽った。

何曲目かのMCで、マーガレット廣井氏がじゅんこさんのおにぎりの話をした。
「俺はあのおにぎりに毒が入っていたとしても、親孝行の名のもとに死ねたら本望だ」
そういってまた演奏が始まったあのとき、会場にいた何人かはあのおにぎりの味を思い出しながら聴いていたことでしょう。
それからのMCは何度もあったけれど、その度に廣井氏はおにぎりの話をした。
すごく分かる。
あのおにぎりは1回食べたら忘れられない。
あのおにぎりの美味しさは、味付けとか調理法もそうなのだろうけど、その他の特別な何かがあるのを食べた全員が感じるものだ。
それをこの人らは私たちと同じように食べ感動し、そのおにぎりを作った人の娘はそれを見て静かに泣いてる。
こんな素晴らしいことがあるかね、そう思いながら私も泣いた。

今日ライブに行った理由は八十八ヶ所巡礼が好きだからだけど、もっと強い理由は「みさちゃんが好きだから」だった。
ずっと八十八ヶ所巡礼が好きだという話をしてたみさちゃん。
呼んでなにかイベントができたらとも言ってたみさちゃん。
みさちゃんの夢のひとつが叶う瞬間をただただ見たかった。
こんなに素晴らしい瞬間を見せてくれてありがとう。
たぶんみさちゃんの友人たちはみんな同じことを思ったはず。
帰り際にはみさちゃんに「ありがとう」とハグや握手を求める人たちがたくさんいた。
たまらんかった。

終わったあとみさちゃんが「今日の廣井さんは笑顔が多い気がした」と話していたけど、それは間違いなくみさちゃんの力だ。
君が愛される理由が今日のイベントの随所に詰まっていた。
本当に本当に素晴らしいイベントだった。
また一緒に飲みながら今日のことやくだらないことを話したいな。
ちゅま。

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