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賢いカラス

近所のスーパーの入り口に二、三年前から貼り紙がある。「カラスが狙っていますので、気をつけてください。」

貼り紙がされた頃、買った物を自転車のかごに入れたまま、お店に戻ったお客さんをしり目に、カラスがそのスキを狙ってかごの中を物色しているのを見たことがある。ビクビクしていたので、思わず「ダメダメ!」と近づいていったら、すぐ去っていったので、実害はなかったと思う。その時、自転車のかごに荷物を置きっぱなしにするのはやめよう、と決めた。

その後、カラスの技術が向上した。

先月は、女性の買い物袋の一番上に入れてあったソーセージの袋を一瞬でかっさらっていった。女性は「カラスが近づいてきたことは感じた」が、次の瞬間には、もう盗まれていたと騒いでいた。

さらに、先日。

カラスは私の前方を歩いていた男性に狙いを定めて飛んでいった。男性は、カラスに気がつき、持っていた買い物の入っている白いレジ袋を振り回す。カラスはいったんは男性から離れた。

男性がまた歩き出すと、カラスは男性を追って飛んでいく。男性はレジ袋を振り回す。

これを数回繰り返した後、カラスはまた男性に気づかぬよう背後から飛んで近づいた。そして、次の瞬間、肉を一辺くわえ、飛び去った。男性は気が付いていない。

彼が持っているレジ袋には穴が開いているようには見えない。しかし、男性のレジ袋の中には、肉のトレイが入っているのが見える。

カラスは、一瞬の一撃でレジ袋と肉を覆っているビニールを刺し通し、目的の一辺の肉をついばみ飛び去ったのだ。

これが、偶然の出来事だとは思えない。カラスは日々この場で学習したのに違いない。賢いとは聞いていたが、ここまで学習しているとは思わなかった。

防衛策として、蓋付きで、中身が見えず、穴をあけにくい素材の袋で買い物をするしかない。狙われないのが一番だ。

あの男性は、穴の開いた肉のパックを見て、カラスのせいだとわかるだろうか。

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